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新たな時代を迎えたビューティー体験。リアルとデジタルが分業するのではなく、融合に向けた事業モデルへとシフトし、変化する顧客ニーズに応える企業が増えている。資生堂は、数々の化粧品ブランドを展開し、店舗からECまで流通の幅が広いメーカーとしてどのように顧客体験を向上させていくのか――。その1つの施策に、デジタルにおける「検索機能」の改善があげられる。資生堂のUI/UX改善を通じた顧客体験の価値を高める取り組みを取材した。写真◎渡 徳博

資生堂のUI/UX改善を通じた顧客体験の価値を高める取り組みを取材

デジタル通じた化粧品のCX向上がより重要になる

資生堂は2023年までの中長期経営戦略「WIN 2023 and Beyond」のなかで、EC(得意先Eコマース、Eコマース専門サイト、自社Eコマースサイトを含む)の売上比率35%の達成を掲げている

図 資生堂のDXにおけるロードマップ
資生堂のDXにおけるロードマップ

2020年に、①メディア戦略部 ②オムニエクスペリエンス推進部 ③デジタル戦略部 ④EC事業部――の4つの部署で構成するデジタルオフィスを新設。各部署が協力、連携しながらデジタル時代における顧客体験のさらなる価値向上に取り組んでいる。

ARを活用したバーチャルメイクでは消費者がデジタル上で疑似的にメイクを再現できたり、肌測定アプリ「肌パシャ」ではスマホのカメラで撮影した肌の画像をもとに肌の状態の測定と美肌作りのサポートをしたりと、さまざまなデジタルコンテンツを活用したコミュニケーションを推進。オンラインカウンセリングやデジタル接客も取り入れ、利便性を高めている。

そして、新型コロナウイルス感染症拡大によって、デジタル活用やEC利用への期待が一気に拡大する。

やはり、化粧体験のベースは「リアル」にある。そこにデジタルでどう情報提供をしてCXを向上させられるかが今後より重要になってくる。特にコロナ禍においては、店頭でテスト品を扱うことに抵抗がある人が増えたため、商品を使用した感触を想像していただくためにどうやって情報を伝えればいいのか、試行錯誤している。

ビューティーコンサルタント(BC)によるライブ配信やZoomによるオンラインカウンセリングの機会を増やすなどして、デジタルでも的確に情報を伝えられるような工夫を施しているところだ。(資生堂ジャパン 山本氏)

資生堂ジャパン株式会社EC事業部 ブランド施策推進グループ グループマネージャー 山本雅文氏
資生堂ジャパン株式会社EC事業部 ブランド施策推進グループ グループマネージャー 山本雅文氏

「WIN 2023 and Beyond」におけるEC部署の役割と戦略

資生堂ジャパンが運営する総合美容サイト「ワタシプラス by SHISEIDO」は、EC機能に加えて、美容に役立つ情報・デジタル上での美容体験コンテンツを提供。「生活者とブランドをつなぐ美のプラットフォーム」を追求している。

単に商品を並べた一般的なECサイトではなく情報コンテンツも豊富に取り揃えるほか、肌測定機能やARなども駆使し、店頭で体験できるサービスをデジタル上で再現するための施策を充実させて他のECサイトとの差別化を図っている。

「ワタシプラス by SHISEIDO」のトップページ
「ワタシプラス by SHISEIDO」のトップページ

「WIN 2023 and Beyond」では、店舗とオンラインが融合したオムニチャネル化により、小売りにおける新たな仕組み作りを推進する事業モデルへの転換を打ち出した。「ワタシプラス」など、これまでもデジタルの活用やオムニチャネルの取り組みを進めてきていたが、山本氏は「まだまだ推進させる余地があることは間違いない」と話す。

現に、「ワタシプラス」はECサイトという印象がまだ強く持たれていると認識しており、リアルの体験に限りなく近づくためのコミュニケーションのブラッシュアップに重点的に取り組んでいるという。またメディアやSNSからの情報発信も、より充実した内容を届けるとともに、よりインタラクティブ(双方向)なコミュニケーションにしていきたいと考えている。

