通販会社の関心を集める「食品の機能性表示」ですが、2014年12月19日現在、まだベースとなるガイドラインは出ていません。ですが、先日12月9日に行われた消費者委員会の会合では、やっと機能性表示に関する「食品表示基準(案)」答申案が了承され、且つ、名称が当初と変わらず「機能性表示食品」ということで決定しました。食品の機能性表示解禁に向けて、着実に前進しています。年明けになるであろうと言われているガイドライン発表で慌てることの無いよう、心構えはしておいた方が良さそうです。

無添加の化粧品の表現は、何が“無添加”なのかを記載する必要がある

今回は自然志向への高まりから人気を集める傾向にある、“無添加”を掲げる化粧品の表現についてご紹介致します。

日常的に見かける“無添加”及び“無着色”といった表現にもルールがあるのをご存知ですか? 「事実を伝えているだけだし、問題があるなんて考えたこと無かった…」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

化粧品公正取引協議会(※1)が定める「化粧品の表示に関する公正競争規約」では、

「無添加」、「無配合」、「不使用」等ある種の成分を配合していないことを意味する用語を表示する場合は、何を配合していないかを明示すること。

と書いています。これには2つのポイントがあります。

①ある種の成分を配合していないことを表示する場合は、何が入っていないのか、その成分名称を併記する

例:パラベン無添加、ノンエタノール

②ある種の成分群に属する成分すべてを配合していないことを表示する場合は、その配合されていない成分群を併記する

例:タール色素不使用、紫外線吸収剤無配合、オイルフリー

要は、単に「無添加」だけ述べてしまうと、何が無添加なのか伝わらずお客さまに誤解を与えてしまうため、何が無添加なのかを記載する必要があるということです。例えば、「無添加(※)」などと記し、続いて「※香料、鉱物油、保存料不使用」など打ち消しを明確に記さなければなりません。

また、「無着色」をうたう場合にも、特定の成分群のみが配合されていないのであれば、単に「無着色」だけだと誤解を生むため、例えば化学合成の“タール色素”のみを使用していない(原材料から抽出した色素は使用している)のであれば「タール色素不使用」としなければならないということです。

一方、薬事法(現在の医薬品医療機器等法。平成26年11月25日改正)に基づいて、広告が虚偽誇大にならないよう適正を図るため、当時の厚生省薬務局長(現在は厚生労働省医薬食品局長)から出された「医薬品等適正広告基準」及び、それを元に条件や解説を加えた「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等」には下記のような事が記されています。

化粧品及び薬用化粧品において、「肌のトラブルの原因になりがちな指定成分・香料を含有していない。」等の表現は不正確であり、また、それらの成分を含有する製品のひぼうにつながるおそれもあるので、「指定成分、香料を含有していない。」旨の広告にとどめ、「100%無添加」「100%ピュア」等のごとく必要以上に強調しないこと。

ここで出ているポイントは2つです。

①単に「指定成分、香料を含有していない。」を述べるのであれば差し支え無いものの、他社を比較・誹謗したりする表現は不可

例えば……
×  肌トラブルを招くパラベンは使用しておりません。
パラベンは使用しておりません。
理由…“パラベンを含有する化粧品は肌トラブルを招く”という意味になり、パラベンを含有している他社製品に対する誹謗になるため。

②「100%無添加」「100%ピュア」等、必要以上に強調することは不可

また、日本化粧品工業連合会(※2)における「化粧品等の適正広告ガイドライン 2012年版」においても、下記のようなことが書かれています。

特定成分の未含有表現いわゆる「無添加」等の表現については、何を添加していないのか不明であり、不正確な表現となる。従って、キャッチフレーズとしては行わない。ボディー部分において添加していない成分等を明示して、かつ、安全性等保証的にならない場合に可能。

ここで出ているポイントは3つです。

  1. 何を配合していないかを、しっかり明示する。
  2. キャッチコピー等のような形では使わない。
  3. 安全性の保証にならないようにする。
    例:「香料不使用だから安心です。」等は不可。

あくまでも見せ方として、“入っていないという事実のみを情報として伝える”という程度に留めるということになります。

それぞれをまとめると、

・キャッチコピーとして用いず、ボディー以下の所で使用する。
・何が使用されていないのかを明確に記す。
・他社誹謗にならないようにする。
・安全性の保証にならないようにする。
・「100%」等をつけることで、過剰な強調表現としない。

となります。“無添加”や“無着色”といった表現を使う際には、この点にぜひ注意してください。

最後に、たまに見かける「旧指定成分は無添加」という表現についても触れておきましょう。かつて薬事法では、特定の成分を配合する場合に、その成分が配合されている旨を事実に基づいて表記する事が義務付けられていました。当時の厚生省に香料を含めて102種類指定されており 、それがここで言う所の“旧指定成分”です。

このルールは2001年3月までが適用され、2001年4月からはこのルールに代わって“化粧品に配合されている成分すべてを、化粧品容器に表記する”ことが決められました。これが現在運用されている“全成分表示”になります。

「化粧品の表示に関する公正競争規約」にあるように“当該成分群”として丸めて書くのは可能といったところから考えると、「旧指定成分は無添加」と記載できるような印象を受けます。しかし「旧指定成分は無添加」という表現は、一般の方が理解できる表現とは言えず、「旧指定成分は無添加」とわざわざ書くことがイコール安全性の保証と解釈される可能性は否めませんので、行政の言葉を借りるのであれば『好ましくない』『ふさわしくない』『避けていただきたい』というものになると考えられますので、「旧指定成分は無添加」という表現は使用しないほうがいいといえるでしょう。

◇◇◇

※1…化粧品公正取引協議会とは、「化粧品の表示に関する公正競争規約」を運用するための機関として、昭和47年2月に公正取引委員会の承認を受けて設置された任意団体のこと。規約についての指導、調査、違反者への措置、官公庁との調整などを行う。東京本部(東京化粧品工業会)、近畿本部(西日本化粧品工業会)、中部化粧品工業会、日本輸入化粧品協会によって構成されている。

※2…日本化粧品工業連合会とは、東京化粧品工業会、西日本化粧品工業会、中部化粧品工業会によって構成されている業界団体のこと。略して“粧工連”とも呼ばれる。年3回、一定期間に出稿されたテレビCM、新聞広告、雑誌広告を「化粧品広告審査会(第三者委員等の学識経験者で構成) 」で審査し、その審査対象とした広告素材のうち、審査会で問題があると指摘されたものについては、その審査結果をまとめて会員に公表することによって注意喚起を促したり、改善要請も行っている。

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稲留 万希子

薬事法広告研究所 代表

東京理科大学卒業後、大手医薬品卸会社にて医療従事者向けポータルサイトの企画運営に従事。東洋医学に興味を抱いたことをきっかけに、中医学専門学校にて3年間薬膳料理や漢方について学ぶ。その間、ヘルスケア分野でのビジネス展開には薬事法を避けて通れない事から、薬事法と広告についても並行して学び、その後、国際中医専門員、漢方薬膳療術師、反射療法士、薬事法管理者、コスメ薬事法管理者の資格を取得し独立。2008年3月、薬事法広告研究所の設立に参画、副代表を経て代表へ就任。現在、一般社団法人 通販エキスパート協会 代表理事を兼任。

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