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お客さま、あるいはモニター会員などを対象に行ったアンケートの結果について、「せっかく良いデータが集まったのだから広告で有効に使いたい」と考えるのは、広告担当者であれば当然のことです。

ですが、化粧品の広告は薬機法に基づくルールを守らなければばらないものであり、自由に使って良いというものではありません。ヤラセではなく、お客さま自身の言葉で書かれた事実だったとしても、それは同じです。

今回はこのようなアンケート結果を広告に利用する際に、気を付けなければならないポイントについて解説します。

確実性を保証するような表現はNG

アンケートにはいろいろな種類がりますが、化粧品の広告でよく見られるものをは、

  1. 自社製品についての調査
  2. 一般的な美容意識についての調査 

が代表的なものになると思います。

はじめに、医薬品等適正広告基準における表現などのルールを見てみましょう。

【基準3(6)】効能効果等又は安全性を保証する表現の禁止

医薬品等の効能効果等又は安全性について、具体的効能効果等又は安全性を摘示して、それが確実であることを保証をするような表現をしないものとする。

〔注〕

<共通>

─ 中略 ─

(5)使用体験談等について(平成6年一部改正)

愛用者の感謝状、感謝の言葉等の例示及び「私も使っています。」等使用経験又は体験談的広告は、客観的裏付けとはなりえず、かえって消費者に対し医薬品等の効能効果等又は安全性について誤解を与えるおそれがあるので行わないこと。

ただし、医薬品(目薬、外皮用剤等)や化粧品等の広告で使用感を説明する場合や、タレントが単に製品の説明や呈示を行う場合は、本項には抵触しない。

この場合には、使用感が過度にならないようにすること。

自社製品についての調査の場合は、実際に商品を使っていただいた感想などに基づくものになる可能性が大きいと思います。

上記には「アンケート」や「モニター」といった表現は出てきませんが、アンケート結果がいわゆる「使用体験談」に該当する場合、効能効果等または安全性について、確実であることを保証する内容は広告において使用できないと考えられます。

例えば化粧品の体験談では、化粧品において標ぼうが認められている効能効果であっても、効果に触れること自体が効果の保証にあたるため不可と判断されています(あくまでも標ぼう可能なのは「使用感」まで)。

よって、アンケート結果も同様に「ハリが出た」「しっとりした」「キメが整った」など、効能効果に関連したアンケート結果は標ぼうできず、あくまでも使用感やテクスチャー的な表現にとどめる必要があるということです。

もちろん大前提として、「シワが消えた」「ニキビが治った」というように、化粧品で標ぼう可能な効能効果を逸脱するような内容は、たとえアンケートに寄せられた事実であったとしても、広告に用いる事はできません

「満足度○○%!」はOKか?

「満足度98%!」といった広告表現もよく見かけます。「実感」や「満足」であれば、必ずしも「効果」を指すものとは言い切れない……と言いたいところです。

しかし、日本化粧品工業連合によると、

①数値表現

─ 中略 ─

3. 指摘事項

「満足度93%!!」、「愛用者の98%が満足」

4.内容説明

効能効果又は安全性以外の使用方法・使用感・香りのイメージ等であることが、明示されることなく、満足度の高い人が多数存在することをデータで示すことは、効能効果又は安全性が確実であるかのような誤解を与えるおそれがあります。

また、「満足度」の様に使用者の感想等にもとづくデータは、F7.3 使用体験談等にも関連するので注意する必要があります。

【2015年4月3日開催:第 103 回化粧品広告審査会】化粧品広告審査会において話題となった広告表現

F7.3 使用体験談等

化粧品等の効能効果又は安全性についての愛用者の感謝状、感謝の言葉の例示等、使用経験又は体験談広告は、客観的裏付けとはなりえない。従って、消費者に対し化粧品等の効能効果又は安全性について誤解を与えるおそれがあるので行わないこと。

ただし、効能効果又は安全性以外の使用方法・使用感・香りのイメージ等に関しては、事実に基づく使用者の感想の範囲であれば認められるものとする。

日本化粧品工業連合会 化粧品等の適正広告ガイドライン 2012年版

と書かれています。

つまり、前例で言うところの「満足度98%!」では不十分である(誤解を与える)ということです。

もしかしたら「効果について満足」「安全性について満足」という、本来述べてはならない、効能効果または安全性の保証につながるかもしれないからです。

ですので、このような場合であれば「使用感の満足度98%!」というように、あえて「使用感である」ということを明記することで、効能効果または安全性に触れるものではないとする方法で対処が可能です(もちろん、「使用感が満足である」という事実が必要です)。

また、「98%」といった表現から受ける印象として、かなりの人が満足しているかのように受け取れます。調査人数について、人数的な制約等は特に決められていませんが、実際問題として、これが十数人程度の調査結果であれば、優良誤認に該当する可能性があります

パーセンテージだけではなく、各回答の人数も明記し、誤解を与えないような表現とする配慮も必要と言えるでしょう。

一般的な美意識を調査する際の注意点

次に、一般的な美容意識についての調査で考えてみましょう。例えば、アンケート項目として、

・ いまの肌の悩みは何ですか?(回答例:乾燥、シミ、たるみ 等)

・ 化粧品に求めるものは?(回答例:保湿、ハリ、美白、低価格 等)

というように、あくまでも美容に関して一般的な情報として掲載するのであれば問題はないかと思われます。

ただし、このアンケート結果から誘導する形で、「そんなお悩みにこたえる化粧品◎◎」といった表現を用い、アンケート結果に関する悩みの改善や要望を満たす商品の紹介につなげる表現は、「効果の逸脱」や上記基準3(6)で言う所の「効果や安全性の保証」にあたる可能性があるので注意が必要です。

また、

・ いまの化粧品の不満は?(回答例:高額、効果がない 等)

というような質問項目は、文脈によっては他社誹謗と捉えられますので、この点にも注意しましょう。

一般的な美容意識についての調査であっても、自社製品についての調査と同様に、調査名称や回答人数、調査時期などは最低限明記する必要があるものと考えます。

アンケート結果やそれをもとにした円グラフなどは、広告でも目を引く訴求力の高い手法ですので正しく、かつ有効的に使っていきましょう。

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稲留 万希子

薬事法広告研究所 代表

東京理科大学卒業後、大手医薬品卸会社にて医療従事者向けポータルサイトの企画運営に従事。東洋医学に興味を抱いたことをきっかけに、中医学専門学校にて3年間薬膳料理や漢方について学ぶ。その間、ヘルスケア分野でのビジネス展開には薬事法を避けて通れない事から、薬事法と広告についても並行して学び、その後、国際中医専門員、漢方薬膳療術師、反射療法士、薬事法管理者、コスメ薬事法管理者の資格を取得し独立。2008年3月、薬事法広告研究所の設立に参画、副代表を経て代表へ就任。現在、一般社団法人 通販エキスパート協会 代表理事を兼任。

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