化粧水などの広告表現としてよく利用されている「浸透」という表現は、薬事法上、アウトでしょうか? セーフでしょうか? その可否について紹介します。化粧品は角質層までしか浸透しないと規定されていますが、表現の部分ではどうなのでしょうか。

表現においても浸透の範囲は角層までが鉄則

化粧水などの広告では、よく「浸透」という言葉が使われています。薬事法では、化粧品に配合された成分が浸透するのは角質層までと定められています。

ただ、「自社の商品は角質にとどまらず、もっと深く浸透する」「お客さまに事実ではない事をお伝えすることに違和感がある」と感じる化粧品メーカーが存在するのは事実です。こうした場合でも、浸透力を表現することはできないのでしょうか。

結論として、化粧品の浸透を広告で表現するのは「角層まで」。これが鉄則です。

日本化粧品工業連合会「化粧品等の適正広告ガイドライン2012年版」のなかに、次のような記載があります。

E3 「角質層・毛髪への浸透」等の作用部位の表現

化粧品において、細胞分裂が殆ど行われていない表皮の角質層や毛髪部分へ化粧品成分が浸透する表現を行う場合は、浸透する部位が「角質層」や「毛髪」の範囲内であることを併記すること。
浸透して損傷部分が回復(治療的)する等の化粧品の効能効果の範囲を逸脱する表現は行わない。
なお、医薬部外品の作用部位の表現を行なう場合は、事実に基づき、承認を受けた範囲を逸脱しないこと。

〔表現できる例〕
「角質層へ浸透」、「角質層のすみずみへ」、「髪の内部へ浸透」

〔表現できない例〕
「肌へ浸透」(「角質層」であることが併記されてない)
「肌の奥深くへ」、「角質層の奥へ」
「ダメージを受けた角質層へ浸透して肌本来の肌に回復」(回復的)
「傷んだ髪へ浸透して修復」(回復的)
「肌の内側(角質層)から・・・」(医薬品的)

【関連法令等】 医薬品等適正広告基準 3(6)

ここで記載されているポイントは、

  • 肌の場合は「角質層(角層)」の範囲内にとどめること
  • 毛髪の場合は、単に「毛髪」の範囲に収まれば「毛髪へ浸透」でOK
  • 医薬部外品の場合には、承認の範囲を逸脱しないのであればOK

の3点。今回のテーマは、化粧品ですので、「肌の場合は『角質層(角層)』の範囲内にとどめること」を詳しく見てみましょう。

角質層を「超える」と捉えられる表現はNG

表現できる例として、次のような表現があります。

○ 角質層へ浸透
○ 角質層のすみずみへ

× 肌へ浸透
× 肌の奥深くへ
× 角質層の奥へ

この表現例からわかることを解説すると、

  • 浸透を述べる場合には「角質層(角層)」までであることをきちんと明示しなければならない
  • 「角質層(角層)」と書いておけば良いのではなく、言葉から伝わるイメージとして角質層を『超える』と捉えられる表現はNG

ということです。

日本化粧品工業連合会における広告審査会のなかでも、この角質層への浸透と表現は議題にあがっているようで、不可と判断されたよく表現例を見聞きします。

たとえば……

  • 角層の奥まで
    ⇒ 現状はNGではないが今後検討(なお、「角質層の奥へ」はNGとされています)
  • 肌の奥深く(その上で「※角質層」と打ち消しの表現を入れる)
    ⇒ NG。“角質層にとどまると打ち消しの表現を入れても、“奥深く”と“角質層”をイコールとするのは不適当

といったものがあります。

「角質層」はわずか0.02ミリであり、決して“深い”と言える幅ではないということが根底にあるのでしょう。

特に「肌の奥へグングン浸透」と表現しながら、※印をつけ「※角質層内」とする表現はよく使われています。問題とされてしまう可能性をはらんでいるということを心の片隅に置いておくことが必要です

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稲留 万希子

薬事法広告研究所 代表

東京理科大学卒業後、大手医薬品卸会社にて医療従事者向けポータルサイトの企画運営に従事。東洋医学に興味を抱いたことをきっかけに、中医学専門学校にて3年間薬膳料理や漢方について学ぶ。その間、ヘルスケア分野でのビジネス展開には薬事法を避けて通れない事から、薬事法と広告についても並行して学び、その後、国際中医専門員、漢方薬膳療術師、反射療法士、薬事法管理者、コスメ薬事法管理者の資格を取得し独立。2008年3月、薬事法広告研究所の設立に参画、副代表を経て代表へ就任。現在、一般社団法人 通販エキスパート協会 代表理事を兼任。

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