稲留 万希子 2016/8/2 7:00

薬機法(薬事法)などの法律で多くの表現が規制されている通販化粧品。ただ、メーキャップ化粧品は物理的効果が期待できますので、どこまで表現できるのか事業者にとって悩みの種です。「シミ」「シワ」「肌色改善」「年齢対策」など、通常の化粧品では難しい表現を、“カバー”という側面から訴求することができます。メーキャップ化粧品はどういった表現まで可能なのでしょうか。

メーキャップ効果は色彩効果を有することが原則

商品の多様化から、広告上で“メーキャップ効果(物理的効果)”の事実性を判断することが難しくなってきました。

たとえば化粧下地。「ストレッチ素材成分が入り、シワを伸ばす」といった表現の場合、肌に対する改善効果ではなく、あくまでも“物理的効果(メーキャップ効果)”のように受け取ることができます。実際、“シワを伸ばす”と表現できるものなのでしょうか。

約3年前の2013年4月8日、日本化粧品工業連合会からメーキャップ化粧品の広告表現についてという通知が出ました。この資料では、メーキャップの定義から、効果の範囲などがまとめられています。

まず、メーキャップ化粧品の定義を説明しましょう。

1. メーキャップ化粧品の範囲

ガイドラインにおいて、「メーキャップ化粧品」の範囲は、薬事法第2条第3項で規定する化粧品の定義のうち「容貌を変える効果を主目的として使用される化粧品」であって、以下に適合するものとする。

「ファンデーション類」、「白粉打粉類」、「口紅類」、「眉目頬化粧品類」及び「爪化粧品類」のいずれかに属するものであって色彩効果を有する化粧品(タルカムパウダー、リップクリーム等の色彩効果を有さない製品は除外する)。

大きなポイントは「色彩効果を有する」という箇所。“メーキャップ効果”というのは、色彩効果を有している商品を指しています。

しかし、世の中には色彩を有しない製品もあります。こうした場合は、どのように考えたらよいのでしょうか。通知のなかではこう記載されています。

2. メーキャップ効果の範囲
メーキャップ効果とは、「メーキャップ化粧品」による色彩効果を原則とするが、「メーキャップ化粧品」以外の化粧品による「色彩効果以外の物理的な効果」についても、メーキャップ効果を表示し、広告することは事実に反しない限り認められる。

色が付いていない製品をすべて排除するものではなく、色が付いていなくても“物理的な効果でメーキャップ効果を持つ”ものであれば、事実に反しない限り効果を表示することは可能ということです。

事例ごとに判断するケースもあり

ただし、気を付けなければいけないことがあります。通知のなかでは、無色のメーキャップ化粧品として2つの事例が紹介されています。

  • まぶたを糊のようなもので貼り合わせて一時的に二重まぶたを形成する効果
  • 美容液等の皮膜形成成分が乾燥過程での収縮等の物理的効果により容貌を変える効果

メーキャップ効果の範囲と考えられるものの、ケースバイケースで判断するとしています。

“メーキャップ効果”を前提にしていれば良いとうことではなく、事実なのかどうかを踏まえて事例ごとに判断することになり、注意が必要ということです。

たとえば、冒頭であげた「ストレッチ素材成分が入り、シワを伸ばす」という商材の場合、成分の効果(薬効)ではなく、物理的な効果によるものであり、それが事実であれば表現は可能と判断できます。ただ、事実であった場合、塗ったときのごわつき感やつっぱり感など、物理的な不快感が発生するはずです。

それなのにも、「何もつけていないようなサラッとした使い心地」などの表現は誤認を与えるということにつながりかねませんので、事実確認も含め十分な注意が必要です。

なお、明らかなメーキャップ効果だったとしても、シワや毛穴を完全になくす「深いシワや毛穴も一塗りで無かったことに!」といった表現は、効果の保証になるため認められていません。過度な表現とならないように注意しましょう。

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