「使いやすさは美しさに勝り、愛は使いにくさを超える」AI時代に生まれ変わる、少し未来のSEOに大切なこと【ネッ担まとめ】
ネットショップ担当者が読んでおくべき2025年11月7日~12月14日のニュース
12月16日 8:00
この国の言葉の初めの2文字「あ」「い」で表される形――“愛”であったり“AI”であったり。「GA4」でサイト訪問者のエンゲージメントやイベントなどを追いかけられるようになり、多様なサイトのアクセスを見ていると、その数値からユーザーの興味関心、思い、愛を強く感じることが増えてきました。EC事業者にとっても、AIは関心の高いワードになってきていますが、「LLMO」やAIによる概要といった、AIに引用されることに目を向けすぎず、人に愛される店舗作りがますます重要になってくるのではないかと感じる年末です。そうした店舗運営のヒントになるかもしれない記事をピックアップしました。
サイトのわかりやすさが購入につながるかも
「表示スピードが遅いECサイトは、閲覧継続や購入の意欲が低下する」人は79%。「遅い」と感じる表示時間は「3秒以上」が約6割 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/n/2025/11/26/15174
「遅いと購入意欲が低下する」は約8割
要チェック記事
SEO関連
SEOは死んでいない。進化している――FOUND Conference Tokyo 2025 で示されたAI時代のSEOの未来 | JADE
https://blog.ja.dev/entry/blog/2025/12/03/found-conference-tokyo-2025-report
“SEOは死んでいません。SEOはゾンビではなくフェニックスです。死んだのではなく、新しく生まれ変わっているのです。変化しているのです。”
JADEの長山一石さんによる「SEO is Dead」に関するプレゼンから。「SEOは新しく生まれ変わる」という表現がとても素敵だと感じました。
SEOという言葉の下、かつて行われていた施策のなかには既に陳腐化したりスパム行為になったりしているもの、現在は検索のシグナルから外されているかもしれないことも多く存在します。
私がECの世界に足を踏み入れた時には、白背景に白い文字でキーワードを入れる手法や、キーワードがページのなかに何度も登場する「キーワード出現率」について講師が説いていました。それもそのときのSEOだったかもしれませんが、現在ではほぼ見かけることはありません(残念ながらゼロではありませんが)。
同じ自動車でも、現在はガソリン車、ハイブリッド車、電気自動車が存在するように、SEOも姿を変え、種類が増え続け、各種AIツールの普及によって生まれ変わる早さが加速度的に進んでいるのかもしれません。
BtoB担当者の4割がWebアクセス減少を実感 ― AI時代の企業サイトの実態と対策調査 | デジタル化の窓口
https://digi-mado.jp/article/115215/
「ゼロクリック」「アクセス減少」といった言葉を見かけると、危機感が募るのも無理はありません。けれど、アクセス数だけを追うのではなく、「新規顧客との接点創出、見込み客への購買動機を高めるためにサイトを最適化する時代が来た」と捉えるべきではないでしょうか。
Google検索回数の歴史的推移データ(1999年~2025年) | SEMリサーチ
https://www.sem-r.com/entry/20251204/1764813659
“Google年間検索回数、1999年は10億回、2025年に5兆回へ成長”
2000年から日本語検索サービスがスタートしたので、四半世紀が経過しました。それだけの年月をかけて積み上げ・普及したモノを、登場から数年のAIが追い抜くにはまだまだ時間がかかりそうですね。
このGoogle発表の情報を元に、世界の人口から割り出して日本国内の推定検索数を60億回としている記事もありますが、Googleが通常利用できない国やネットの普及率なども加味すると、日本国内の検索回数は人口比率より多いようにも感じます。
SEO 1位ページの49.4%がAI Overviewsに引用されていない理由は?15万キーワード調査で見えた傾向を解説 | LANY
