ECとブランドサイトを統合した三陽商会の狙いは? メディアコマース化+OMO推進をめざすEC戦略
三陽商会はブランドごとに分かれていたブランドサイトとECサイトを統合し、自社ECサイト「SANYO iStore(サンヨー・アイストア)」を「SANYO ONLINE STORE(サンヨー オンラインストア)」としてリニューアルオープンした。
ブランドサイトとECサイトを統合しメディアコマース化を推進する。ECサイト上でのブランド発信力を強化し、顧客とのタッチポイントを一元化。ECサイト上でのブランド間の回遊性を向上させる。
新たなECプラットフォームとして「Shopify」を採用。ECサイトの機能やサービスの拡充、OMO(実店舗とECサイトの統合)推進によるECと実店舗の相互補完体制の確立につなげる。
デザイン面では、以前のブランドページと比較してビジュアルの掲示部分を拡大し、イメージを前面に打ち出している。ブランドの持つテイストや商品のクオリティを伝える特集も注力する。
9月27日には既存の「SANYO MEMBERSHIP」アプリを改修、新たに「SANYO公式アプリ」としてリニューアルする。会員証機能を実装し、オンラインストアへの導線を強化する。
新たに4つのサービスをスタート
店舗試着サービス「TRY&PIC」
店舗とECの在庫を指定の店頭に取り置き、試着・購入できるサービス「TRY & PICK(トライアンドピック)」を新たに実装。店舗とオンラインストアでの買い回りを促進し、相互利用率を向上させる。
検索機能を充実
ユーザビリティ向上施策として検索機能を拡充した。詳細な条件による絞り込みを可能にし、顧客の希望に適した商品を検索できるようにしたという。たとえば、カットソーの袖丈やワンピースのシルエットなど、アイテムごとの細かい“こだわり”検索が可能になったとしている。
決済機能の拡充
ECにおける決済でニーズが高い決済方法として5つの決済方法を追加した。クレジットカードの分割払い、キャリア決済、QRコード決済(PayPayのみ)などを利用できるようにしたという。
アウトレットページを新設
アウトレットページにセール商品とアウトレット商品を集約。プロパー商品との差別化を図り、プロパー商品の販売促進とサイトイメージの向上につなげる。
ECの拡大を掲げる中計のEC戦略とは
ECサイトの刷新は中期経営計画(中計)におけるEC戦略の一環。2025年2月期を最終年度とする3カ年の中計におけるEC戦略は、ECプラットフォームの刷新とOMOの推進などによる自社ECの成長けん引を掲げている。
ブランドサイトとECサイトを統合してメディアコマース化することで、ブランディング強化とブランド間の買い回りを促進するCX向上をめざすと中継で公表。
プロパー販売の強化も掲げており、コンテンツ強化のほか、商品画像改善、スタッフ着用画像活用によるリアルコーディネート提案のほか、EC専用商材の拡充も進める。
OMOの推進では、総合カタログ「SANYO Style MAGAZINE」発行によるECとリアル相互送客の促進、ブランドアプリのUI/UX改善、オンライン体験を店舗の強みと融合し、プロモーションも連動させるという。
ECモールなどの外部ECにおいては、各モールでの露出強化によるユーザータッチポイントの拡大、一部モールのOMO機能を活用した自社EC・実店舗への送客、回遊性を強化する。
中計策定時における2022年2月のEC売上高は80億円。内訳は自社EC売上高が54億円、外部EC売上高が27億円だった。中計最終年度となる2025年2月期のEC売上高は、自社ECが71億円、外部ECが27億円の合計98億円を計画している。