口紅、リップクリーム、グロス、リップライナー、リップバームなど、リップ系商品の広告表現の注意点
唇がもたらす印象は大きく、おしゃれな女性は口紅の流行色にも敏感です。また、どんなにきれいにメイクをしていても唇がガサガサでは台無し……ということで、念入りにケアをしている方は多いのではないでしょうか? また最近では、リップクリームで唇のお手入れをしている男性も珍しくありません。
今回は、性差なくニーズを集めるリップ系化粧品の広告について、表現できる範囲を整理してみましょう。
いわゆる「口紅」だけじゃないリップ系商品
「口紅」「リップクリーム」「ティントリップ」「リキッドルージュ」「グロス」「リップライナー」「リップバーム」「下地」「唇用美容液」などなど、リップ系商品といっても実にさまざまな商品があります。また、化粧品に限らず、医薬部外品、医薬品と用途・効果も多岐に渡ります。
広告で標ぼう可能な範囲は、「化粧品で標ぼう可能な56の効能効果」の中の、42番から48番が該当します。
(42)口唇の荒れを防ぐ。
(43)口唇のキメを整える。
(44)口唇にうるおいを与える。
(45)口唇をすこやかにする。
(46)口唇を保護する。口唇の乾燥を防ぐ。
(47)口唇の乾燥によるカサツキを防ぐ。
(48)口唇を滑らかにする。
リップ系化粧品の中でも「口紅」「色付きリップクリーム」「ティント」「リキッドルージュ」「グロス」など、色が付くアイテムには、「唇にメーキャップ効果を施す」という目的があります。
これらの着色、あるいは無色でも物理的に唇の溝を埋める下地的な用途を持つものは、事実であることを前提に、
メーキャップ効果によりシワを目立たなくする。
といった表現が可能と判断できます。
よく見かける「唇の縦ジワ」という表現についても、メーキャップ効果がある商品であれば、同様の考え方ができます。ただし、メーキャップ効果だったとしても「唇の縦シワを完全に消す」というような表現は、効果を保証する表現と解釈されますので不可です。
色が付かないリップクリームの注意点
メーキャップ効果を持たない、無色のリップクリームなどはどう考えるべきでしょうか。
最も注意しなければならないのは、「二次的・三次的効果を述べることは禁止」ということです。
例えば前半でした「(44)口唇にうるおいを与える」の二次的効果として「(うるおいが与えられれば、その結果として)唇の縦ジワを薄くする」と標榜することはできない、ということです。
医薬品等適正広告基準
第4(基準)
3効能効果、性能及び安全性関係
(1)承認等を要する医薬品等についての効能効果等の表現の範囲
承認等を要する医薬品等の効能効果又は性能(以下「効能効果等」という。) についての表現は、明示的又は暗示的であるか否かにかかわらず承認等を受けた効能効果等の範囲をこえてはならない。
<共通>
(3)効能効果等の副次的効果の表現について
効能効果等の二次的、三次的効果等の表現は、本項に抵触するため行わないこと。
また、本基準第4の3(8)「本来の効能効果等と認められない表現の禁止」も参照すること。
--------
3(8)本来の効能効果等と認められない表現の禁止
医薬品等の効能効果等について本来の効能効果等とは認められない効能効果等を表現することにより、その効能効果等を誤認させるおそれのある広告を行ってはならない。
実際に「口唇にうるおいを与える」効果を持っていたとしても、その次の効果として「唇の縦ジワを薄くする」といった標榜を行うのは「効果の逸脱」と解釈される可能性があります。十分に注意をしましょう。