Googleは1月11日、AIエージェントが消費者に代わって買い物関連のタスクを実行する「エージェンティック・コマース」を推進する新標準プロトコル「ユニバーサル・コマース・プロトコル(UCP)」のリリースを発表した。
エージェンティック・コマースを支える共通ルール「UCP」
「UCP」は、AIエージェントと各種システムが連携するためのオープンスタンダードという。商品検索から購入、購入後サポートまで、ショッピングの一連の流れをシームレスにつなぐ共通ルールを提供する。これにより、小売事業者は購入意欲の高い消費者とつながりやすくなり、売上拡大につなげることができるという。
Googleが提唱する「エージェンティック・ショッピング」は、自律型AIがユーザーに代わって「探す・比較する・購入する・サポートを受ける」といった行動を実行する新しい買い物体験。UCPはその基盤として、次の役割を担う。
- 検索やアプリなどの消費者向けUI、小売事業者、決済事業者の間でAIエージェントがやり取りするための共通言語を提供
- 個別に接続を構築することなく、複数のAIエージェントと一括で連携可能にする
「UCP」は、Agent2Agent(A2A)やAgent Payments Protocol(AP2)、Model Context Protocol(MCP)など既存の業界プロトコルと互換性を持つ。
大手小売・決済企業が支持、Google上で直接購入も可能に
「UCP」は、Shopify、Etsy、Wayfair、Target、Walmartなどの小売・プラットフォーム企業と共同開発。Adyen、American Express、Mastercard、Stripe、Visaといったカードブランド、決済企業など20社以上が支持を表明している。
まずはGoogle検索の「AIモード」やGeminiアプリ内の商品リストに導入。Google上で商品を調べながら、対象の小売事業者から直接購入できるようになる。決済はGoogle Pay(今後PayPalも追加予定)を利用し、Googleウォレットに保存された支払い・配送情報を使って購入できる。
小売事業者は導入方法を柔軟にカスタマイズでき、売上獲得やカゴ落ち防止にも活用できるとしている。今後は、グローバル展開やロイヤリティ特典の適用などの機能拡張も予定している。
検索結果でブランドと会話できる「ビジネス・エージェント」
Googleは合わせて、検索結果上で買い物客がブランドと直接やり取りできる「ビジネス・エージェント」を発表した。
ブランドのトーンで製品に関する質問に答える仮想販売員のような存在で、購入検討段階のユーザーとつながり、購買を後押しすることを目的としている。
Lowe's、Michael's、Poshmark、Reebokなどが提供を開始しており、米国の対象小売事業者はMerchant Center上で設定・カスタマイズが可能だ。今後は、次のような機能も追加する予定だ。
- 自社データを使ったエージェントの学習
- 顧客インサイトの提供
- 関連商品の提案
- AI主導のチェックアウト
対話型コマースに向けて「Merchant Center」拡張
Googleは、AIモードやGeminiなどの対話型UIで商品が見つけやすくなるよう、「Merchant Center」に新たなデータ属性を追加する。
従来のキーワード情報に加え、
- よくある質問への回答
- 互換アクセサリー
- 代替商品情報
などを登録できるようにする。一部の小売事業者から提供を開始し、順次拡大する。
AIモード内で直接割引を提示する「ダイレクト・オファー」
AI検索の利用拡大を受け、Googleは「AIモード」内で割引などを直接提示できる「ダイレクト・オファー」の試験プログラムを開始する。
広告主は、購入意欲の高いユーザーに対し、AIが適切と判断したタイミングで限定割引などを提示できる。たとえばユーザーが「人通りの多いダイニングルームに合う、モダンでスタイリッシュなラグを探しています。掃除が簡単なものがいいです」と検索した場合、Googleは関連性の高い商品を表示するだけでなく、条件に合う小売業者が特別な割引を提示できるようにする。将来的には、送料無料やセット販売など、価格以外の価値訴求にも広げる予定だ。Petcoやe.l.f. Cosmeticsなどがテストに参加している。
エージェンティック・コマースは現実フェーズへ
Googleは、AIが人に代わって買い物を完結させる「エージェンティック・コマース」が、すでに実用段階に入りつつあると位置づける。UCPやビジネス・エージェント、ダイレクト・オファーは、その流れを加速させる取り組みだ。
Googleは、エージェンティック・コマースの未来は「オープンで協調的」であるべきだとし、小売事業者やプラットフォームと連携しながら、新しいショッピング体験の標準づくりを進めていく考えを示している。
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