Walmartなど複数の大手EC小売事業者がGoogleの人工知能(AI)を独自の方法で活用を進めていることを背景に、ハンドメイド商品のECマーケットプレイス「Etsy」を展開するEtsyもGoogleのAI活用に乗り出しました。「Gemini」との連携を始めたEtsyの取り組みを解説します。
「Gemini」との連携を開始
Etsyは米国内でログインしているGoogleユーザーに対し、Google検索の「AIモード」(質問に対して生成AIが文章などで回答するサービス)、生成AI「Gemini」アプリを通じて、Etsyのマーケットプレイス上の一部商品を直接購入できるようにすると1月11日に発表しました。
この取り組みは、米国内で複数の主要なEC小売事業者がGoogleのAI技術の独自活用を次々と発表しているタイミングで公表しました。それには、大手ホームセンターのHome Depot、大手スーパーマーケットチェーンのWalmart、家具・家庭用品販売のWayfair、自動車部品などを販売するHoneywellといった企業が名を連ねています。各社はGoogle Cloudを通じて、GoogleのAIツールをそれぞれ異なるユースケースで活用しています。
ShopifyがAI対応決済を開発
今回のEtsyの発表は、他の主要企業の動きと時期が重なっています。スポーツ用品大手のJD SportsがテクノロジーベンダーのStripeおよびcommercetoolsと協力してエージェントコマースの展開を発表。ShopifyもGoogleの「Universal Commerce Protocol(UCP、ユニバーサル・コマース・プロトコル)」と呼ばれるAI対応決済のオープンスタンダード(顧客企業が誰でも使える仕様)を導入しました。このプロトコルは、ShopifyがGoogleと共同開発したものです。
Google「AIモード」との連携によるEtsyのメリット
EtsyとGoogleの連携には、「Universal Commerce Protocol(UCP)」が使用されています。Etsyはこの統合が自社のブランドだけでなく、「Etsy」の出品事業者であるセラー(売り手)にとっても役立つと説明しています。
Etsyによると、セラーの商品は従来の検索画面だけでなく、新たにGoogleのAI対話画面にも表示されるようになります。これにより、消費者が『欲しい』と思ったその瞬間に、その場で商品を提案することが可能になります。
今回の統合を発表する際、Etsyのプロダクトおよび技術部門の最高責任者であるレイフ・コルバーン氏は、大規模言語モデル(LLM)について「人間が話す自然な言葉を、機械が正しく理解できるように橋渡しをするもの」と説明しました。
EC業界にとって、ユーザーによる商品発見のプロセスが、より深い文脈を持った会話へと移行することを意味しています。検索バーに文字を入力するよりも、パーソナルアシスタントと一緒に買い物をするような体験に近いものです。
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レイフ・コルバーン氏(画像はEtsyのコーポレートサイトから追加)
コルバーン氏は、AIエージェント技術によって、消費者がより多くのきっかけでEtsyの商品を発見する機会が増えると語りました。
Etsyは他社との連携だけでなく、自社サービスの改善も進めることで、消費者がEtsyの商品を発見する機会が増える可能性を追求していきます。そして、Etsyでの商品探しを、より直感的で、1人ひとりに寄り添った体験にすることをめざします。時間をかけて、これらの新しい体験がセラーやマーケットプレイスにとって、購入頻度の向上と成長を促進することを期待しています。 (コルバーン氏)
「ChatGPT」からEtsyの商品を購入できるようにした取り組み
EtsyはOpenAIの「ChatGPT」の新機能「Instant Checkout」を2025年9月に導入しています。これにより、Etsyのセラーは「ChatGPT」のエージェント・コマース・プロトコルを利用できるようになりました。「Instant Checkout」は、「ChatGPT」のチャット画面からECサイトの商品を消費者が直接購入できる機能です。AIエージェントがユーザーに代わって自律的に購入を行うエージェントコマースのプロセスを活用しています。
OpenAIは、eBayや、食料品の即日配達サービスを手がけるInstacartとも協力し、それらのオンラインマーケットプレイスがOpenAIのエージェント「Operator」(ECサイトを含むWebベースのタスクを処理できるAIエージェント)を利用できるようにすると発表していました。その後、「Operator」は一部のShopify加盟店向けにも展開されています。
レイフ・コルバーン氏は当時、「2025年9月29日の時点ですでに米国内のユーザーが『Etsy』の商品を『ChatGPTを通じて直接』発見、閲覧、そして購入まで完結できる体制を整えている」と話していました。
Etsyは、ハンドメイドマーケットプレイスのほかに、「Depop」という古着マーケットプレイスも運営しています。また、Etsyは2025年4月に、楽器販売の子会社Reverbを売却しています。
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