https://www.lany.co.jp/lany-llmo-lab/aioverviews-keyword-investigation
Googleの検索結果の最上部に“AIによる要約”として表示される「AI Overview(AIO)」。検索1位のさらに上部に表示されるので、「ここに出すためにはどうしたらいいか?」と質問をいただくことがあります。「AIO」の約半分は検索1位ではないからこそ、そうしたニーズも出てくるのかもしれませんが、その理由の考察がとても興味深いです。
「引用されるためには多くの言及・推奨が必要」ということだけが独り歩きし、「つまりは被リンクが重要」と拡大解釈されているのか、「相互リンクを貼りませんか?」という営業メールが当社のクライアントなどにも度々届きます。しかし、かつて流行した「相互リンク集」のような関連性のない単なるリンクは意味をなさないと思うので、安易に受けないことをオススメします。
マーケティング関連
2025年 Google検索ランキングを発表 | Google Japan Blog
https://blog.google/intl/ja-jp/products/explore-get-answers/year-in-search-2025/
Google検索チームが発表した2025年の検索ランキング。「『新語・流行語大賞』よりも実際に検索された語句こそが流行語」と言う人もいますが、このランキングはさまざまなジャンルに分かれており、個人的には都道府県別のランキングが気になりました。「都道府県名+◯◯」で検索された検索語句が、地域によってまったく異なるのは興味深いです。
皆さんの地域の検索急上昇はなんでしたか? 私の地元、大阪はやはり「万博」でした。
Yahoo!きっず2025検索ランキング | Yahoo!JAPANきっず
https://kids.yahoo.co.jp/event/mag/ranking2025/
こちらは「Yahoo!きっず」の検索ランキング。α世代と呼ばれる超デジタルネイティブがどんなものに興味を持っているのかを知っておくことも大切ですね。「何それ知らない」というものがあれば、ぜひこれを機に知ってみるのも良いのでは?
"黒船"TikTokShopはなぜこけた? | NEWSPICKS
https://newspicks.com/news/15644134/body/
“25年10月14日段階のTikTok Shop内の累計売り上げで見ると、日清食品グループ・オンラインストアが売上高約103万円、KATE公式は37万円、LUX公式は12万円でしかない。”
“今年ローンチした7カ国の中でも、日本は最低のパフォーマンス”
ブラジルやメキシコなど中南米での健闘が目立つなか、列挙されているブランドからすると物足りない気もしますが、“こけた”というより、“思いのほか初速が出ていない”という気はします。
つまずきの要因として、「TikTok Shop Japanと日本企業のコミュニケーション不足」「マイクロ・インフルエンサーのエコシステムが整っていないため」があげられていますが、ここでも、「何を売るか」よりも「誰が売るか」がカギになりそうです。
実際に携わっている例では、まだ無名のスタートアップECですが、数回のライブショッピングで100件を超える受注がありました。配信者=オーナーの装いや話術への反響が奏功していると感じますが、そのパフォーマンスが今後も安定的に継続できるかは正直厳しいと感じています。
先述の通り、ブランド力があっても、どこでも買えるようなものが売れていない実情をみると、脱属人化した恒久的なブランド力の形成が肝要であることは間違いなさそうです。
TikTok、日本の月間アクティブユーザー数が4,200万を突破! | note | TikTok Japan
https://note.com/tiktok/n/n0eb903834ec5
それでもTikTokとTikTok Liteの月間アクティブユーザー数は4200万ということですから、注目のプラットフォームではあるでしょう。
ただ、数日前から国内のTikTokerが収益化を剥奪されるケースが相次いで報告されていますので、あわせて注視しておきましょう。
今、みなさんにお伝えしたいこと
感想を書くときに、使わなくなった単語たち | ジゴワットレポート
