ECサイトの遅延・エラー発生時、6割以上が“静かに離脱”。別のECサイトで買い物は4割超【トラブル時の消費者調査】

調査結果によると、トラブル発生から3時間経過で約7割の消費者が離脱するが、事業者側が3時間で解決できているケースは約1割にとどまる。また、トラブル発生時の行動は「全く問い合わせない」人が最も多く、39.4%となっている

大嶋 喜子[執筆]

6:00

New Relicが実施した「ネットショッピングのトラブル」に関する調査によると、ネットショッピングでトラブルが発生した時、窓口へ問い合わせをせずにECサイトを離脱している割合が63.4%に達した。別のECサイトで買い物したことがあると回答した割合は4割を超えた。

調査対象は、ネットショッピングを2~3か月に1回以上利用しており、ネットショッピングにおけるトラブル経験が「たまにある」「非常によくある」 と回答した日本全国18~79歳男女1052人。調査期間は2025年8月1日~4日。

トラブル発生は「セール期間中」が最多の49%

ネットショッピング利用時のトラブル発生のタイミングを聞いたところ、最も多かったのは「セール期間中」で49.6%、続いて「大型連休中」が14.5%、「新商品・限定商品の発売直後」が14.4%だった。

トラブル発生の時間帯は最多が「18時~22時」で38.8%、続いて「午後(12時台〜17時台)」が19.5%、「午前中(9時台〜11時台)」と「深夜(2時台〜3時台)」がそれぞれ13.4%だった。

ネットショッピング利用時のトラブル発生のタイミング(左)、トラブル発生の時間帯(右)
ネットショッピング利用時のトラブル発生のタイミング(左)、トラブル発生の時間帯(右)

6割以上が問い合わせをせずに離脱

トラブルでネットショッピング利用をやめた経験を聞いたところ、「ある」が57.2%、「ない」が42.8%だった。

トラブルによるネットショッピングの乗り換え経験は「ある」が43.2%、「ない」が56.8%。乗り換えたことがあるは4割を超えていることがわかった。

トラブルでネットショッピング利用をやめた経験(左)、トラブルによるネットショッピングの乗り換え経験(右)

トラブル発生時の問い合わせの有無を聞いたところ、「全く問い合わせない」が39.4%、「普段は問い合わせないが、過去に1〜2回問い合わせたことがある」が24.0%で、合計63.4%が窓口への問い合わせを行っていない。「時々問い合わせる」は18.9%、「必ず問い合わせる」は17.7%となっている。

問い合わせをしない理由は、「そのまま利用をやめる(離脱する)から」が42.3%と最も多く、次いで「問い合わせるのが面倒だから」が39.9%、「回答が得られるのに時間がかかるから」が26.6%だった。

トラブル発生時の窓口問い合わせの有無
トラブル発生時の窓口問い合わせの有無

トラブル発生後3時間で約7割が利用を中止

ネットショッピングのトラブル復旧時間と、そのサイトの利用を継続するかどうか意向を聞いたところ、「復旧時間に関係なく利用しない」が18.1%だった。

サービス復旧までかかった時間が5分以内でも、そのECサイトの利用をやめる人は12.9%、10分以内では同11.2%、30分以内では同11.9%。45分以内では同2.0%、1時間以内では同12.2%、3時間以上では同4.1%だった。「それ以上」復旧に時間がかかった場合は同27.7%。

合計すると、トラブル発生から3時間経過するまでにECサイトの利用をやめる割合は約7割にのぼった。

ネットショッピングのトラブル復旧時間と利用継続意向
ネットショッピングのトラブル復旧時間と利用継続意向

解決までに要する時間は3日以上が過半数

トラブル発生時に問い合わせをした際、解決までに要した時間を聞いたところ、「3時間以内」が11.9%、「半日以内」が10.7%、「1日以内」が20.1%だった。

「3日以内」は16.9%、「5日以内」は6.4%、「それ以上」は34.0%となっている。3日以内~6日以上(それ以上)を合計すると、トラブルの解決までに3日以上かかる割合は57.3%で、過半数となっている。

トラブル発生から3時間で多くの人が離脱することを踏まえると、New Relicは「ユーザーが求める対応速度と実際の解決に要する時間に大きな乖離(かいり)がある」と指摘している。

トラブル発生時に問い合わせをした際、解決までに要した時間
トラブル発生時に問い合わせをした際、解決までに要した時間

トラブル体験で「信頼度下がる」は75%、「購入意欲下がる」は79%

トラブルの経験によるブランド信頼度の変化を聞いたところ、「非常に下がる」が22.5%、「やや下がる」が53.0%で、合計75.5%が信頼度が「下がる」と回答した。

「あまり下がらない」と回答した割合は21.4%、「全く下がらない」は3.0%だった。

トラブル経験によるブランド信頼度の変化
トラブル経験によるブランド信頼度の変化

ネットショッピングで良好な購入体験を経験した場合と、トラブルが発生した場合の購入意欲の差を聞いたところ、「非常に差が生まれる」が23.3%、「やや差が生まれる」が56.2%で、合計79.5%が「差が生まれる」と回答したことがわかった。

New Relicは「トラブルが将来の購買行動にまで長期的な悪影響を及ぼすことを示唆している」と警鐘を鳴らしている。

「あまり差は生まれない」は18.3%、「全く差は生まれない」は2.3%だった。

良好な体験をした場合とトラブルが発生した場合の購入意欲の差
良好な体験をした場合とトラブルが発生した場合の購入意欲の差

調査概要

  • 調査主体:New Relic
  • 調査機関:インテージ
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査期間:2025年8月1~4日
  • 調査対象:ネットショッピングを2~3か月に1回以上利用しており、ネットショッピングにおけるトラブル経験が「たまにある」「非常によくある」 と回答した日本全国18~79歳男女1052人

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