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化粧品や健康食品などを含め、通販商品の広告では「100%返金保証」「お気に召さなかった場合、商品購入代金を全額お返しします」というフレーズがよく使用されています。多くの通販サイトでも利用されているこのフレーズ、各種法律上問題はないのでしょうか? 消費者の購入を後押しするためのこのフレーズについて考えてみましょう。

景品表示法:返金に応じる条件の明確な表示が必要

景品表示法の「有利誤認」の観点から分析してみましょう。

まずは「有利誤認」の確認から。

有利誤認(4条1項2号):取引条件(価格など)に関する事項

事業者が、自己の供給する商品・サービスの取引において、価格その他の取引条件について、一般消費者に対し、
(1)実際のものよりも著しく取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるもの
(2)競争事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるものであって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示の禁止(有利誤認表示の禁止)。

と定められています。

以上を鑑みると、一番大切なのは「全額返金保証」という文言が一人歩きしないようにするため(有利誤認とならないよう)、返金に応じる条件(具体的内容・範囲)が正確かつ明瞭に表示されている必要があります。

「全額返金保証」における「返金に応じる条件」について、法律で細かく取り決めがあるわけではないものの、無茶苦茶な条件を設定してしまえば、消費者からクレームが殺到する事態になりかねません。

こうした事態を未然に防ぐために、履行可能な範囲の条件設定が望ましいということになります。返金に応じる条件が困難な場合には、誤認にあたる可能性があることも注意が必要です。

また、その条件を正確かつ明瞭に表示しておくことも大切。細かい字や、離れた場所に記載するといった行為は誤解を招く要因となります。

化粧品、健康食品には法律上の規制

商品の分野ごとに、「全額返金保証」という表現が使用できるか否かも考慮する必要があります。

  • 化粧品
  • 食品
  • 雑貨
  • 医療広告
  • エステ広告

それぞれ考えてみましょう。

【化粧品】

化粧品広告でよく見かけるフレーズには、

  • 「効果が無ければ全額返金保証」
  • 「実感いただけなければ全額返金保証」
  • 「満足いただけなければ全額返金保証」

といったものがあります。それぞれの表現の使用可否はどのように考えたらいいのでしょうか。

医薬品等適正広告基準に下記のような記載があります。

【基準3(6)】効能効果等又は安全性を保証する表現の禁止
医薬品等の効能効果等又は安全性について、具体的効能効果等又は安全性を摘示して、それが確実であることを保証をするような表現をしないものとする。

効能効果について、それが確実であることを保証するような表現は禁止されていますので、少なくとも「効果が無ければ全額返金保証」のフレーズは不可となります。

「実感いただけなければ全額返金保証」も、上記程ではないものの、やはり効果につながるため不可と考えるのが無難でしょう。

「満足いただけなければ全額返金保証」の場合、満足はあくまでも使用感なのかもしれない(使ってみて合わない、においが気になる……などの理由で使用をやめてしまうかもしれない)ので、3つの中では最も使用できる可能性があると考えられます。

もちろん、ルールに沿って厳密に考えれば“好ましくない”とせざるを得ないものと思いますが、“満足”の中身次第(効能効果の保証にならないこと)となるのではないでしょうか。

化粧品についてまとめると、

  • 「効果が無ければ全額返金保証」…×
  • 「実感いただけなければ全額返金保証」…×
  • 「満足いただけなければ全額返金保証」…△(そもそも薬機法で制限をうける化粧品である以上好ましくないが、“満足”の中身による)

【食品類】

可能(不可とする法律がないため)です。ただ、「有利誤認」にならないように注意が必要です。

ただし、“いわゆる健康食品”においては効能効果の標榜そのものができないため、「効果が無ければ全額返金保証」という表現自体が、医薬品的効能効果を暗示するものと解釈されてしまう恐れがあります。「実感いただけなければ全額返金保証」「満足いただけなければ全額返金保証」であれば問題はないでしょう。

特定保健用食品を含む特別用途食品及び機能性表示食品についてはそもそも“医薬品”に該当しないものとされています。そのため、「効果」という言葉の使用が可能となると考えられます。

ただ、この点については見解の分かれる部分であるため、使用する場合は注意が必要です。

【雑貨】

可能(不可とする法律がないため)です。有利誤認にならないように注意が必要。

【エステ広告】

可能(不可とする法律がないため)です。有利誤認にならないように注意が必要。

【医療広告】

医療広告ガイドラインに基づき、費用を強調した広告は「品位を損ねる内容」のため不可。

となります。「100パーセント全額返金」などの表現は効果的なだけに、正しく使っていきましょう。

◇◇◇

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稲留 万希子

薬事法広告研究所 代表

東京理科大学卒業後、大手医薬品卸会社にて医療従事者向けポータルサイトの企画運営に従事。東洋医学に興味を抱いたことをきっかけに、中医学専門学校にて3年間薬膳料理や漢方について学ぶ。その間、ヘルスケア分野でのビジネス展開には薬事法を避けて通れない事から、薬事法と広告についても並行して学び、その後、国際中医専門員、漢方薬膳療術師、反射療法士、薬事法管理者、コスメ薬事法管理者の資格を取得し独立。2008年3月、薬事法広告研究所の設立に参画、副代表を経て代表へ就任。現在、一般社団法人 通販エキスパート協会 代表理事を兼任。

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