日本生命グループで医療保険の販売などを手がける、はなさく生命はAIを活用したGoogle広告の運用で成果を上げている。デジタル広告経由の獲得件数は2年で5倍となり、20代の若年層開拓にも成功したという。

Google広告のAIによる自動最適化は、広告主が成果を出すうえで有効な一方「任せきり」では成果が頭打ちになりがちだ。成果を最大化するには、AIが学習しやすい環境を広告主側で設計することが重要になる。
はなさく生命では、テレビCMの受け皿にとどまっていたデジタル施策を、AI前提のアカウント設計へと作り替えた。同社ではもともとデジタル広告予算は広告全体の約10%にとどまり、デジタル広告で獲得していたコンバージョンの80%は指名検索経由だった。実態としては、テレビCM流入の「受け皿」に近い状態だったという。さらにオンラインでの保険申し込みは50代以上が90%を占め、本来オンラインと相性が良いはずの若年層開拓が進んでいなかった。
ポイント1:シンプルな目標設定
はなさく生命は当初、「資料請求」と「申し込み」の2つを達成目標として設定していた。しかしAIにとっては、最適化の軸が分散する要因になっていた。そこで、事業成果に直結する「申し込み完了」に目標を一本化し、AIに明確でシンプルなゴールを与えた。
ポイント2:非指名向けキャンペーンの統合
「がん保険」「生命保険比較」などの一般キーワード(非指名)向けキャンペーンは10以上に分断されていた。これらを統合し、AIが学習効率を高められるデータ量を確保した。結果として、最適化が進みやすい構造に改めた。
ポイント3:広告画像・見出し・説明文の非固定化
広告の画像・見出し・説明文などを固定せず、ライフステージでカテゴリ分けした100本以上の素材をAIに投入した。AIが多様な素材を組み合わせて検証・最適化できる環境を整え、あわせて予算上限も柔軟に設定して学習の幅を広げた。
獲得件数は2年で5倍、20代の若年層開拓にも成功
こうした体制を整えたことで、AIがユーザー行動のシグナルから成果につながる意図(購買意図)を判別しやすくなった。検索広告キャンペーンでは、設定キーワードと関連性の高い検索語句へ幅広く広告を表示するインテントマッチ比率が2023年の15%から2025年には86%へ上昇したという。
獲得件数も2023年から2025年にかけて5倍に成長した。さらに検索広告での成功を起点に、Googleの全広告枠に自動配信できる成果最大化メニュー「P-MAX(Performance Max)」や、Googleが提供するさまざまなサービス面に広告を配信できる「Demand Gen」も同様の方針で運用。その結果、従来はシニア層中心だった顧客基盤が変化し、2025年3月には20代がデジタルチャネルで最も獲得の多い層になった。
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