稲留 万希子 2015/2/13 6:00

公開が待たれる機能性表示食品のガイドラインですが、2015年2月8日現在まだ公表されていません。消費者庁食品表示企画課いわく、公表の時期は未定だそうですが、もうそろそろ…と期待されています。そんななか、1月14日に行われた、政府の規制改革会議「第28回健康・医療ワーキング・グループ」で、「機能性表示食品に係る届出に関するガイドライン(案)の概要」が議題にあがりました。

機能性表示食品のガイドラインで注目集める“表示のあり方”とは

「第28回健康・医療ワーキング・グループ」で発表された概要は“まだ詳細を詰めているため変わる部分が出る可能性もある”としています。が、恐らく大きな変更はないまま、ガイドライン制定に至ると想像できます。

内容は6章にわたり、運用・実施のための具体的な事項が掲載されています。

今回は特に注目を集める、表示のあり方について以下にあげる3つのポイントを説明しましょう。

  • 過剰な摂取に繋がる食品類は対象外
  • 機能性表示の範囲がさらに明確化
  • 消費者の購入意欲を掻き立てる情報開示も可能

過剰な摂取に繋がる食品類は対象外に

今回の機能性表示食品は、生鮮食品などを含む食品全般を対象としていますが、対象外となるものを3つ定めています。

  1. 特別用途食品、栄養機能食品と重複することはできない
    特別用途食品とは、特定保健用食品をはじめ病者用食品、妊産婦・授乳婦用粉乳、乳児用調製粉乳、えん下困難者用食品を指します。これら、および栄養機能食品の場合には、機能性表示食品には該当しないということを意味します。
  2. アルコールを含有する飲料(アルコールを含有する食品を含む)を対象外とする
  3. 国民の栄養摂取の状況からみて、その過剰な摂取が国民の健康の保持増進に影響を与えているものとして、脂質、飽和脂肪酸、コレステロール、糖類、ナトリウムの過剰な摂取につながる食品は対象外とする
    アルコール含有飲料やアルコール含有食品、さらに、脂質、飽和脂肪酸、コレステロール、糖類、ナトリウムの過剰な摂取に繋がる食品類は、機能性表示食品には該当しないということを意味します。

機能性表示の範囲がさらに明確化

表示の範囲については従来の想定通り、表示しようとする機能性の科学的根拠を説明するものとして、次の2つのいずれかの資料の存在を前提に、機能性を表現できるということになります

  1. 最終製品を用いた臨床試験
  2. 最終製品又は機能性関与成分に関する研究レビュー

その上で今回の発表で可能な機能性表示の範囲がさらに明確化されました。それは、“健康の維持及び増進に役立つ、又は適する旨を表現するもの”です。

例として3つがあげられています。

  1. 容易に測定可能な体調の指標の維持に適する又は改善に役立つ旨
  2. 身体の生理機能、組織機能の良好な維持に適する又は改善に役立つ旨
  3. 容易に測定可能な体調の指標の維持に適する又は改善に役立つ旨

なお、疾病リスクの低減に資する旨の禁止、及び、明らかに医薬品と誤認されるおそれのあるものであってはならない。

当初の予定通り、骨、関節、筋肉など身体の特定の部位に言及した表現や、現状の特定保健用食品で認められている範囲内の表現(疾病リスク低減表示は除く)は表現できるということで相違ないようです。

また、認められない表現例としては、以下3つがあげられています。

  1. 疾病の治療効果又は予防効果を暗示する表現
    (例)糖尿病の人に、高血圧の人になど
  2. 健康の維持及び増進の範囲を超えた、意図的な健康の増強を標ぼうするものと認められる表現
    (例)肉体改造、増毛、美白など
  3. 科学的根拠に基づき実証されていない機能性に関する表現

特に、3.の「科学的根拠に基づき実証されていない機能性に関する表現」では例として以下のようなことが明記されています。

限られた免疫指標のデータを用いて身体全体の免疫に関する機能があると誤解を招く表現、in vitro 試験(※)や動物を用いた in vivo 試験(※)で実証された根拠のみに基づいた表現、 4抗体や補体、免疫系の細胞などが増加するといった in vitro 試験や in vivo 試験で科学的 に実証されているが、生体に作用する機能が不明確な表現等

以前、消費者庁食品表示企画課の塩澤信良食品表示調査官の発言として、「免疫」について機能性を評価するのは一般的に考えて難しいのでは、というものがあり話題となりました。

しかし、上記例を見る限りでは、頭ごなしに不可とされているのではなく、多少なりとも希望がもてるのではないでしょうか(実証できるかどうかはわかりかねますが、たとえば、限られた免疫指標のデータであれば、その限られた部分だけの免疫に関する機能であれば表現できる範囲と読み取ることができます)。

消費者の購入意欲を掻き立てる情報開示も可能

表示の仕方については、容器包装への表示以外に、消費者庁のウェブサイトおよび企業などのウェブサイトにおいて情報を開示することが明記されています。興味深いのが以下の文章です。

なお、専門知識を有さない一般消費者が分かるように、高度な専門用語や内容について誤解を生じさせない範囲内で、なるべく平易な言葉に置き換えた情報も開示する。

エビデンスそのままの開示ではなく、消費者がわかりやすいように噛み砕いて紹介できるということになりますので、工夫次第で消費者の購買意欲をかき立てることにつながります。まさにネットショップ運営担当者の腕の見せ所になるのではないでしょうか。

機能性表示の解禁後、多くの機能性表示食品が一気に出回る、ということは考えにくいです。従来通りの健康食品が多くを占めることになりそうですが、近い将来、市場バランスは大きく変化しているなんてこともあるのかもしれません。

実際、先を行く米国では、ダイエタリーサプリメントの表示制度が制定された1994年から、わずか20年で売上高が4倍に成長したという事例があります(今回の日本における機能性表示は、この米国のダイエタリーサプリメントの表示制度を参考にしています)。

健康食品を扱っているのであれば、今後無視できない制度になることは間違いないことですので、ぜひ関心を持って情報を収集してみてください。

 

≪用語解説≫
・in vitro 試験… 実験条件が人為的にコントロールされた環境にあるもの。例えば試験管内。
・in vivo 試験… in vitro 試験の対義語。実験条件が人為的にコントロールされていない環境にあるもの。例えば生体内(細胞内)。
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