中川 昌俊 2015/1/21 11:00

世の中には、美顔器、EMSと言われる筋肉運動補助器具、サポーター類など、さまざまな美容・健康雑貨があります。もちろんこれらの商品の広告においても、薬事法(現在は医薬品医療機器等法)などのルールを意識していかなければなりません。

美顔器の広告でも美容目的の表現は可能

薬事法では、医療機器について以下のように定められています。

~医療機器とは~

  1. 疾病の診断、治療、予防に使用することを目的とするもの
    ⇒ MRI、レーザー治療機器、聴診器、体温計、血圧計など
  2. 身体の構造、機能に影響を及ぼすことを目的とするもの
    ⇒ マッサージ機器、ペースメーカ、低周波治療器、コンタクトレンズなど

薬事法施行令で定める分類表(※1)に該当するものは、医療機器となるため、雑貨としての取り扱いをすることはできません。医療機器の一部(「高度管理医療機器」並びに、「管理医療機器」または「一般医療機器」のうち「特定保守管理医療機器」に該当する医療機器)には、販売および賃貸にあたって事前に許可の取得が必要なものもあります

一方で、美顔器、EMSといわれる筋肉運動補助器具はあくまで雑貨(おもちゃ)であり、医療機器ではありませんので、医療機器としての定義に触れる表現を用いることはできません

たとえば、美顔器で「シワ・ニキビが治る」という表現や、EMSで「おなかのぜい肉がスッキリ!」といった表現は、上記の2「身体の構造、機能に影響を及ぼすことを目的とするもの」に該当するものと判断されるため、薬事法に抵触する“NG表現”ということになります。

具体的に広告としてどんな表現が用いることができるのでしょうか。

美顔器であれば事実に基づき、

  • 単に美容目的を標榜するもの
  • 生えている"毛"のみを物理的に切断するもの

といったものを述べるだけであれば、薬事非該当となります。

「美容目的」というのは何を指すかというと、化粧品に認められている効能の範囲で、かつ、事実に基づく表現のことです。そのため、「肌のキメを整える」「肌にはりを与える」「肌をひきしめる」「肌を滑らかに保つ」などであれば、表現可能ということになります。

一方、不可な例を見てみましょう。

小顔にするといった顔の変形を意味する表現や、皮膚のシミ・ソバカスを除去、リフトアップなどたるみの解消、新陳代謝促進作用を始め、毛根に作用することで半永久脱毛できる……といった内容は薬事法に抵触すると考えられます。医療機器未承認である雑貨においては、これらを表現することはできません。

つまり、美顔機の広告として以下のような表現は不可ということになります。

  • 頬の上を転がすことで、フェースラインが引き締まり、頬のたるみが解消
  • 光をあてて、シミを撃退。肌もだんだん白くなります
  • 微弱な振動により、肌のシワ構造を改善します
  • 医療機器の機能を応用して設計しました
  • 毛乳頭にレーザーが当たると、毛が生えてこなくなります ……など

なお同じ美顔器でも、顔表面でコロコロ転がすような非電動式の雑貨というものもあります。

これらのものは顔をスッキリさせるなど、頬をリフトアップさせることができるような印象があるかもしれませんが、このような表現も使用できません。あくまでも「表情筋をトレーニングする」という事実を述べるまでが使用可能な範囲とされています。

電動式と非電動式で使える表現が異なる

前例であえて「非電動式」と記載しましたが、対して「電動式」の場合は、気を付けなければならないことが発生します。

「電動式」の雑貨の場合、ついその電動作用から「マッサージ効果」について表現したくなります。しかし、医療機器として承認されていない電動のバイブレーター機器は、医療機器の定義である目的や効能効果は標ぼうできないのです。つまり、マッサージ効果を表現できるのは、医療機器承認済みのマッサージチェアなどマッサージ機器に限られるという点に注意が必要です。

これは、「肩こりの緩和を目的としたバイブレーター機能付きの商材」は、雑貨として発売できないということを意味します。そのため「強い振動で肩のコリをほぐします」「マッサージ効果が期待できます」「肝臓・腎臓の悪い方、視力が落ちている方に」などの表現も用いることができないというわけです。

また、上記のようなマッサージ効果への言及だけでなく、

  • スリムや痩身などのダイエット効果や、身体の形状を変えるような表現
  • 身体機能の強化や促進等を標ぼうすること 

なども医療機器的効果とみなされます。

また、モーターで振動し、効果としてはマッサージ機器と同様の効果を与えることが可能な機器であっても、医療機器の定義である目的や効能効果について言及しないものについては、あくまでも「雑貨」となり、薬事非該当となります。電動のバイブレーター機器そのものが医療機器とみなされる訳ではなく、その目的や表現によって制限を受けるということです。

一方で、非電動の、単に突起物や、てこなどを応用し背筋などにあてて指圧するものについては、特別の取り決めがあります。

【指圧代用器の取り扱いについて】
昭和45年12月15日 薬発第1136号
各都道府県衛生主管部(局)長あて 厚生省薬務局長通知

単に突起物やてこ等を応用し背筋等にあてて指圧する器具類(電動式のものは除く。)は、次に揚げる範囲の効能、効果のみを標ぼうする場合に限り医療用具に該当しないものとして取扱うこととすること。したがって、今後これらの器具類については、薬事法の規定に基づく製造の承認、許可等を必要としないものであること。

ただし、次に揚げる範囲以外の効能、効果を標ぼうした場合は無承認、無許可の医療用具に該当するのでこの点十分留意され製造業者等に周知徹底されたいこと。

(1) あんま、指圧の代用(読みかえはしない。)
(2) 健康によい
(3) 血行をよくする
(4) 筋肉の疲れをとる
(5) 筋肉のこりをほぐす

よって非電動式のものであれば、

  • 足裏を刺激する突起の付いた、健康に良いサンダルです
  • 突起物が土踏まずを押し上げて、血行を良くします

といった表現が使用できるということになります。

正しく表現できる範囲を理解し、魅力的な広告を作っていきましょう。

◇◇◇

※1…「医療機器のクラス分類表」のこと。
参考資料:奈良県薬務課ホームページの医療機器クラス分類表
⇒ http://www.pref.nara.jp/22681.htm


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