消費者庁幹部の年頭挨拶、デジタル取引関連・被害増加トラブルを議論する「デジタル取引・特定商取引法等検討会」を1月開催へ

JADMAは1月9日、都内で新年賀詞交歓会を実施。会合では、消費者庁 次長の日下部英紀氏が来賓挨拶に立った

鳥栖 剛[執筆]

9:00

公益社団法人日本通信販売協会(JADMA)が1月9日に都内で実施した新年賀詞交歓会で、消費者庁の日下部英紀次長が来賓挨拶に立ち、拡大を続ける通販市場の現状と課題、消費者庁の取り組み、デジタル取引時代における通販事業者への期待について語った。

JADMAは1月9日、都内で新年賀詞交歓会を実施。会合では、消費者庁 次長の日下部英紀氏が来賓挨拶に立った
挨拶する消費者庁の日下部英紀次長

日下部次長は冒頭、新年の挨拶に続き、通販市場を取り巻く環境に言及。スマートフォンの普及やインターネット取引の拡大を背景に、通販市場は14兆円を超える規模に成長しており、「消費者の日常を支える社会インフラとして、ますます存在感を高めている」と評価した。一方で、「ダークパターンなど、デジタル取引の特性を悪用した商行為や利用トラブルも増加している」と指摘。利便性の向上と同時に、新たな消費者トラブルが顕在化している現状に触れた。

2026年の取り組み4テーマ

消費者庁として、「消費者利益の保護と取引の適正化の双方に日々取り組んでいただいている皆さまと連携し、今後もさまざまな施策を強化していきたい」と述べ、主な取り組みとして4つのテーマをあげた。

消費者志向経営:「消費者とともに価値を共創」

1つ目は「消費者志向経営」。消費者庁は消費者と価値を共創し、社会価値の向上をめざす「消費者志向経営」の実践を事業者に呼びかけている。社会への情報発信の機会として「消費者志向自主宣言」やそのフォローアップ活動を推奨しており、2025年12月時点で1000団体を超える事業者が実践宣言をしているという。今後も、より多くの事業者の参加を促す考えを示した。

景品表示法:不当表示には「引き続き厳正に対処」

2つ目は「景品表示法」への対応で、景品表示法は「一般消費者が適正に商品・サービスを選択できる環境を守るため、厳正かつ適正な運用が重要」と説明。2026年においても、社会的ニーズを踏まえ、一般消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある不当表示に対しては、「引き続き厳正に対処していく」と述べた。

また、2024年10月1日に施行された「確約手続」について、2025年2月に導入後初となる確約計画認定事例を公表し、同年中に複数件の認定を行ったことに言及。「2026年も、こうした確約手続を適切に運用していきたい」とした。

健康食品・機能性表示食品:規制見直しと品質管理を強化

3つ目は、通販で購入機会の多い「健康食品」やデジタル取引に関する取り組み。健康食品については、2024年5月の関係閣僚会合の取りまとめで、サプリメントに関する規制のあり方が課題として示された。これを受け、厚生労働省と消費者庁が連携し検討を進めており、各審議会・部会で議論を開始した。今後は、関係団体へのヒアリングなどを通じて検討を深めていく方針だ。

機能性表示食品については、2025年に食品表示基準を改正し、錠剤・カプセル剤などについてGMPに基づく製造品質管理や、届け出後の健康被害情報の報告を義務付けた。健康被害情報の報告については、「多くの期限が2026年3月となるため、適切な対応をお願いしたい」と呼びかけた。

栄養機能食品については、2026年度に栄養成分の下限値・上限値および機能表示文言の見直しを進め、2027年度には摂取上の注意事項の見直しを行う予定だとした。

「デジタル取引・特商法等の検討会」を準備 ダークパターンや解約妨害に対応

4つ目は「取引対策」、特にデジタル取引に起因する消費者トラブルへの対応だ。日下部次長は、SNSやチャットを通じた悪質な勧誘、消費者の意思形成を歪めるユーザーインターフェース、解約を妨害するページ設計など、「デジタル取引の特性に起因するトラブルが増加している」と指摘。

こうした状況を踏まえ、消費者庁では「デジタル取引・特定商取引法等検討会」の立ち上げ準備を進めており、「1月中にも第1回を開催できる見通し」と説明。健全なデジタル取引市場の整備に向け、「通信販売業界をはじめとする関係者の意見も踏まえながら、議論を深めていきたい」と述べ、業界との連携に期待を示した。


日下部次長は、「消費者からの確かな信頼を基盤に、通信販売業界、ひいては我が国の社会経済がさらに力強く発展する1年となることを祈念する」と述べ、挨拶を締めくくった。

「デジタル取引・特定商取引法等検討会」について

なお、「デジタル取引・特定商取引法等検討会」は、デジタル取引の普及に伴う取引環境の変化や、近年増加傾向にある消費者被害への対応などについて議論を行う予定だ。特商法に関わる現状を踏まえた上でどのような対応策が必要かについても議論の俎上(そじょう)に上がる見込み。2025年11月時点で年明けから議論を開始できるよう、立ち上げに向けた準備を鋭意進めているところとしていた。2026年夏を目途に中間取りまとめを行う計画で、すでに議論を進めている「現代社会における消費者取引の在り方を踏まえた消費者契約法検討会」との整合性を図りつつ、合同開催も視野に検討を進めているという。

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