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昔に比べて男性の美容に対する意識は非常に高くなり、「メンズコスメ」という表現も一般的になりました。ドラッグストアのメンズコスメコーナーも盛況です。中でも毛穴やシミ、シワに対する関心は、女性に劣らず男性でも高いようです。今回は男性用化粧品の広告表現について解説します。

毛穴ケア商品

鼻のまわりにシートを貼り、剥がして毛穴の中の汚れを出す毛穴ケア商品が数年前から売れています。最近ではメンソールを配合し、よりスッキリ感を得られる、男性向けという位置付けの毛穴ケア商品も人気です。

「毛穴」についての標ぼうは、男性向けであろうと従来通り、洗顔やパックなどで物理的に取れる、

「毛穴の汚れ」を落とします

「毛穴の汚れ」がとれます

などが可能です。一方で

×「毛穴」を引き締めます

×「毛穴」がなくなります

といった、毛穴そのものの形状を変えるかのような標ぼう、または、毛穴が完全になくなる標ぼうは、化粧品の効能効果を逸脱するため不可となります。ただし、事実を前提に、

 毛穴をうるおします

 肌をキュッと引き締めます(※「毛穴」とは言わない)

といった表現に留まるのであれば可能と考えられます。

ひげそり用の商品

次に、ほとんどの男性の方が日常的に使っているであろう、ひげそり用の商品について考えてみましょう

こちらについては、56の化粧品効能のリスト(化粧品で標ぼう可能な効能効果の範囲)の中の、

(33)ひげを剃りやすくする

(34)ひげそり後の肌を整える

が標ぼう可能となります。その他では、

(19)肌を整える。

(20)肌のキメを整える。

(21)皮膚をすこやかに保つ。

(22)肌荒れを防ぐ。

(23)肌をひきしめる。

(24)皮膚にうるおいを与える。

(25)皮膚の水分、油分を補い保つ。

(26)皮膚の柔軟性を保つ。

(27)皮膚を保護する。

(28)皮膚の乾燥を防ぐ。

(29)肌を柔らげる。

(30)肌にはりを与える。

(31)肌にツヤを与える。

(32)肌を滑らかにする。

も使用できます。通常の化粧水類と同様、事実を前提に組み合わせて表現する傾向が強いものだと思います。しかし、

・カミソリ負けを防ぐ

・皮膚を保護し、ひげを剃りやすくする

といった標ぼうは「医薬部外品」おける薬効となりますので、通常の化粧品では標ぼうできません

においケア商品

これからの季節は“体臭”関連の商品も多く出てきます。「わきが(腋臭)」や「皮膚汗臭」「制汗」への言及は、「腋臭防止剤」として医薬部外品の承認が必要です。つまり化粧品で標ぼうできるのは、

(2)香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える

(38)芳香を与える              

が基本です。

しかし、スプレーのパウダー効果(物理的な油分の吸着など)や、シートタイプのふき取り効果など、事実があるのであれば、前述の化粧品効能の範囲も合わせて標ぼう可能と判断できます。

「体臭」の原因に働きかる標ぼうや、「体臭を抑える・リセットする・予防する」といった標ぼうは一切使用できません(たとえ医薬部外品であっても「加齢臭」というワードの使用方法には要注意です)。化粧品であれば、

  香りの(物理的な)効果で体臭が気にならなくなる

  気になるときの(夏の)エチケット対策に

  シュッとひと吹き。さっぱり気持ちがイイ!!

といった表現に留める必要があります。

なお、日本化粧品工業連合会の広告ガイドラインに、下記のような記述があります。

E4 「~専用、~用」等の表現

「~専用」等の表現の中には、特定の用法用量(例えば「敏感肌専用」)だけでなく、特定の年齢層、性別(例えば「子供専用」「女性専用」など)、特定の効能効果(例えば「抜け毛専用」「ニキビ専用」など)を対象としたもの等がある。

これらの表現は、医薬品等適正広告基準3(1)、3(3)、3(5)又は3(6)に抵触するおそれがあり、化粧品等の広告の表現としては好ましくないので、承認を受けた名称である場合、及び化粧品の種類又は使用目的により配合の制限がある場合(F6.2)等以外は原則として使用しないこと。単に「~用」、例えば「敏感肌用」などと表現すること。

なお、「~専用」の表現ではなく、「子供用」、「女性用」等の表現は、効能効果又は用法用量から判断して特定の年齢層、性別等が対象であると推定できる場合以外では行わないこと。

編集部注:医薬品等適正広告基準についてはこちらを参照してください。

いわゆる“性差”を特定することが禁止と判断されているため、「男性専用」といった表現には注意しましょう。「男性専用」ではなく、少なくとも「男性用(要条件)」もしくは「男性向け」とすべきです。

ただ、「メンズコスメ」というワードが使われている現実と重ねると、「男性」というワードを出すことそのものが禁止ということではない印象です。まずは、

× 必ず男性が使わなければいけない

× 男性が使うとより効果があります

という表現は禁止されるもの……と覚えておくと良いでしょう。

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稲留 万希子

薬事法広告研究所 副代表

東京理科大学卒業後、大手医薬品卸会社にて医療従事者向けポータルサイトの企画運営に従事。東洋医学に興味を抱いたことをきっかけに、中医学専門学校にて3年間薬膳料理や漢方について学ぶ。その間、ヘルスケア分野でのビジネス展開には薬事法を避けて通れない事から、薬事法と広告についても並行して学び、その後、国際中医専門員、漢方薬膳療術師、反射療法士、薬事法管理者、コスメ薬事法管理者の資格を取得し独立。2008年3月、薬事法広告研究所の設立に参画。

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