認知、比較検討、購入の各段階でオンライン利用が増加。購入場所は「オンライン」が32%【EC・店頭を横断した購買行動調査】

調査を開始した2022年以降、生活者の購買行動はデジタルシフトの傾向が強まっている。また、複数の情報源で口コミを確認してから買い、購買リスクを軽減しようとする傾向も見られた加傾向となっている

大嶋 喜子[執筆]

6:30

電通デジタルが実施した「EC・店頭をまたぐ購買行動実態調査2025」によると、認知・比較検討・購入の各フェーズにおいてオンライン利用が増加していることがわかった。また、購買行動は安心・安全と経済性の両面から購買リスクを軽減しようとする傾向が高まっている。

調査対象は全国の20〜69歳でスクリーニング調査は1万人、本調査は8700人。調査時期は2025年5月22日~28日。対象とする商品は主要13カテゴリー29商品。

購買行動はデジタルシフト

調査を開始した2022年から2025年にかけて、認知・比較検討・購入は各フェーズでオンライン利用が増加。前年の2024年調査と比べても、認知フェーズでのオンライン利用は前年調査比0.9ポイント増、比較検討フェーズでは同0.7ポイント増、購入フェーズでは同1.0ポイント増えた。

オンライン利用が最も高いのは、比較検討フェーズで56.4%だった。

認知・比較検討・購入フェーズでのオンラインとオフラインの利用割合
認知・比較検討・購入フェーズでのオンラインとオフラインの利用割合

リスクヘッジ購買の傾向が続く

購買に関する生活者の意識は、安全性や信頼性を重視する傾向が継続。また、クーポンやポイントなどの経済的メリットを積極的に活用する動きが強まっている。

購買に関する生活者の意識を聞いたところ、商品自体の安全を確かめることが増えた割合は11.8%、減ったは1.6%だった。SNSで見かけた商品を他サイトなどで調べずに購入することが増えた人は2.9%、減った人は4.1%となっている。商品に関する情報の信頼性を重視することが増えた人は8.4%、減った人は1.1%だった。

経済性の観点では、クーポンやポイントなど「お得さ」を重視することが増えた人は33.6%、減った人は2.1%となっている。家計の支出を意識して抑えることが増えた人は29.4%、減った人は2.9%だった。

電通デジタルは「安心・安全と経済性の両面から購買リスクを軽減しようとする『リスクヘッジ購買』の傾向が一層顕著になっている」と指摘している。

購買時の安全性、信頼性、経済性に関する生活者の意識
購買時の安全性、信頼性、経済性に関する生活者の意識

2025年の調査では、口コミに関する調査項目を追加。参照する口コミの情報源の数を聞いたところ、生活者は平均1.5か所でレビューや口コミを参照していることがわかった。高価格帯が含まれる電化製品、インテリアは、平均2か所以上のレビューや口コミを参照している。

電化製品、インテリアに続いて、ギフト(口コミ情報源の数1.95)、美容・コスメ(同1.93)も参照する情報源が多い傾向が見られた。

参照する口コミの情報源の数
参照する口コミの情報源の数

他者レビュー・口コミで購買意欲が高まりやすいカテゴリーは「ダイエット・健康」「美容・コスメ」

購買意欲を高める要素で、「他者レビュー・口コミの評価が高い」ことをあげた人は、全体で23.4%だった。「ダイエット・健康」カテゴリーでは38.4%、「美容・コスメ」カテゴリーでは34.4%となっており、両カテゴリーでは特に高い傾向が見られた。

他者レビュー・口コミ評価が高いことで購買意欲が高まる人の割合
他者レビュー・口コミ評価が高いことで購買意欲が高まる人の割合

「ライブコマース」の認知、興味、体験は大幅に増加

「ライブコマース」「メタバース」の認知、興味、体験の割合は、前年調査と比較して全体的に増加した。ライブコマースでは「認知」が22.2%(前年調査比14.7ポイント増)、「興味」が9.5%増(同6.5ポイント増)、「体験」が6.0%(同4.4ポイント増)となっている。

メタバースでは「認知」が15.1%(同8.8ポイント増)、「興味」が6.6%(同3.9ポイント増)、「体験」が2.6%(同1.6ポイント増)となった。

「ライブコマース」「メタバース」における消費者の認知、興味、体験の割合
「ライブコマース」「メタバース」における消費者の認知、興味、体験の割合

一定数はAIに関心・好意あり

AIへの好意・興味・利用経験に関して、好意的な印象や興味を持つ生活者が一定数存在することがわかった。

事業者によるAI活用施策ごとの好意、興味、利用経験
事業者によるAI活用施策ごとの好意、興味、利用経験

AIに求める情報の具体性は、すべての商品カテゴリーにおいて「商品の基本的な情報のみで十分」、「商品の詳細な情報を丁寧に説明してほしい」と回答する割合が多かった。基本的な情報を見やすく整理して提示されることをAIに望んでいる人が多いことがわかった。

AIに求める情報の深度
AIに求める情報の深度

調査概要

  • 調査手法:インターネット調査
  • 調査時期:2025年5月22日~28日
  • 調査対象:全国の20〜69歳、スクリーニング調査1万人、本調査8700人
  • 調査主体:電通デジタル

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