鳥栖 剛[執筆] 6/4 9:00

メディアリーチが6月3日に実施した「生成AIによる商品・サービス・企業の探索・比較行動」に関する調査によると、生成AI利用者の約3割が生成AIで「商品・サービス・企業」を検索・比較していることがわかった。

生成AIを週1回以上利用している割合

全体の36.2%が「週1回以上、何らかの生成AIサービスを利用している」と回答した。男女別では男性が43.8%、女性が28.6%、男性の利用率が女性より高い。年代別では10代・20代の若年層では5割前後が利用し、年代が上がるにつれ利用率は低下している。

「AIで選ぶ」新しい検索行動が拡大、生成AI利用者の約3割が生成AIで「商品・サービス・企業」を検索・比較
全体の36%が週1回以上、生成AIを活用

若年層(10〜20代)は5割以上が生成AIを週1回以上利用。特に10代女性では6割に達し、デジタルネイティブ世代の高い関心が際立つ結果となった。40代以降は男女差が拡大し、女性の利用率は急落。50代女性は1割、60代以上の女性は1割未満にとどまった。

生成AI利用者が選ぶ主要サービス

最も多く利用されているのは「ChatGPT(OpenAI)」で選択率は68.1%。次いで「Gemini(Google)」(42.2%)、「Copilot(Bing含む)」(21.4%)と続いた。その他のサービスは1割未満が多いが、「NotebookLM」は選択率11.0%と相対的に高い。男女差が顕著なサービスも見られた。

「AIで選ぶ」新しい検索行動が拡大、生成AI利用者の約3割が生成AIで「商品・サービス・企業」を検索・比較
利用サービスは「ChatGPT」がダントツ

「ChatGPT」が圧倒的なトップシェアとなり、生成AI市場での「定番化」が進んでいると指摘。Google・Microsoft系サービスも一定の利用者層を持ち、多様化が進むなかで、用途や好みによる使い分けが見られると分析した。「NotebookLM」など一部サービスは女性の利用率が男性を上回るなど、属性ごとの嗜好性の違いが表れたという。

生成AIによる商品・サービス・企業の検索・比較の経験の有無

全体の21.3%が、経験があると回答した。10代~30代の若年層では男女ともに約3割が該当し、40代以降は急減。特に女性では1割未満となる年代が多かった。若年層による活用が進んでいることから、今後若い世代を中心に“AI検索・比較”の普及がさらに進むことが期待されるとした。

「AIで選ぶ」新しい検索行動が拡大、生成AI利用者の約3割が生成AIで「商品・サービス・企業」を検索・比較
若い世代での経験率が高い結果に

生成AIで検索・比較した商品・サービス・企業のジャンル

最も多いのは「Webサービス・アプリ」(33.0%)だった。次いで「日用品・生活雑貨」(32.1%)、「飲食」(30.2%)、「家電・ガジェット」(27.9%)、「美容・健康」(25.6%)と続いた。

「AIで選ぶ」新しい検索行動が拡大、生成AI利用者の約3割が生成AIで「商品・サービス・企業」を検索・比較
検索対象のトップは「Webサービス・アプリ」

男女別の傾向では、男性は「家電・ガジェット」や「Webサービス・アプリ」といったデジタル分野、業務用SaaS・法人向け商品などBtoB領域でも高い選択率を示した。一方で女性は「美容・健康」や「日用品・生活雑貨」「飲食」など生活に密着した商品・サービスで生成AIを積極活用する傾向が顕著だった。そのほか「旅行・宿泊」「金融・不動産」などは男女差が小さく、世代や状況を問わず幅広い活用が進んでいる。

生成AIで商品・サービス・企業を検索・比較する際によく入力する質問内容

男女とも「条件や希望を指定して質問」が最も多かった。女性では「おすすめ」「評判や口コミ」「ランキング」など複数の情報探索を組み合わせる傾向がやや強い。男性は「AとBの違いを比較して」「ブランド名を直接入力」など比較や指名検索も一定数見られた。メディアリーチではパーソナライズ志向の「条件や希望を指定してAIに質問」する行動が主流で、AIならではの柔軟な検索スタイルが定着してきていると分析している。

