「ChatGPT」や「Claude」などの生成AIに自社のEC業務データをつないで使うための案内所「mcp-dir(エムシーピー・ディレクトリ)」とは?
HALDATAが公開した生成AIにEC業務データをつないで活用するための案内所「mcp-dir」。売上や在庫、広告、レビューなどのデータを対象に、目的に応じたMCPサーバを探せるようにした。
9月16日 10:00
AIとデータを活用してECサイトのレビュー分析やデジタル戦略支援を行うHALDATAは9月14日、メーカー・卸・小売など流通業の担当者が、「ChatGPT」や「Claude」などの生成AIに自社の業務データをつないで活用するための案内所「mcp-dir(エムシーピー・ディレクトリ)」を公開した。

生成AIに自社の売上、在庫、広告、レビューなどの業務データを接続する際、目的に応じて利用できるMCPサーバを探せるようにしたサービス。流通・EC業務での活用を想定し、導入手順やプロンプト例もあわせて案内する。
MCPとは? 生成AIと業務データをつなぐ共通規格
MCPは「Model Context Protocol」の略で、生成AIと外部の業務データやサービスを接続するための共通規格。
ChatGPTやClaudeは、標準のままでは自社の売上、在庫、アクセス解析、広告、レビューなどのデータを直接参照できないため、従来は担当者がCSVを書き出して生成AIに貼り付けるといった作業が必要だった。
MCPサーバを利用すれば、生成AIが必要なタイミングで必要なデータを読み取り、業務に活用できるようになる。
HALDATAによると、2025年以降、Google、Meta、Shopify、freee、Salesforceなどが相次いで公式のMCPサーバを提供し始めている。有志による開発も含めると、MCPサーバは数千台規模に増えているという。
一方、既存のMCP一覧は技術者向けの分類が中心で、流通業の実務担当者が「売上が落ちた理由を調べたい」といった業務上の目的から、必要なMCPサーバを探すのは難しいという課題があった。
「売上が落ちた理由を調べたい」など業務目的からMCPを探せる
「mcp-dir」は、こうした課題に対応し、業務目的を起点にMCPサーバを探せるようにした。
検索窓に「広告の無駄を見つけたい」「棚割の根拠がほしい」といった実務上の困りごとを入力すると、目的に適した接続先の候補を提示する。サービス名や技術用語が分からなくても、普段使っている業務上の言葉で検索できる点が特徴だ。
複数のMCPサーバを組み合わせた「レシピ」も用意
複数のMCPサーバを組み合わせて業務を完結させるための「レシピ」も用意した。
たとえば、GA4、Microsoft Clarity、TrendViewer、Shopifyを組み合わせて「売れ筋なのに離脱される商品ページを直す」、Google広告とTrendViewerを組み合わせて「広告の訴求軸をレビュー統計で決める」といった活用例を掲載している。
各レシピには、生成AIにそのまま渡せる指示文も付けており、「どのデータをつなげれば、どんな業務に使えるのか」を具体的にイメージできるようにしている。

流通・EC業務に沿って6カテゴリ、50件を掲載
掲載情報は技術的な分類ではなく、流通業の業務に沿って整理している。
公開時点では、「売上・データ基盤」「Web解析」「EC・受注・在庫」「顧客の声・レビュー」「会計・基幹」「CRM・営業」の6カテゴリ、50件を掲載。このうち34件は公式MCPを提供するサービスとなっている。掲載サービスは今後も順次拡充する予定。
- 売上・データ基盤:BigQuery、Snowflake、Databricks、Looker、KSP-POS(食品スーパー市場POS)、ストアレコード ほか
- Web解析:広告GA4、Google広告、Search Console、Meta広告、Microsoft Clarity、Ahrefs、Picaro.ai(Amazon広告)ほか
- EC・受注・在庫:Shopify、カラーミーショップ、makeshop、ネクストエンジン、zaico、ロジクラ、Square、Keepa ほか
- 顧客の声・レビュー:TrendViewer、KARTE、Zendesk、Googleビジネスプロフィール
- 会計・基幹:freee、マネーフォワード クラウド会計、kintone、Business Central、Stripe ほか
- CRM・営業:Salesforce、HubSpot、Pipedrive、Zoho CRM、Sansan、L Message(エルメ)ほか
公式MCPか、有志開発かなど安全性の判断材料も掲載
各サービスの掲載ページでは、公式提供か有志開発か、必要なログイン方法、読み取り専用か書き込み可能か、利用制限、できないことなども明記する。
HALDATAは公式ドキュメントを確認したうえで掲載しており、実際に接続して利用確認したものには「当社確認」の表示を付けている。
MCPを導入する際に気になる「安全に使えるか」「どこまでデータを操作できるか」といった判断材料をまとめて提示する。
AIエージェントを使って掲載情報を毎日更新
掲載情報の更新にはAIエージェントも活用する。
調査や情報の追加、差し替えはAIが毎日1カテゴリずつ行い、リンク切れやリンク先の正確性についても毎週自動で点検・修正する運用を組み込んだ。
変化の速いMCP関連情報を継続的に更新する体制も特徴としている。
MCPサーバの構築や生成AIとの接続も支援
「mcp-dir」は情報を掲載するだけでなく、接続先となるMCPサーバの構築代行も提供する。
利用したいサービスに公式MCPサーバがない場合や、自社PCでしか動かずチームで共有できない場合などを想定。Google Cloud RunやAWS上でのMCPサーバ構築、ChatGPT、Claude、Gemini、社内AIエージェントへの接続を支援する。
WordPressやShopify、EC-CUBE、スプレッドシート、Slackなどとの連携にも対応する。
生成AIによるEC業務改善の「入口」をめざす
EC実務の観点では、「mcp-dir」は生成AIを使った業務改善を「試したいが、何をどうつなげればいいのか分からない」という流通・EC事業者向けの入り口を狙ったサービスといえる。
AI活用への関心が高まる一方、データ連携の実装や安全性の見極めが導入時の障壁となっている。こうしたなか、業務目的を起点に接続先を整理し、具体的な活用方法や導入時の確認ポイントまで示すことで、実務担当者のMCP活用を後押しする。