https://www.jigowatt121.com/entry/2025/12/08/191842
強いワードで分断を煽り、プチ炎上を意図的に起こし
SEOで企業サイトやECサイトをお手伝いするなかで、こうした言葉選びをするメディアやアフィリエイターの記事に苦心することが度々あります。商品名やブランドのサジェストに「まずい」「ダサい」「買ってはいけない」などが並ぶ例です。
これらの多くは、タイトルにネガティブな単語があるだけで、結論は「まずいと思っていたけれど、食べてみたら美味しかった」「ダサいのは着こなしが原因だった」「買ってはいけないは誤解」のように商品やサービスを褒めているものが多いのです。
SNSで拡散された際の見出しだけで検索されてしまい、サジェストが生成されるという流れでしょうか。
ブログでも強いワードを使った方が耳目を集めやすいので、多用する「流行り」がありました。
(中略)
つまり、注目を集めるとより読まれる土壌もあった訳です。
おそらく狙いはこれ。ですが、事業者にとってサジェスト汚染はたまったものではありません。ひどい例では検索下部の「他の人はこちらも検索」に「ヤバい」「怪しい」が生成される状況も目にしており、企業のSEOを預かる上で、とても辛いです。
一方、商品レビューなどでは、AIで生成したと思しき「* *」で囲われたテキストを見る機会も増えてきました。レビュー特典などもあるなかで「文章を書くのが苦手」「時間が惜しい」という人にとって、AIを利用することでレビュー投稿が容易になったことは朗報でしょう。しかし、それが次のお客さんに有益かどうかは、AI慣れが進むほど、疑問に思うようになるかもしれません。
自分の定規は、自分だけが用意して、自分だけが使いたい
AI慣れは、そうした「個人のものさし」の価値を高めることにもつながっている気がします。改めて、「自社が何を大切にするか、何を守るか」を見つめ直さないといけない分岐点にいるのではないでしょうか。
新年恒例の2026年の展望記事も寄稿する予定ですので、それではまた次回! 酒匂(さこっち)の「ネッ担ニュースまとめ」をよろしくお願いいたします。
2025年、読んで下さった皆さまに心から感謝申し上げます。今年も本当にありがとうございました。
ECマーケティング人財育成は「EC事業の内製化」を支援するコンサルティング会社です。ECMJコンサルタントが社内のECチームに伴走し、EC事業を進めながらEC運営ノウハウをインプットしていきます。詳しくはECMJのホームページをご覧ください。
UdemyでECマーケティング動画を配信中です。こちらもあわせてご覧下さい。
ユウキノインは寄り添い伴走しながら中小企業・ECサイトのSEOからコンテンツマーケティング、プレスリリースやクラウドファンディングなど集客・販促・広報をお手伝いする会社です。詳しくはユウキノインのホームページをご覧ください。
Designequationは何かに特化したサポートではなく、モール・ベンダー選定や広告・CSなど各企業に合わせたカスタマイズ型の運用サポートを行っています。
子どもの頃、床に食べ物を落としても3秒以内ならセーフとする謎の「3秒ルール」がありましたが、ECサイトにおいても3秒ルールはあるようで、それ以上に遅いサイトは離脱につながる傾向があるみたいです。
私が愛用する、とあるECサイトは非常に重く、新商品発売日にはアクセスが集中し、半日サイトが落ちることも。それでも何度もリロードを試みたり、諦めずに時間を置いて再訪したりすることも多々あります。
サイトの表示速度もSEOの一環であることは間違いありません。しかし、表示速度が早く美しいデザインのサイトでも、メニューがわかりにくく、文字の視認性が低ければ離脱につながりかねません。一方でデザインがシンプルでもわかりやすければ、購入しやすいかもしれません。
本当に好きなものへの愛や、どうしても手にしたい商品への欲求以上に人を駆り立てるものはないかもしれません。「使いやすさは美しさに勝り、愛は使いにくさ」を超えるのではないかと考えています。
EC業界は11月から12月にかけ、ブラックフライデー、歳末商戦と最繁忙期といえる時期を迎えています。けれど、年末年始の狭間で少し立ち止まり、2026年のWeb集客の手法を棚卸しする機会にしても良いかもしれませんね。