「AIで選ぶ」新しい検索行動が拡大、生成AI利用者の約3割が生成AIで「商品・サービス・企業」を検索・比較
「条件や希望を指定して質問」がトップに

生成AIが提案した商品・サービス・企業に対する信頼度

「非常に信頼できた」「やや信頼できた」と肯定的評価は男性69.8%が女性65.1%だった。「どちらともいえない」は男性21.7%、女性20.9%。否定的評価(「あまり信頼できなかった」「まったく信頼できなかった」)は男性10.1%、女性13.9%となった。女性のほうが「どちらともいえない」「信頼できなかった」とする割合がやや高い。男性は「非常に信頼できた」が2割を超え、積極的な信頼姿勢がやや強いことがわかった。一方、女性は「やや信頼できた」層が半数と“様子見・慎重派”の傾向も見られた。

「AIで選ぶ」新しい検索行動が拡大、生成AI利用者の約3割が生成AIで「商品・サービス・企業」を検索・比較
生成AIの提案内容に対する信頼度は6割強が肯定的

生成AIで気になった商品・サービス・企業に対して取る行動

男性の回答上位は「公式サイトを閲覧」(48.1%)、「レビュー・比較サイトを閲覧」(38.8%)、「SNSで評判や口コミを調査」(31.8%)と続いた。女性の上位は「レビュー・比較サイトを閲覧」(52.3%)、「SNSで評判や口コミを調査」(39.5%)、「公式サイトを閲覧」(43.0%)と女性は「レビュー・比較サイトの閲覧」や「SNSでの調査」の比率が男性より高いことがわかった。このことから男性は「公式サイト」を重視、女性は「レビュー・比較サイト」「SNS」を重視で、情報源の使い分けに男女差がみられた。女性は「レビュー・比較サイト」「SNS」「保存」など“第三者評価や多角的な情報収集”を重視する傾向が顕著だった。

「AIで選ぶ」新しい検索行動が拡大、生成AI利用者の約3割が生成AIで「商品・サービス・企業」を検索・比較
生成AI活用後の行動は「公式サイトを閲覧」がトップに

男女ともに約4人に1人が生成AI経由で「実際に購入・利用」まで行動を移しており、AI提案の消費行動への影響力が大きいことがわかった。動画レビューや追加の生成AI調査も3割前後で利用されており、テキスト・動画・AIの組み合わせによる多層的な意思決定が定着しつつあるとした。

生成AIだけで商品・サービス・企業の比較・検討を完結した経験

生成AIで商品・サービス・企業を検索したことがある人(全体の約2割)のうち、約7割が生成AIだけで商品・サービス・企業の比較・検討を完結した経験があると回答した。「よくある」「ときどきある」の合計は男性が42.6%、女性が45.3%で、男女差は小さかった。「一度もない」は男性7.8%、女性16.3%と、女性の方がやや慎重な傾向が見られた。

「AIで選ぶ」新しい検索行動が拡大、生成AI利用者の約3割が生成AIで「商品・サービス・企業」を検索・比較
生成AI活用により約半数が比較・検討を完結した経験がある

生成AIを活用した検索行動が主流になるか

「そう思う」「ややそう思う」と回答した肯定派は男性40.5%、女性31.2%だった。「どちらともいえない」が男女とも約4割と最多で、今後の推移を見守る様子見層が多いことがわかった。否定派(「あまりそう思わない」「まったくそう思わない」)は男性23.6%、女性27.8%だった。男性の方が肯定派の比率が高く、AI活用への期待感がやや強い。女性は「どちらともいえない」が41.1%と最多で、AI検索の主流化については様子見・保留の姿勢が強い。否定的な回答は女性27.8%、男性23.6%で、女性の慎重姿勢がやや際立った。

「AIで選ぶ」新しい検索行動が拡大、生成AI利用者の約3割が生成AIで「商品・サービス・企業」を検索・比較
3割強が「生成AIを活用した検索行動が主流になる」と回答

調査概要

  • 調査名称:生成AIによる商品・サービス・企業の検索・比較行動調査 2025年版
  • 調査主体:メディアリーチ
  • 調査方法:インターネットリサーチ(Freesy)
  • 調査対象:全国の10代~60代以上の男女
  • 有効回答数:1008人(各年代・性別均など割付:各年代・性別ごとに84人ずつ、合計1008人)
  • 調査期間:2025年5月28日
この記事が役に立ったらシェア!
これは広告です

ネットショップ担当者フォーラムを応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]

[ゴールドスポンサー]
[スポンサー]