三井住友銀行のCA本部・企業調査部はこのほど、経済レポート「2025年の回顧と2026年の展望」を公表した。スーパー・ドラッグストア業界についても分析。消費者の節約志向の強まりやGMSの再編、域外進出の加速に加え、「生成AIショッピング」の普及やドラッグストアによる調剤事業強化といったトピックスを取りあげている。
2025年の振り返り
節約志向の強まり
長引くインフレと実質賃金の低下を背景に、消費者の節約志向は一段と強まった。買い物1回あたりの買上点数が減少するなどの動きが見られる一方で、低価格戦略を取る事業者には追い風になった。こうした環境のなかで、スーパー・ドラッグストア大手各社は、低価格対応と収益性向上の両立に向けて、プライベートブランド(PB)商品の開発・販促に注力している。
GMSの大型再編
総合スーパー(GMS)では、専門店やドラッグストアの台頭、ECの拡大などを背景に、厳しい事業環境が続いている。こうしたなか、ポートフォリオ見直しに伴う事業売却、出店エリア拡大を目的とした同業他社による買収など、大型再編が相次いだ。
域外進出の加速
業容拡大をめざし、スーパー各社による新たな地域への進出も相次いだ。オーケーやロピアなど首都圏のスーパーが関西・中部へ進出する動きに加え、地方の事業者が首都圏へ進出するケースもあり、地域の壁を越えた競争が一段と激しくなっている。
2026年の注目トピックス
「生成AIショッピング」の普及
2026年の注目トピックスとして、「生成AIショッピング」をあげている。生成AIの性能向上を背景に、「AIとの会話の中で商品を検索・購入する」動きが広がり始めている。レポートでは、小売業によるAIアシスタント活用の事例として、次のような取り組みを紹介している。
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Amazon「Rufus」
Amazonストアとインターネット上の情報を学習したAIアシスタントで、2025年9月に本格展開を開始。会話を通じて商品検索を可能にし、サイトの利便性向上を図っている。
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楽天「Rakuten AI」
楽天経済圏全体で蓄積されたデータを学習したAIアシスタント。ユーザーとの会話の中で商品を提案することで、購買体験の高度化をめざしている。
その他の動きとして、米小売大手Walmartは2025年10月にOpenAIと提携し、「ChatGPT」内で直接商品の購入を実現。チャット画面上で相談しながら、そのまま購入まで完結できる環境が整いつつある。
国内のECプラットフォーマーもAIアシスタントの導入を進めており、今後は機能の高度化とともに、AI普及による購買行動の変化が一層注目されるとしている。
調剤市場の再編とドラッグストアの調剤強化
調剤市場では、ドラッグストアの調剤事業強化を背景に再編が続いている。ドラッグストア事業者は、広い店舗網や高い利便性を活かし、調剤市場における調剤売上シェアを高めている。シェア拡大に向けて、「自社店舗への調剤薬局併設の推進」や「調剤薬局事業者の買収」といった動きがみられ、今後も調剤業界の再編は進展していくと見られる。
経済産業省と厚生労働省の調べによると調剤市場規模は拡大傾向にあり、そのなかでドラッグストアが占める調剤売上シェアも上昇している。日常の買い物と調剤をワンストップで済ませたいという生活者ニーズを取り込みながら、ドラッグストアの役割は「日用品・食品の安売り」から、身近なヘルスケア拠点へと広がりつつある。
一方、調剤報酬改定や人件費の上昇などを背景に、調剤事業の収益環境は厳しさを増している。レポートでは、今後の方向性として「かかりつけ薬剤師の体制整備」「在宅調剤への対応」「医療DXの推進」が重要だと指摘している。
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