サプリや化粧品で「バストアップ」という効果は表現できる?
女性にとってセクシーな魅力を引き出すバストですが、一方でコンプレックスを持つ女性も多く、大きさ、形、色など悩みも人それぞれ。肌の悩みに比べ、積極的に悩みを訴えたり相談しにくいこともあり、販売担当者と直接やり取りしない通信販売はとても有効な販売です。それだけに、広告として表現できる効果の範囲をしっかり把握しておく必要があります。
健康食品では特定部位の増強・増進効果の標榜は不可
サプリメントの場合を整理してみましょう。
健康食品は「バスト」などの「特定部位」を述べること、「アップ」という改善表現を述べることは、“身体の組織機能の一般的増強”“増進を主たる目的とする効能効果”にあたるため、薬機法に抵触することになります。結論は、健康食品では「特定部位の増強」「増進効果」はそもそも標ぼうできないと判断せざるを得ません。
直接的な表現ができないのなら、“フェロモン”といったキーワードを使い、「セクシーなイメージ」を想起させる表現で“バストケア”をイメージさせたいもの。サプリ自体にバラの香りがする……など物理的なマスキング作用がなければこれも不可となります。
そのため、健康食品で商品の魅力を標ぼうする場合は、
- 女子力ケア
- 女子力プラス
- インナーケアで体の中から魅力的に!
などにとどめる必要があります。
化粧品は肌への効果範囲にとどめる必要
次に化粧品の場合を考えてみましょう。
単に「バストケア」であれば、あくまでも「バスト」は使用部位を表すものとして標ぼうできる範囲と考えられます。ただ、「バストアップ」「バストを上向きに」「乳首をピンク色に」といった、大きさや形、色に対して、何かしら作用するかのような表現は使用できません。バストも肌部分ですから、肌への効果の範囲にとどめなければなりません。
肌への効果は事実にもとづいて、
(17)(汚れをおとすことにより)皮膚を清浄にする。
(18)(洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)。
(19)肌を整える。
(20)肌のキメを整える。
(21)皮膚をすこやかに保つ。
(22)肌荒れを防ぐ。
(23)肌をひきしめる。
(24)皮膚にうるおいを与える。
(25)皮膚の水分、油分を補い保つ。
(26)皮膚の柔軟性を保つ。
(27)皮膚を保護する。
(28)皮膚の乾燥を防ぐ。
(29)肌を柔らげる。
(30)肌にはりを与える。
(31)肌にツヤを与える。
(32)肌を滑らかにする。
(33)ひげを剃りやすくする。
(34)ひげそり後の肌を整える。
(35)あせもを防ぐ(打粉)。
(36)日やけを防ぐ。
(37)日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ。
―――
(56)乾燥による小じわを目立たなくする (但し、要効能評価試験)※昭和36年2月8日薬発第44号薬務局長通知「薬事法の施行について」記「第1」の「3」の「(3)」より抜粋
といった表現内容に限られます。そのため、「バストアップ」「バストを上向きに」「乳首をピンク色に」といった表現は、上記通知が標ぼうできる効能効果の範囲に想定されていないため、医薬品的な効能効果にあたるということになります。
よって、化粧品の効能効果などと絡め、「ぷるるんっとハリのある魅力的なバストへ」程度の表現であれば、標ぼうは可能でしょう。
なお、東京都福祉保健局によるホームページのなかに、「薬事法に関わる不適表示・広告事例集」というページがあり、そこでは次のような内容が記載されています。
●媒体:ダイレクトメール
不適内容:貧弱バストがふっくら豊かに!?
製品概要・解説等:基礎化粧品、化粧品として表現できる効能効果の範囲をこえている。
●媒体:雑誌
不適内容:肌のリフト力に弾みをつけます。肌のバネに弾みをつけ、上へと引き上げるリフト力。
製品概要・解説等:バストアップを暗示しており化粧品の効能効果を逸脱する。
といった表現が化粧品不適切表現として紹介されていました。このような表現もあわせて注意しましょう。
(※現在は差し替えが行われており、該当表現は掲載されておりません。)