電通はAI利用に伴う経験、情報の信頼・購買行動・仕事や学業への影響などを把握することを目的に「AIに関する生活者意識調査」(第4回)を実施、若年層における「AI時代の情報・行動選択」の特長が浮かびあがっている。
AIに対する期待・満足度
「AIを利用したサービスに対して漠然とした期待を感じたことがある」「AIが生成したコンテンツの質が高く、面白いと感じたり満足したりしたことがある」と回答した割合はいずれも61.7%となり、約6割がAIに対してポジティブな経験がある。一方で、「AIが生成したコンテンツに個人情報が含まれていたことがある」は18.5%で、利便性とリスクの両面が意識されている。
AI情報の信頼性
ニュースや新しいトピックを知る際にAIの情報を「信頼できる」と回答した割合は計66.1%。世代別では20代が72.6%、30代が71.6%と高い一方、15~19歳は60.0%と全世代で最も低く、若年層ほどAI情報を「使いこなしつつも、鵜呑みにしない」という姿勢が見て取れる。
実際に、AIの回答が間違っていた経験がある割合は全体で64.0%に上り、15~19歳では79.9%と8割近くに達した。
こうした経験を背景に、AIで得た情報についてファクトチェックをしている割合は全体で63.2%、15~19歳では70.7%と7割を超えた。若年層ほどAI情報を前提にしつつ、自ら裏取りを行う「リテラシーの高い利用」が進んでいると言える。
AIによる購買行動への影響
購買行動への影響も顕在化している。AIにオススメされて商品を購入したことがある割合は全体で26.3%。世代別では15~19歳が35.4%、20代が35.0%、30代が32.6%となり、15~34歳の若年層では34.9%と「3人に1人」がAIのレコメンドをきっかけに購入経験がある。一方、50代は15.6%、60代は13.8%と、高い年齢層ではまだ限定的だ。
AI利用前後での買い物の変化として、「オススメの理由まで教えてもらった上で購入するようになった」が49.1%で最も多く、単なる「おすすめ表示」ではなく、理由説明を伴うレコメンドが購買行動を後押ししている。
AIによる仕事や学業への影響
仕事や学業への影響も大きい。AIを利用することで向上したと感じる項目として、「仕事の効率」(52.5%)、「創造性・アイデア発想力」(50.3%)、「意思決定のスピード」(47.2%)が上位にあがった。「仕事の効率」が向上したと考える一般企業従事者は63.4%と6割を超えている。
また、15~19歳では「勉強の効率」が向上したと考える割合が70.0%、「勉強のクオリティ」が向上したと考える割合が67.9%と、学習面での効果も顕著だ。
時間的・精神的な「余裕」についても、AIの影響が表れている。AIを利用することで「仕事」に余裕ができたと考える割合は36.2%。職業別では一般企業従事者が46.6%で、一般企業の経営者・役員・管理職など「管理職以上」では55.6%と半数を超えた。
「学業・勉強」に余裕ができたと考える割合は全体で35.1%だが、15~19歳では63.4%と6割超に達している。
AI利用に伴う心理的な懸念
一方で、AI利用に伴う心理的な懸念も無視できない。AIを利用する際に「楽をしていると思われる」ことが心配だと答えた割合は42.2%。世代別では15~19歳が63.4%と最も高く、20代が51.3%で続く。若年層ほどAIを積極的に活用しながらも、「周囲からどう見られるか」を気にする意識が強い。
電通の調査担当者は、今回の調査について「AIが生活者の日常の判断や行動に徐々に組み込まれつつある」と総括。AIの誤答経験が多い一方で、6割以上がファクトチェックを行っている点から、特に若年層においてAIを過信せず主体的に使いこなそうとする姿勢が定着し始めていると指摘している。また、AIに対する期待感や生成コンテンツへの満足感が約6割に達していることから、AIは効率化の手段であると同時に、心理的にも身近な存在として受け止められていると分析している。
AIによる商品レコメンドをきっかけに購入した割合はまだ一定数にとどまるものの、「理由を理解した上で選択する」傾向が見られることから、AIが生活者の意思決定を補助する存在として機能し始めているとした。今後は、仕事や学業の効率向上や余裕の創出といった成果に加え、AI導入によって人々の考え方や判断プロセス、評価基準がどのように変化していくのかを注視する必要があるとまとめている。
調査概要
- 目的:AI利用に伴う経験やさまざまな変化の傾向などを把握
- 対象エリア:全国
- 対象者条件:AIサービスを利用したことがある15~69歳(中学生は除く)
- サンプル数:3000(事前調査における性年代別のAI利用経験者出現率の構成比に応じて回収)
- 調査手法:インターネット調査
- 調査期間:2025年11月7日~11月9日
- 調査委託先:電通マクロミルインサイト