米ウォルマートは、テレビ視聴と購買行動をつなぐ「コネクテッドコマース」の取り組みを本格化している。
インターネット接続テレビ(コネクテッドTV、CTV)領域で存在感を持つスマートテレビメーカーの子会社VIZIOと連携。コンテンツ視聴から商品発見、購買までを一気通貫で結ぶ仕組みの構築を推進している。ストリーミング視聴、広告接触、購買、効果測定といった従来分断されていたプロセスを、1つのエコシステムに統合するのが狙いだ。
ウォルマートは、オンラインと実店舗を合わせて毎週約1億5000万人の米国顧客と接点を持つ。一方、VIZIOはテレビ視聴を通じて生活者のリビングルームに入り込む接点を有する。両社はこれらの強みを組み合わせ、視聴データと購買データを連動。広告接触から購入までの導線を短縮し、よりスムーズな購買体験の実現をめざす。
取り組みの中核となるのが、VIZIOのOSおよび同OSを搭載したテレビ向けに導入するウォルマートアカウントによる統合ログイン機能だ。ユーザーはウォルマートのアカウントでスマートテレビ機能にアクセスできるようになり、設定の簡素化に加え、デバイスをまたいだID連携が可能となる。これにより、テレビ上での視聴行動とEC・店舗での購買行動を結び付けやすくする。
具体的な取り組みとして、ロレアルと連携した施策を展開。VIZIOのOS上で配信されるプレミアムコンテンツ内に商品を自然に組み込む「プロダクトプレイスメント」を実施している。視聴中に生まれた興味・関心を、ウォルマートのECサイトや店舗への誘導につなげる。単なる広告配信だけではなく、コンテンツ体験の中で喚起された購買意欲を、そのまま購入行動へと転換する設計が特長だ。
こうした取り組みはすでに一定の成果を上げているという。調査では、ウォルマートの顧客の65%がCTV広告を通じて新たな商品を発見したと回答。また、リテールメディア「Walmart Connect」を通じたCTVキャンペーンでは、「Cafe Bustelo」などのブランドにおいて、中央値で44%の視聴率を記録した。さらに、同キャンペーンは従来のテレビ広告(リニアTV)と比べて、世帯リーチを98%拡大したとしている。
なお、こうした取り組みの土台には、ウォルマートによるVIZIO買収がある。ウォルマートは2024年12月にVIZIOの買収を完了し、スマートテレビOSや広告基盤を自社のリテールメディア戦略に取り込む体制を整えた。