コロナ禍を機に、他社もお客さまとのコミュニケーションの改善に力を入れ始めるようになり、従来のままではコモディティ化してしまう恐れがあった。当社としてはもう一歩先に行くような顧客体験を設計し、コミュニケーションを進化させるために日々取り組んでいる。(資生堂ジャパン 山本氏)

お客さまの興味を広げながら利便性も確保したUI/UXをめざす

メーカーが運営する総合美容サイトとして、他のサイトと差別化を図る「ワタシプラス」が重視しているのは「購入の際、事前にどういう情報に触れていただき、どんな期待感を持っていただくか」だ。

ワタシプラス by SHISEIDO
「ワタシプラス by SHISEIDO」には、資生堂ブランドを扱う店舗を探す「お店ナビ」、美容情報を発信するコンテンツなどがある

購買環境を用意するだけでなく、商品に興味を持ってサイトに訪れてくれた生活者の期待にしっかりと応えられる商品情報やコンテンツなどの提供は必須という。

そのため、単純に購入までのフローをシンプルにするといったユーザビリティを突き詰めるだけではなく、情報をたくさん見てもらい、気になる情報を回遊できる――こんな視点でUI/UXを組み立てている。それが結果的にコンバージョン率の向上やアップセル、クロスセルなどにつながれば、メーカーが運営するサイトとして理想だという。

提供する情報をパーソナライズ化したり、気になる商品があれば関連する商品や情報をクロスでつなぐことで、お客さまの興味を広げながら使いやすさも融合したUI/UXをめざしている。

ワタシプラスのUXとしては、求められるものが大きく2つあると考えている。1つ目は、目的を持ってサイトを訪れたお客さまが、目的とする商品や情報に素早くたどり着ける仕組みを作ること。これは、ECの基本機能として大前提と捉えている。

2つ目は、「インサイト」を捉えた情報提供による新しい出会いの創出だ。適切なタイミング・場所でお客さまのインサイトに寄り添った付加情報を提供することで、「こういう商品・情報欲しかった!」という出会いを創出していくことも、追及していきたいと考えている。(資生堂インタラクティブビューティー 宇井氏)

資生堂インタラクティブビューティー株式会社 DX本部 オムニエクスペリエンス推進部 CRM運営G 宇井ありさ氏

ストレスを感じさせないサイト作りは絶対条件だが、一直線の導線だけを求めてしまうとセレンディピティ(偶然の出会いや幸運な発見)が起こりにくくなる。化粧品専門店やデパートの売り場などで新商品や知らないブランドを見つけたときに興味やワクワク感が沸き起こるように、複数のブランドを取り扱う「ワタシプラス」でも、そういう瞬間を創出したいという。

満足度の高い買い物体験の実現に向けた課題の解決

「ワタシプラス」は2012年のサイト開設当初から、スクラッチ開発で構築したサイト内検索を利用していた。そのため、検索結果の順位や表示場所を変更するだけでも一定の手間とコスト、時間がかかっていた。また、商品やコンテンツが拡大するにつれ、売れ筋順や肌悩み別、商品の機能別などさまざまな軸や順序で絞り込めるような消費者の選びやすさを考慮したより柔軟性の高い検索機能の必要性が増してきた。そこで、サイト改修の際に検索機能の改善にも着手することとなった。

再度スクラッチで構築する選択肢もあったが、検索機能を随時ブラッシュアップしPDCAサイクルをスピーディーに回していく上でも、検索は検索として機能分離した方が有効と判断。資生堂のデータベースに蓄積した豊富なデータの中から、APIによってデータの入出力を行い、検索結果を柔軟に改善できる検索エンジンを検討した。その結果、ZETAが提供するEC商品検索・サイト内検索エンジン「ZETA SEARCH」の導入を決めた

EC商品検索・サイト内検索エンジン「ZETA SEARCH」の概要

スクラッチ開発で運用していた検索機能では、「化粧水が先に表示されて、次に乳液を表示して……」といった形で、カタログのように順序が固定的だったが、売れ筋順や価格帯などさまざまな軸でソートできる柔軟性を持たせたいと思っていた。また、それぞれの商品の売り上げ情報やお客さまの購買情報なども考慮して、検索結果や順序に反映することが理想の検索だと考えていた。(資生堂ジャパン 山本氏)

