森山 佳亮[執筆], 森岡 明香里[執筆] 7:00

eBay Japanが運営するECプラットフォーム「Qoo10」で年4回開催されている大型セール「メガ割」。Z世代を中心に「『メガ割』は毎回チェックするイベント」として定着。InstagramやTikTokでは、「#メガ割」で商品を紹介する投稿が数多く並んでいます。この記事では、PLAN-Bと「Qoo10」を運営するeBay Japanへの取材、自社の「Qoo10」サイト運営事例から、「『メガ割』において、なぜインフルエンサー施策が成果につながるのか」「その裏側にはどんな仕掛けがあったのか」を解説します。

勝負は“「メガ割」前”に決まっている。検討リストに入るための戦い方

「Qoo10」はZ世代を中心に支持を集めるECプラットフォーム
「Qoo10」はZ世代を中心に支持を集めるECプラットフォーム

「Qoo10」の「メガ割」は、通常、セール開始の3~5日前から、ユーザーに最大9枚の20%オフクーポンを付与します。そのため、多くのユーザーが「どの商品に使うか」を事前に考え、購入候補をリストアップした上で「メガ割」のスタートを待っています。

この期間にユーザーの検討リストに入っているかどうかが、売り上げなどに直結します。そのため、「今だけお得」というセール時が始まってからの告知だけではなく、比較・検討フェーズで候補に入り込むための事前設計が重要になってくるのです。

つまり、「メガ割」の数か月前から勝負が始まっているのです。

「Qoo10」が年4回実施しているイベント「メガ割」
「Qoo10」が年4回実施しているイベント「メガ割」

2週間で4600セット・2700万円を売り上げた施策とは

私たちは2024年11月、自社で運用している美容アカウント「ナラ(InstagramTikTokYouTube合計約30万フォロワー)」で、「メガ割」に合わせた施策を実施しました。

PLAN-Bが運営している美容アカウント「ナラ」
PLAN-Bが運営している美容アカウント「ナラ」

私たちが実際に行った施策を、ステップごとにお伝えします。

① 「メガ割」数か月前から「日常使い」の意識を浸透させる

最初のステップは、セール開始の数か月前から、インフルエンサーを通じて商品のリアルな「愛用感」を伝えることです。これにより、「この人、本当にこの商品が好きなんだな」というユーザーからの信頼や共感を生み、商品が自然と「よく見る存在」として記憶に残る状態を作ります

② 約1か月前から「気になる」「保存・リストに追加」を促す投稿を強化

「普段から愛用している」という信頼の土台ができたら、いよいよセールに向けて動き出します。「メガ割」開始の約1か月前、商品の「ここがすごい」「ここが良い」といった魅力を具体的に伝える投稿へシフト。ユーザーの「気になる」気持ちを刺激し、期待感を高めながら、保存や検討リストへの追加といった、購買につながる具体的なアクションを促します。

③ セール初日は「今すぐ買いたい!」に直結させる投稿へ集中

「気になる」「保存・リストに追加」と購買意欲を高めてきたユーザーへ、いよいよ購入を促すのがセール初日です。この日は「『メガ割』で〇〇円OFF」「購入は今だけ!」など、価格メリットや限定感を全面に打ち出し、購入に直結する情報を届けます。 投稿構成、ビジュアル、コピーすべてでユーザーの購買意欲や「今すぐ買いたい」気持ちが最高潮に高まるように刺激します。

「メガ割」4か月前からセール初日までに実施すること
「メガ割」4か月前からセール初日までに実施すること

約30万の総フォロワー数を持つ「ナラ」のアカウントでは、複数の投稿を展開。そのうちの1つは172万回再生/1.2万保存を記録し、大きな反響を獲得しました。

結果として「メガ割」の2週間で、累計の販売商品数は4600セット、売上高は2700万円の成果につながりました。この「メガ割」の成果は、私たちがこれまでの豊富なインフルエンサー施策経験から培ってきた独自の考え方に基づいています。

