I-ne、化粧品用途のマイクロニードル技術を東京大学と共同で特許出願。今後は製品化を検討

I-neは東京大学研究所教授と共同で、化粧品用途のマイクロニードル技術を特許出願を実施した。その詳細と2025年1-6月期(中間期)のI-neの決算を解説する

大嶋 喜子[執筆]

8月25日 6:30

I-neは東京大学と研究しているマイクロニードル技術を化粧料に応用した新規製剤化技術を確立し、共同で特許を出願したと8月21日に発表した。今後、この技術を用いた製品化を進める。これまでとは異なるアプローチで有用成分の送達と定着を可能にするという。

出願したのは、マイクロメートル単位の微細針を溶解または崩壊させて成分を皮膚内部へ届ける技術。従前はヒアルロン酸などの美容成分の局所注入が中心だったが、I-neはその適用範囲を広げ、美容成分に限らず多様な成分を皮膚内部に送達し、化粧品の機能を最大化する仕組みに着目した研究を進めている。

東京大学との共同研究では、I-neでマイクロニードル化する成分の選定や処方を設計。東京大学で新規の組成・形状などを有するマイクロニードル製剤の製造プロセスの確立や、製剤の有効性・安全性などの評価を実施してきた。

I-neでは、最終的に研究で得られた成果を基に、マイクロニードル技術によりさまざまな成分を肌へ効率的に送達できる商品の開発や、商品を通じて消費者に新しい選択肢を提供することをめざす。化粧品にとどまらず、多様な美容技術およびサービスへの応用を視野としている。

2025年8月1日にI-neが設立した研究開発組織「日本美科学研究所」(JBIST)でさまざまな研究を行い、社内外の技術・知見・人材を有機的に結びつける「コンソーシアム」体制を敷いている
2025年8月1日にI-neが設立した研究開発組織「日本美科学研究所」(JBIST)でさまざまな研究を行い、社内外の技術・知見・人材を有機的に結びつける「コンソーシアム」体制を敷いている

I-neは2025年6-12月期も引き続き、ブランドや商品ラインアップの拡充による新たな市場への参入を予定している。

2025年12月期を最終年度とした中期経営計画で、売上高550億円、営業利益率13%をめざす方針を掲げているI-ne。2030年12月までに売上高1000億円をめざすとしている。

I-neの事業ポートフォリオ変革に向けた取り組み(画像はI-neの決算説明資料から編集部がキャプチャ)
I-neの事業ポートフォリオ変革に向けた取り組み(画像はI-neの決算説明資料から編集部がキャプチャ)

なお、I-neの2025年1-6月期(中間期)連結決算は、売上高が前年同期比9.9%増の223億2100万円。営業利益は同17.0%減の16億8800万円だった。2024年に実施した、美白訴求の医薬部外品などスキンケアアイテムなどを販売するEC企業トゥヴェールなどの買収によるのれん償却費などの計上により、減益となった。

ECは全カテゴリーで増収となり、売上高は同58.8%増えた。売上高に占めるECのシェアは46%。経常利益は同25.9%減の15億8700万円。純利益は25.6%減の9億2300万円だった。

I-neの2025年12月期(第二四半期)カテゴリー別売上高(画像はI-neの決算説明資料から編集部がキャプチャ)
I-neの2025年12月期(第2四半期)カテゴリー別売上高(画像はI-neの決算説明資料から編集部がキャプチャ)

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