「ワタシプラス」に導入した「ZETA SEARCH」は、ZETAが提供する導入実績多数のEC商品検索 ・サイト内検索エンジン、レビュー・口コミ・Q&Aエンジン、OMO・ DXソリューションを含む「ZETA CXシリーズ」(https://zetacx.com/)の1サービス

化粧品ならではの検索課題に柔軟に対応

検索機能を構築する上で、化粧品の構造はかなり特殊な部類だ。一例に、色の違いがある。1つの商品で同じ価格でも、複数の色が存在するものを検索結果にどう表示するかを考えなければならない。サイトによっては1色1色を全て別ジャンルとして扱い検索結果に表示するケースが見られるが、たとえば「マキアージュのこのラインのルージュが欲しい」というお客さまには、全8色あれば8色あることがわかるようにすることがベストなため、商品のコード体系も複雑になっている。

ほかにも、「クレンジング」「洗顔」といった商品カテゴリで検索するお客さまもいれば、「シミ」「しわ」のような肌悩みで検索するお客さまも存在する。商品が持つ情報とお客さまの要望を複雑な条件で組み合わせて検索結果を最適化したいという要望に対し、全ての要望を受けきれるほど柔軟な検索エンジンは当時それほど見当たらなかったという。山本氏は、カスタマイズによって「ワタシプラス」が実現したいあらゆる要望に柔軟な対応をしてくれたとZETAを評価する

資生堂ジャパンさまは「こういう探し方ができるようにしたい」という考えが確立されており、そのためのデータの持ち方がしっかりされていていた。相談を受けるなかで、「この探し方はできません」とならないように、そして要望の取りこぼしがないように、今まで蓄積・管理されてきたデータを検索機能に生かし切ろうと意識して機能に反映してきた。(ZETA 出張氏)

ZETA株式会社 執行役員副社長 博士(情報科学) 出張純也氏

ZETAはお客さまの検索行動を考えたとき、ナビゲーションを開いて検索をしていくお客さまは減っていくと想定。特にスマートフォン経由の閲覧・購入が増えている今、キーワードによる検索をスムーズかつ充実させることが重要と捉え、「ワタシプラス」がこれまでに作り上げてきた検索軸をキーワード検索に生かす工夫も施したという。

お客さま目線で便利でわかりやすい絞り込みや検索結果表示ができるようにしたかった。たとえば、カテゴリの絞り込みにおいては「スキンケア」の中に化粧水や乳液、美容液など複数の美類が存在する中で、どの美類を上位に表示すればお客さまにとってより探しやすく使いやすいサイトだと感じられるか――こういったユーザビリティは常に課題だった。

商品情報、検索履歴、購買情報などの膨大なデータを読み込んで随時対応できる仕組みになったことで、大幅に改善できたと思う。(資生堂インタラクティブビューティー 宇井氏)

絞り込み検索のイメージ
絞り込み検索のイメージ

「ZETA SEARCH」で検索機能が向上、絞り込み経由のCVRもアップ

「ワタシプラス」は2019年にサイトの大規模改修を実施。検索だけでなく、商品詳細ページに至るまでの全体的な改修を実施した。改修に向け、2018年からZETAとともに検索機能の改善に向けた取り組みを始め、2019年7月には「ZETA SEARCH」を実装した。

キーワード検索の表記ゆれ調整や、サジェスト機能(検索キーワード入力途中に関連するキーワードを予測して表示する機能)で期間限定商品の表示にも対応。このほか、商品名だけでなく「シミ」「しわ」といった化粧品特有の悩みを軸としたキーワードによる検索結果表示も実現した。絞り込み検索では、在庫の有無、キャンペーン商品、限定品などを表示したほか、各パーツから悩み別でも絞り込めるようにした。

