洗顔料は「洗浄し、汚れを落とす」ことが目的であるため、化粧水や美容液などとは違い「差別化しにくい」と言われています。最近ではメラニンへの効果や「美白」「透明感」「くすみ」「肌が明るく」「肌を白く」……など、さまざまな切り口で商品の魅力を伝える広告を目にします。

これらの標ぼうはOKなのでしょうか? どこまで標ぼうできるのか、整理してみましょう。

医薬品等適正広告基準を参照すると、化粧品としての洗顔料の効能効果は、

(17)(汚れをおとすことにより)皮膚を洗浄する
(18)(洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)

だけでなく、

(19)肌を整える
(20)肌のキメを整える
(21)皮膚をすこやかに保つ
(22)肌荒れを防ぐ
(23)肌をひきしめる
(24)皮膚にうるおいを与える
(26)皮膚の柔軟性を保つ
(29)肌を柔らげる
(30)肌にはりを与える
(32)肌を滑らかにする

なども、事実である事を前提に標ぼう可能と考えられます。

しかし、これだけでは他製品との差別化は難しいのが現実。なんとか訴求の強いワードで商品をアピールしたいところです。洗顔商材の広告でよく見受ける表現をどう考えるべきか、下記にまとめます。

① 「メラニン」……×

「メラニン」についてはシミ予防の暗示となるので、これだけでは「化粧品の効能効果からの逸脱」や「医薬品的な効能効果の暗示」などとして不可となる恐れがあります。

メラニンを含む古い角層を落とす(or 洗い流す)」といった表現も見かけますが、景品表示法の措置命令対象となった商品で使用されており、「合理的な根拠の認められない不当表示」と判断された事例があるので、避けた方が良いでしょう。

一方、「酸化」であれば使い方次第で可能と言えるでしょう。本来、「酸化」だけでは即不可となる可能性があるNGワードですが、「肌の酸化」への効果ではなく、「メイクや皮脂などの(皮膚の上で)酸化(した)汚れを落とす(or 洗い流す)」という文脈であれば使えそうです。

② 「美白」……×

医薬部外品でない限り、洗顔で美白は不可と言わざるを得ないでしょう。「白」という言葉を使うのであれば、「泡が白い」という所に落とし込む必要があります。

③ 「透明感」……○

「透明感」は通常、化粧水や美容液などでは不可となる恐れがありますが、洗顔商材については「物理的な汚れ落ち」の効果の範疇として使用できると考えます。

ただし、「透明感」だけが一人歩きし、「透明感」という効果が得られると解釈されてしまうと、効能効果の逸脱になる可能性がありますので、「透明感とは、汚れが落ちキメの整った肌印象のこと」と明記しておくと良いでしょう。

④ 「くすみ」……○

化粧水や美容液などと同様、「過剰な期待や誤認を与えないよう化粧品の効能効果の範囲内」で「くすみ」の定義を注釈などで明記すれば標ぼう可能です。

洗顔商材の場合は「くすみとは古い角層や汚れなどのこと」と明記しましょう。

⑤ 「肌が明るく」or「肌が白く」……△

「肌が明るく」については「透明感」と同じく、「物理的な汚れ落ち」による効果と解釈できなくはないため、化粧水や美容液とは異なり、即不可となることはないと考えます。

ですが、「肌が明るくなる」「肌色が明るくなる」などといった、肌色の改善は明らかなNG表現です。できれば「肌印象が明るく」に留める方が良いでしょう。

一方、「肌が白く」については「いくら汚れを落としたからといっても、洗顔で肌の色が白くなることはありえない」という見解があるため、不可と言わざるを得ません。

⑥ 「毛穴への効果」「リセット」……△ 

「毛穴への効果」については化粧水や美容液などでは不可ですが、「毛穴汚れを洗浄する」的な意味であれば、標ぼうは可能です。「毛穴すっきり」「毛穴がクリア」といった表現も可能と判断できる範囲でしょう。

ただし、「広がった毛穴を引き締める」「毛穴を小さくする」など「毛穴の形状変化」を想起させる表現になると、化粧品の効能効果からの逸脱となるので、せめて「毛穴がキュッ」程度に留めた方が良いと考えます。

そして「リセット」は「初期状態に戻す/すべてを元に戻す」といった意味になるので、化粧品では「お肌を修復する」かのような印象を与える可能性があります。しかし、洗顔商材であれば「汚れを落とす」効果の範疇と考えられるので、「洗顔で汚れをリセット」などであれば使える範囲と言えるでしょう。

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稲留 万希子

薬事法広告研究所 代表

東京理科大学卒業後、大手医薬品卸会社にて医療従事者向けポータルサイトの企画運営に従事。東洋医学に興味を抱いたことをきっかけに、中医学専門学校にて3年間薬膳料理や漢方について学ぶ。その間、ヘルスケア分野でのビジネス展開には薬事法を避けて通れない事から、薬事法と広告についても並行して学び、その後、国際中医専門員、漢方薬膳療術師、反射療法士、薬事法管理者、コスメ薬事法管理者の資格を取得し独立。2008年3月、薬事法広告研究所の設立に参画、副代表を経て代表へ就任。現在、一般社団法人 通販エキスパート協会 代表理事を兼任。

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