一般的なインフルエンサープロモーションは情報発信に留まりがちですが、特に注目度が高い「メガ割」のようなイベントでは、「いつ」「どんな情報を」「どう伝えるか」を戦略的に設計することが重要です。

消費者の行動変容を促すのは「保存される投稿」

インフルエンサーを活用した施策を紹介しましたが、そもそも成果につながる投稿を作れるインフルエンサーは、どのように見つければ良いのでしょうか。

すべてのインフルエンサー施策において最重要ポイントとも言える「インフルエンサーの選び方」について、私たちが月間3万件以上の投稿データを日々分析することで見えてきた「成果を出せるインフルエンサー」に共通する傾向、その見極め方を具体的に解説していきます。

「成果を出せるインフルエンサー」が持つ4つの共通点

私たちの分析では、「成果を出せるインフルエンサー」には、共通して以下の4つの力があると考えています。

  1. 消費者目線で「気づき」をくれる:企業にはない視点や言葉選びで、商品の魅力をより自然に伝える力。投稿の切り口が新たな発見につながることもあります
  2. トレンドを敏感にキャッチする:SNSトレンドを素早く捉え、投稿に自然に取り入れられる感度の高さ
  3. 購買を促す「プレゼン力」がある:なぜおすすめなのか、どんな人向けかなどを、自分の言葉でわかりやすく語れる力
  4. フォーマット適応力を備えたコンテンツ表現力:静止画、ショート動画、リールなど、各SNSに最適な形式・構成で投稿を作り上げる表現力
拡散力のあるコンテンツを作成できるインフルエンサーの特徴
拡散力のあるコンテンツを作成できるインフルエンサーの特徴

成果を出すインフルエンサーの見極め方

では、このようなポテンシャルを持つインフルエンサーを、具体的にどう見極めれば良いのでしょうか?

ポイントとしてお伝えしたいのは、「Qoo10」の事例にもあった通り、インフルエンサー施策を行う際、売り上げなどの成果にひも付く投稿には、必ずと言っていいほど「保存」というアクションが伴っているということです。

保存という行動は、「あとで見返したい」「忘れずに検討したい」というユーザー心理の表れです。消費者に刺さった投稿は結果として保存されやすく、この傾向は一般的なインフルエンサーマーケティングにおいても変わりません。

だからこそ、インフルエンサーの選定においても、日ごろ投稿しているテーマとブランドとの親和性やリーチ数はもちろん、過去のPR案件での保存率など「態度変容に寄与できるか」という視点が重要だと考えています。

私たちが実際に重視しているのは、次の4つのポイントです。

  • 保存率:リーチ数に対する保存数の割合。購買検討フェーズへの入り口を示す重要な指標です
  • コメントの質:感想だけでなく、「使ってみたい」「どこで買える?」など、具体的な検討や購買意欲を示す反応があるか
  • 投稿テーマと商品の親和性:インフルエンサーの世界観に、自社の商品が自然に馴染んでいるか
  • ブランド文脈に沿った発信ができるか:単発PRではなく、ブランドのストーリーやメッセージに沿った発信ができるか
◇◇◇

次回は、インフルエンサー施策を単発で終わらせず、持続的なブランド成長につなげる新しいアプローチ「インフルエンサーグロース」について詳しくご紹介します。

PLAN-Bは、「世界中の人々に『!(驚き)』と『♡(感動)』を」を経営理念とし、デジタルマーケティング事業やマーケティングDX事業を中心に、顧客志向と技術力を強みにお客さまの事業成長に貢献するデジタルマーケティングエージェンシーです。

当社が提供する「Cast Me!」 は、消費者の心に響く、 拡散力のあるクリエイティブが作れるインフルエンサーとのマッチングや無料の投稿二次利用を通じて、ブランド価値の伝播から新たな価値創出まで、革新的なコミュニケーションの形を提供します。

Cast Me!:https://castme.jp/

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