AIエージェントは買い物をどう変える? Criteoが「エージェンティック・コマース」を5つのポイントで整理

Criteoは「エージェンティック・コマース」を5つのポイントに整理。「買い物の置き換え」ではなく体験を強化する追加レイヤーと整理。検索の場が分散するなか、鍵は高品質なコマースデータだとした。

鳥栖 剛[執筆]

8:30

生成AIが購買行動に介入する「エージェンティック・コマース」というワードが広がっている。こうしたなか、Criteoがこのほど明らかにした「エージェンティック・コマース」に関する見解によると、「エージェンティック・コマース」は「買い物の置き換え」ではなく「買い物体験を強化する追加レイヤー」と捉えているという。

近い将来、AIがすべての購買を自律的に行う世界が一気に訪れるわけではなく、リサーチや比較、決済の効率化などをAIが担い、最終的に人が判断するという形で段階的に進化していくと見ている。

Criteoは「エージェンティック・コマース」を大きく5つのポイントに整理した。

Criteoは「エージェンティック・コマース」を5つのポイントに整理
Criteoは「エージェンティック・コマース」を大きく5つのポイントに整理

「新チャネル」ではなく「上乗せレイヤー」に

Criteoは「エージェンティック・コマース」が既存の購買行動を置き換えるのではなく、選択肢として追加される可能性が高いと見ている。ECが普及しても実店舗はその存在感を薄めていないのと同様に、AIエージェントも既存チャネルを一掃するのではなく「併存」するという見方だ。

AIが価値を発揮しやすい場面としては、「時間短縮」「選択肢の整理」「最適な商品・価格の発見」などをあげた。AIの活用によりCVRが改善し、EC市場全体の拡大につながる可能性があるとしている。

AIアシスタントは「新しい検索レイヤー」

検索行動はすでに分散しており、LLMプラットフォームが「プロンプト起点の探索レイヤー」として加わることで、商品が見つかる場所はさらに増えるという。

Criteoの調査によると、米国の消費者の40%がエージェント型ショッピングアシスタントを商品検索に日常的に利用。一方で、96%は検索エンジンやSNS、ブランドや小売事業者のサイトなど他のチャネルも併用していた。

つまり「置き換え」ではなく「併用」が前提になるとし、店頭やSNS、LLMプラットフォームなど、消費者が存在するあらゆるチャネルで商品が見つかる状態を整えることが重要になると指摘した。

重要なのは「高品質なコマースデータ」

Criteoは「高品質なコマースデータ」の重要性を強調する。AIとの対話が高度であっても、在庫・価格・商品属性などの構造化データが不足していれば、商品レコメンドには限界がある。たとえば、リンク切れや欠品によって体験が損なわれれば、売り上げだけでなくブランドへの信頼も失われる可能性がある。

OpenAIの調査によると、「ChatGPT」によるショッピング検索の精度は64%にとどまっている。現在のAIシステムが、商品探しから購入完了までの一連の買い物の流れを安定して支援するには、データ連携や情報品質の面で改善の余地があることを示しているとした。

現時点では、関連商品を適切に提案するために不可欠なインフラや相互運用性は、まだ発展途上の段階。多くのLLMプラットフォームは、リアルタイムの在庫情報や正確な価格設定、詳細な商品情報、統一された決済・配送システムに十分アクセスできていない。

こうした未整備な部分がある中で、質の高い構造化コマースデータはAIを活用したショッピング体験の基盤となり、レコメンデーションの質と信頼性を左右する重要な要素になるとしている。

LLMはリテールメディアを侵食するのではなく、ファネルを広げる

「LLMがリテールメディア・ネットワークを侵食する」という見方もある。これに対しCriteoは、LLMは新しい入り口として商品発見を増やし、購買ファネルを広げるとした。購入完了や配送、ロイヤルティ形成といった基盤として、小売事業者の環境は引き続き重要という。

こうしたなかで、パーソナライズされた商品発見を支援し、LLMプラットフォーム上での文脈を踏まえたやり取りを反映する会話型インターフェースの重要性が高まると指摘。小売事業者のUX基準は引き上げられ、Webサイトやアプリ、店舗などあらゆる接点でフロントエンドの刷新が急務になるとしている。

データ分析プラットフォームを展開するSensor Towerによると、ブラックフライデーとサイバーマンデーの期間中、AmazonのAIアシスタント「Rufus」が関与していないセッションでは購入増加率が20%にとどまった。一方で、「Rufus」が支援したセッションでは購入が100%増加したという。

またAccentureの調査によると、米国の消費者は買い物中、第三者のLLMプラットフォームよりも小売事業者やブランド自身のチャットアシスタントを利用することを好む傾向があると報告されている。

「エージェンティック・コマース」の台頭により、リテールメディアの分野では、小売事業者が保有するチャットボットや、LLMプラットフォーム上に統合された小売事業者のアプリにおいて、スポンサー付き商品レコメンドを通じて商品のランキングをコントロールできる可能性があるとした。

今後の鍵としてCriteoは、「所有」と「連携」のバランスをあげる。LLMプラットフォームと構造化されたコマースデータを共有しながら、自社の仕組みにエージェント体験を取り入れる小売事業者は、分散化が進む市場において顧客体験への影響力を保ちながら商品の発見性を高められるとみている。

LLMプラットフォームの収益化は「広告」が軸

LLMプラットフォームの収益化モデルとして、Criteoは広告が最も拡張性の高い手段になると見ている。会話の流れに沿った広告は、邪魔なノイズではなく意思決定を支援する情報として受け入れられる可能性があるとした。

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