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“他社との違い”を打ち出して差別化を図る広告を良く見かけます。会社および商品のセールスポイントを表すものですから、消費者に何が強みなのかをストレートに伝えることにもつながります。しかし、他社との違い(他社との比較)を掲載する際、好き勝手に表現してよいものではありません。下手すればお客さまに“下品だ”“感じ悪い”といった悪印象を与えたり、倫理的な問題にも問われかねません。今回は他社との比較を行う際のコンプライアンス上の注意ポイントを紹介します。

比較広告は3要件すべてを満たす必要あり

はじめに“比較広告”とは何かのご説明を。比較広告とは、他社製品と性能などを比較し、自社製品の優位性をうたうものを指します。

景品表示法を管轄していた公正取引委員会(現在は消費者庁)が「比較広告に関する景品表示法上の考え方(比較広告ガイドライン)」を公表し、そこで適正な比較広告の要件、その他注意事項などについての考え方を示しています。重要な一部を抜粋してみましょう。

比較広告ガイドラインのポイント<一部抜粋>

比較広告が不当表示にならないようにするためには、一般消費者に誤認を与えないようにするため、次の3つの要件をすべて満たす必要があります。

  1. 比較広告で主張する内容が客観的に実証されていること。 
  2. 実証されている数値や事実を正確かつ適正に引用すること。 
  3. 比較の方法が公正であること。

1~3は、どのように解釈されているのか。それぞれ見てみましょう。

1. 比較広告で主張する内容が客観的に実証されていること

<客観的実証とは>

  • 実証が必要な事項の範囲は、比較広告で主張する事項の範囲

<実証の方法>

  • 比較する商品などの特性について確率された方法がある場合にはその確立された方法で行う。
  • それが無い場合には社会通念上及び経験則上妥当と考えられる方法によって、主張しようとする事実が存在すると認識できる程度に行う。

<ポイント>

  • 国公立の試験研究機関などの公的機関、中立的な立場で調査、研究を行う民間機関など、調査を行った機関が広告主とは関係のない第三者が望ましい。
  • 広告主と関係ない第三者が行ったものでなくても、その実証方法などが妥当なものである限り可能(ただし、自社もしくは自社に関連する所が行う評価は、良い結果に偏る傾向が否めないため、そういう面から考えれば無関係な第三者によるものが望ましいと言えます)。
  • 公的機関が公表している数値や事実及び比較対象商品などを供給する事業者がパンフレットなどで公表し、かつ、客観的に信頼できるものと認められる数値や事実は当該数値や事実を実証されているものとして取り扱い可能。

2. 実証されている数値や事実を正確かつ適正に引用すること

<調査結果の引用の方法>

  • 実証されている事実の範囲内で引用すること
  • 調査結果の一部を引用する場合には、調査結果の趣旨に沿って引用すること

<データの表示についてのポイント>

  • 調査機関、調査時点、調査場所等の調査方法に関するデータを【広告中に表示することが適当】である。
  • 調査方法を適切に説明できる限り、広告スペースなどの関係から、これらデータの【省略は可能】。
  • 調査機関や調査時点等をあえて表示せず、調査の客観性や調査時点などについて一般消費者に誤認を生じさせることとなるような場合は不可。
  • 引用データの著作権に注意。

3. 比較の方法が公正であること

<ポイント>

  • 社会通念上又は取引通念上、同等のものとして認識されていないものと比較し、あたかも同等のものとの比較であるかのように表示する場合は不可。
  • 製造又は販売が中止されている商品などと比較しているにもかかわらず、あたかも現在製造又は販売されている商品などとの比較であるかのように表示する場合は不可。

<短所の表示>

  • 一般に、ある事項について比較する場合、これに付随する他の短所を表示しなかったとしても可能。
  • 表示を義務付けられており、又は通常表示されている事項であって、主張する長所と不離一体の関係にある短所について、これを殊更表示しなかったり、明りょうに表示しなかったりするような場合は不可。

比較広告は自社の製品を他社のものより良く見せるものではない

問題となる比較広告の具体例は、以下のような実例があげられています。

× → 「この技術は日本で当社だけ」と表示したが、実際は他社でも同じ技術を採用した機械を販売していた。

× → 店頭チラシの料金比較で,自社が最も安いように表示したが実は自社に不利となる割引サービスを除外して比較していた。

× → 新聞折り込みチラシで、「この辺で一番安い店」と表示していたが、実際は周辺の商店の価格調査をしておらず、根拠のないものであった。

上記のような表現は“不当な比較広告”に該当する可能性があります。

比較広告の大前提は、“競争事業者の商品との比較そのものについて禁止し、制限するものではない”ではありますが、あくまでも、一般消費者が商品を選択するに当たって、同種の商品の品質や取引条件についての特徴を適切に比較し得るための具体的情報を提供するものであり、決して自社の製品を他社のものより良く見せるものではありません。

単に競争事業者又はその商品を誹謗し又は中傷するものは一般消費者の適正な商品選択を阻害する表示にあたり、不当表示に該当するおそれがありますので注意が必要です。

次回は、更に具体的に、健康食品、雑貨、化粧品の広告における比較広告の注意ポイントについてご紹介致します。

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稲留 万希子

薬事法広告研究所 代表

東京理科大学卒業後、大手医薬品卸会社にて医療従事者向けポータルサイトの企画運営に従事。東洋医学に興味を抱いたことをきっかけに、中医学専門学校にて3年間薬膳料理や漢方について学ぶ。その間、ヘルスケア分野でのビジネス展開には薬事法を避けて通れない事から、薬事法と広告についても並行して学び、その後、国際中医専門員、漢方薬膳療術師、反射療法士、薬事法管理者、コスメ薬事法管理者の資格を取得し独立。2008年3月、薬事法広告研究所の設立に参画、副代表を経て代表へ就任。現在、一般社団法人 通販エキスパート協会 代表理事を兼任。

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