三井住友銀行のCA本部・企業調査部はこのほど、経済レポート「2025年の回顧と2026年の展望」を公表した。そのなかでアパレル業界についても分析。訪日客の高額消費の減速や「長い夏」への対応、リカバリーウェア市場の拡大、SNSやAI活用によるアパレルECの多様化、「推し活」需要の取り込みといったトピックを取り上げている。
2025年のアパレル業界を振り返る
インバウンド需要の減速
2025年の訪日客数は過去最高水準で推移した一方、高額消費は減速したと分析。その背景として、前年にラグジュアリーブランドで値上げ前の駆け込み需要が発生していた反動に加え、円安の沈静化をあげている。その結果、大手百貨店の売上高は概ね前年割れで推移したという。
「長い夏」の対応
気候変動に伴う「長い夏」への対応にも言及。多くの企業が、従来は7月までとしていた夏物の販期を8〜9月まで延長し、「盛夏(夏後半)」向けの商品企画・販売を本格化させている。一方で、気温の予測が難しいことから、盛夏物から秋物への棚替えタイミングや在庫配分については、現場レベルで試行錯誤が続いている状況という。
リカバリーウェアの拡大
機能性アパレル分野で「リカバリーウェア」市場の拡大が目立つと指摘した。着用による血行促進で疲労回復を促すリカバリーウェアは、健康志向の高まりやギフト需要を背景に成長。当初は上下セットで約2万円の価格帯が主流だったが、2025年にかけて素材をグレードアップした高価格帯商品に加え、数千円台の低価格帯商品も登場、価格レンジが大きく広がっている。その結果、市場の裾野が広がる一方、ブランド間の競争は激化している。
2026年の注目トピックス
SNSやAI活用によるアパレルECの多様化
2026年の注目トピックスの1つとして、アパレルECの多様化をあげている。アパレルEC市場は利便性の向上を背景に拡大が続いており、経済産業省の調査でも衣類・服飾雑貨などのBtoC-EC市場規模とEC化率はいずれも右肩上がりで推移している。
加えて、「TikTok Shop」のスタートや、2025年10月にGoogleが開始した「バーチャル試着」サービスなど、新たな機能やチャネルが登場している。こうしたSNSやAIを活用した機能の拡充により、市場のさらなる活性化が見込まれる一方、競争も激化。いかに顧客を囲い込むかが重要だと指摘している。
「推し活」需要
もう1つの注目テーマとして「推し活」需要をあげた。CDGによる調査によると15〜69歳の男女を対象にしたアンケート調査によると、「推し活」率は2024年の14.1%から2025年には16.7%へと上昇し、推し活人口は約1136万人から約1383万人へと増加。1年間で「推し活」率は2.6ポイント上昇し、「推し活」人口は約247万人増加した計算になる。節約志向が高まるなか、「推し」に対しては支出を惜しまない傾向が強く、「推し活」市場は拡大基調にあるという。
アパレル業界でも、新興・定番キャラクターとのコラボ商品開発、自社オリジナルキャラクターの展開といった動きが広がっている。キャラクター関連商品は、気温に左右されにくい通年商材としての期待も高く、ヒット商品も誕生。ただし、トレンドの移り変わりが速く競争も激しい領域であるため、データ分析に基づくターゲット選定、短いサイクルでの商品開発・投入が重要になると指摘している。