また、新商品の上位表示、お気に入り登録しているブランドの優先表示にも対応し、ユーザビリティを高めている。

「ワタシプラス」では、多数の商品から目的に合った商品を絞りやすいように「絞り込みモジュール」を導入している。オンラインショップ内のブランド検索では、下の画像の左側にある絞り込み機能のフロント部分を「ZETA SEARCH」で対応。絞り込み経由のコンバージョン率が従来に比べて大幅に向上するなどの効果をもたらしている

絞り込みモジュール(赤枠)
絞り込みモジュール(赤枠)

オンラインショップでは、検索メニューの「ブランド検索」と「カテゴリ検索」のそれぞれで表示結果のパターンの組み合わせを決めており、以下の画像の通り、絞り込みをした先のページで項目が変わるような仕様にしている。

「化粧品」「シミ」のキーワードで検索した場合
「化粧品」「シミ」のキーワードで検索した場合、画像のように「カテゴリ」「ブランド」で絞り込みできる

「ワタシプラス」では、ECサイトの商品検索に加え、「お店ナビ」や「美容の情報」の情報検索も強化。オンラインショップで販売していない商品・ブランドについて検索するお客さまも多くいるため、そういった場合に「どこで買えるのか」「どんな商品なのか」など、商品・ブランドにたどり着きやすい導線を充実させ、“資生堂全体としての愛用者育成”につなげている

店舗が探せる「お店ナビ」の検索機能も充実
店舗が探せる「お店ナビ」の検索機能も充実

継続的な運用改善でCX向上をサポート

ZETAは導入前の打ち合わせ段階から、自社で気付けていなかった課題までレポートしてくれた。それがより良い改善につながった」と振り返る山本氏。

たとえば、「メイク」と検索した際、古い記事が上位に表示されていたため改善の提案をするなど、細かな箇所にまで目を行き渡らせた提案型のサポートや専任エンジニアがデータ最適化やロジックチューニングなどを行う充実の運用支援がZETAの特徴のようだ。

実際に「ZETA SEARCH」の実装が始まってからも、従来のスクラッチ開発で構築していた検索システムに比べて柔軟性が大幅に拡大。顧客体験が向上しているだけでなく、必要なリソースやメンテナンスなどの作業負荷を増さずに運用できている点に大きなメリットを感じている。

また、「ZETA SEARCH」の検索ログやお客さまの行動履歴データにより、PDCAサイクルをスピーディーに回して顧客体験向上に向けたブラッシュアップがよりしやすくなったという。

サポート、開発に携わったZETA株式会社 セールスグループ マネージャー 市川敬貴氏(写真左)とエンジニアリングG ユニット長 大橋勘太郎氏(写真右)

「検索」の領域を超えた顧客体験の提供に期待

今後はさらに検索機能を活用したアクションやコンテンツ検索にも力を入れていきたいと考えている。

コンテンツも含めたサイト全体の検索機能の拡充にも着手する計画だ。

たとえば、「エリクシール」と検索したときに、エリクシールの商品が検索結果に表示されるだけでなく、エリクシールに関連するコンテンツなどもそれぞれのお客さまに合った形で表示される状態を目指している。現状、コンテンツは検索項目のリストになっていない状態だが、これを整理してリスト化すればデータベースの活用の幅も広がると考えられる。

このほか、これまでに多数制作してきたLPに掲載している特典を効果的に消費者に伝えていくためにも、情報の検索性を高めていきたいとしている。

単純に「検索エンジン」としてだけを考えれば、「ZETA SEARCH」以外にもツールはたくさんある。しかし、さまざまな情報を整理したリストを作成し、そこから欲しい情報を引っ張ってこられるところに「ZETA SEARCH」の魅力があった

UI/UXの観点で考えると、1つの回答だけを提示するのではなく、リストを並べて提示することが最適な場合もあるだろう。検索エンジンは、何かの情報を投げて、それに対しての回答が返すものだが、これは決して純粋な検索機能としての活用幅だけではないと思っている。お客さまのアクションに対して満足度の高い反応を返すことをめざす上でも、柔軟なツールの使い方ができるのではないかと期待している。(資生堂ジャパン 山本氏)

検索機能を使いやすくする取り組みは当然重視しつつも、「検索」の領域を超えたサービス向上を実現。顧客体験を高めていく取り組みで、ZETAとの協力を深めていく

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