Google Cloudは公式ブログで1月12日、商品検索から購入後のサポートまでをAIエージェントが支援する基盤「Gemini Enterprise for Customer Experience(CX)」を発表した。
Google Cloudは、受動的なブラウジングを能動的でパーソナライズされたショッピング体験へと変える「自律型AI」によって、「エージェンティック・コマース」への移行を進めている。
断片化しがちなデジタルと店舗でのエンゲージメントを、単一でシームレスな体験へと統合する「スーパーパワー」を小売事業者が手にできるよう支援。世界的なアイコンブランドからデジタルネイティブな企業まで、あらゆるブランドが次世代のコマース環境で成長できるよう、そのインフラを提供していく考えだ。
ショッピングとカスタマーサービスを1つに統合
「Gemini Enterprise for CX」は、ショッピングとカスタマーサービスを1つの知的なエージェント・プラットフォームとして統合することを目的に設計。最先端のGeminiモデルを搭載、数か月単位ではなく数日で導入でき、構築済み・構成できるエージェント群を提供する。製品の発見から購入後の自律的な問題解決まで、カスタマーライフサイクル全体を管理できるという。
エージェントは、単に質問に答えるチャットボットではなく、人間の監督下でユーザーに代わって計画・推論・実行を自律的に実行する。主なエージェントは次の通り。
ショッピング・エージェント
複雑な推論とマルチモーダル機能を備えた、プロアクティブな「デジタル・コンシェルジュ」として機能する。テキスト・音声・画像を処理し、ユーザーの同意に基づき、自律的にカートへの追加や注文を実行する。
注文・サポートエージェント
あるレストランチェーンでは、モバイル、キオスク、車載システムを通じて自然言語による注文を実現。アップセルやリアルタイムのメニュー同期も可能にしている。
Customer Experience Agent Studio
企業が24時間365日、アクティブに問題解決を行えるように支援する。
Google Cloudは、「Gemini Enterprise for CX」が、受動的な「閲覧」を能動的な「行動」へと変える次の大きな節目になると位置付けている。すでに複数の企業が、このプラットフォームを活用して顧客体験の向上に取り組んでいるという。
小売企業の事例
Authentic Brands Group(Authentic)
ReebokやJuicy Coutureなど50以上のブランドを擁するAuthentic Brands Groupは、独自の「Authentic Intelligence」プラットフォームを立ち上げた。 Google DeepMind社が開発した最新の画像生成AI「Imagen 3」、動画を生成するAIツール「Veo 3.1」を統合、15以上の専門AIエージェントがクリエイティブ制作を担う。初期テストでは、AIで制作したReebokの広告クリエイティブが、従来の製品画像と比べて広告費用対効果(ROAS)が最大60%向上したという。
The Home Depot
GoogleのGeminiモデルを活用し、「Magic Apron(魔法のエプロン)」と呼ばれるエージェントを導入。数千の言語に対応した会話形式のプロジェクト計画と、店内の正確な通路案内の提供を可能にした。さらに、AIによる資材リスト作成機能も提供している。
Gap Inc. とHoneywell
Gap Inc.は、生成AIを構築して使用するためのフルマネージドAI開発プラットフォーム「Vertex AI」、Geminiを活用した統合プラットフォームにより、製品制作から顧客体験までの一連のプロセスの革新をめざしている。Honeywellは、Geminiを搭載した「Smart Shopping Platform」によって、実店舗の在庫管理と発見しやすさを実現したという。
The Estée Lauder Companies(Jo Malone London)
「Vertex AI」とGeminiを用いて「AI Scent Advisor(AI香水アドバイザー)」を構築。顧客が自分の言葉で香りの好みを伝えると、専門家レベルで製品を推奨する。