ギャプライズが実施した「ECサイト利用者の“読み込み遅延”による購買離脱」に関する調査によると、表示スピードが遅いECサイトは閲覧継続や購入の意欲が低下すると回答した割合は約8割だった。また、「読み込みが遅い」と感じる表示時間は、「3秒」「3.5秒」「4秒以上」と回答した割合の合計は63.9%に達した。
調査対象は日常的にECサイトで商品を購入する20〜60代の1012人。調査期間は2025年11月4~6日。
読み込みが遅いと感じる表示時間、最多は「4秒以上」
ECサイトを利用する際、読み込みに何秒かかると「遅い」と感じるかを聞いたところ、最も多かったのは「4秒以上」で34.0%、続いて「3秒」が25.7%、「2秒」が21.0%だった。
3秒以上かかると遅いと感じる層が6割以上で、約3割は2秒以内でも遅いと感じることがわかった。ギャプライズは「ECサイト利用者が求めるスピード感は非常にシビアであり、人によってはコンマ数秒〜1秒の差でも不快感を覚える可能性がうかがえる」と指摘している。
閲覧している際に「読み込みが遅い」と感じやすいECサイトのジャンルは、「旅行・チケット購入サイト」が最多の32.0%、続いて「アパレルサイト」が30.2%、「ECモール」が24.3%だった。
ギャプライズは「視覚的な魅力を重視するジャンルほどデータ量が増え、読み込み負荷が高まる傾向がある。また『旅行・チケット購入サイト』では、予約や購入完了までの速度が重視されるため、読み込みスピードを意識する機会が多い可能性がある」と解説している。

「遅いと購入意欲が低下する」は約8割
表示スピードが遅いECサイトは、閲覧継続や購入の意欲が低下すると思うかを聞いたところ、「とても思う」が26.5%、「やや思う」が52.9%だった。合計すると79.4%が表示スピードが遅いと購入意欲が低下することがわかる。
実際に、ECサイトの閲覧継続や購入の意欲が低下する読み込み時間はどの程度かを聞いたところ、「4秒以上」が最多の32.9%、続いて「3秒」が21.8%、「2秒」が17.5%だった。「3秒」や「2秒」の時点で、すでに購入意欲が低下し始めている層が約6割存在している。
ギャプライズは「『読み込みが遅いと感じる時間』とほぼ同様の傾向。利用者が『遅い』と認識した瞬間が、そのまま購買意欲の低下の引き金になっている」と考察している。

若年層は情報探索の段階で離脱しやすく、50代以降は時間的ロスを嫌う傾向
「読み込みが遅く、閲覧をやめたい」と思いがちなのは、どのような状況でECサイトを閲覧した場合かを聞いたところ、20~30代は「SNSや広告を見て『なんとなく気になる』と思い閲覧した場合」が最も離脱しやすく、それぞれ42.4%(20代)、38.9%(30代)だった。
40代で最も離脱しやすいのは「セール情報やクーポンが気になり閲覧した場合」で37.8%。50代は「複数のECサイトを比較・検討したいと思い閲覧した場合」が最多で、38.3%だった。60代は「欲しい商品が決まっており、すぐに購入したいと思い閲覧した場合」が最も離脱が多く、40.1%だった。
ギャプライズは「若年層は情報探索の段階で離脱しやすく、関心が薄いときほど『待たされること』にストレスを感じやすい。一方で、50代以降は購入の意思が明確であるにもかかわらず、遅延による『時間的ロス』を嫌う傾向が強い」と指摘している。
「遅い・面倒」と感じると購買離脱の可能性が高まる
ECサイトを使用している際、どのような場面で不満を感じるかを聞いたところ、不満点として全年代で多かったのは「表示速度の遅さ」と「入力項目の多さ」だった。「表示速度の遅さ」をあげた割合が最も多かった年代は30代で、55.7%となっている。「入力項目の多さ」をあげた割合が最も多かった年代は50代で、42.8%だった。
表示が遅かった際にとる主な行動は「環境を変える」
購入を検討していたECサイトでページの表示が遅かった際、どのような行動をとったかを聞いたところ、すべての年代で最も多かったのは「スマートフォンからPCなどデバイスを変えた」、続いて「ブラウザやネットワークに再接続しやり直した」だった。
年代別に見ると、20~40代は「時間をおいて再度アクセスした」が3番目に多い回答となり、表示が遅くても検討していたECサイトを利用しようとする傾向が見られた。50~60代は「別のECサイトを利用した(そのECサイトにて購入した)」が3番目に多い。

表示速度の遅さが原因でカートから離脱した人は約半数
「別のECサイトを利用した(そのECサイトにて購入した)」「実店舗にて購入した」と答えた回答者に、別のECサイトや実店舗で購入したのは、購入を検討していた商品かを聞いたところ、「購入を検討していた商品」が82.7%、「購入を検討していなかった商品」が17.3%だった。
カートに商品を入れた後にECサイトの表示の遅さが原因で購入に至らなかった経験について聞いたところ、「ある」が45.9%、「ない」が54.1%だった。
ギャプライズは「購入直前という最終段階で2人に1人が離脱した経験があり、商品や価格に満足していても、“待たされるストレス”が購入の最終決断を上回ってしまう可能性が示された」と解説している。

表示速度が遅いサイト、「もう利用しない」人は約2割
商品を購入した際にECサイトの表示が遅いと、どのように感じることが多いかは、「商品を購入できたなら、表示が遅いのは許容できる」が最多の28.3%、続いて「商品/販売元に対する信頼感が低減する」が28.1%、「商品は購入したいが、そのECサイトはもう利用したくない」が21.4%だった。

調査概要
- 調査期間:2025年11月4~6日
- 調査方法:PRIZMAによるインターネット調査
- 調査対象:日常的にECサイトにて商品を購入する20~60代と回答したモニター1012人
- 調査元:ギャプライズ
- モニター提供元:PRIZMAリサーチ