アマゾンジャパンは2025年、国内の物流・配送体制を大幅に拡充した。
西日本最大規模となる「名古屋みなとフルフィルメントセンター(FC)」の稼働、全国6か所での新たなデリバリーステーション(DS)の開設、当日配送専用拠点の新設などを通じて、消費者の利便性向上と配送スピードを強化。次世代のEC物流インフラ構築を進めている。
西日本エリア最大の物流拠点が稼働
アマゾンジャパンは8月、西日本エリア最大の物流拠点として、愛知・名古屋市で「名古屋みなとFC」を稼働した。作業員による商品の荷下ろしを支援する「デパレタイザー」や、ロボットが商品棚を持ち上げて移動する「Amazon Robotics(アマゾン・ロボティクス)」などの先端技術を導入している。
また、持続可能な施設運営を目的に、カーボンフリーエネルギーの活用も積極的に進めている。太陽光発電や地中熱空調、低炭素コンクリート、雨水利用といった環境配慮型の設備を採用。さらに、搾乳室や礼拝室、カフェテリア、バリアフリー対応トイレなど、多様なニーズに対応した設備も備えている。
全国6か所に新DSを開設、当日配送拠点も拡充
2025年は岡山南、千葉・柏、福岡・北九州、北海道・北広島、東京・江東、石川・野々市の6か所に新たなデリバリーステーション(DS)を開設。これにより、全国65拠点以上のDS体制となり、多くの地域で柔軟かつ迅速な配送を実現している。
FCとDSの機能を兼ね備えた当日配送専用拠点も全国16か所で新設。入荷から出荷までのオペレーションを簡略化し、最大数万点の商品を当日配送できる体制を整えた。一部の拠点では、食品・飲料・日用品など数万点の商品を最短6時間で届けるエリア限定サービス「エクスプレスマート」も展開。さらに、午後11時59分までの注文を翌日に届ける配送オプションを全国に順次拡大し、スピード配送を利用できる地域を広げている。
「Amazonロッカー」「Amazon Key」の展開を加速
受け取り・配送手段の多様化も進めている。「Amazonロッカー」や、連携企業の店頭カウンターを活用した自宅外受け取りは、日本全国で約4万所に拡大。「Amazonロッカー」は47都道府県に4500台以上設置している。
オートロック付きマンションでの「置き配」を可能にする「Amazon Key」は、6月に全国47都道府県への展開を完了。対応マンション数は3万棟を超えた。マンションのオーナーや管理会社の許可を得て専用機器を設置。配送ドライバーが配達時のみ、専用アプリからオートロックを解錠できる仕組みとなっている。
配達業務の委託プログラムも拡充
配達業務に関する委託プログラムの拡充も進めた。稼働時間を自由に選べる配達サービス「Amazon Flex」は47都道府県に拡大し、デリバリーパートナーは数万人規模に達しているという。中小企業を中心とした配送業者が参加するデリバリーサービスパートナー(DSP)は、2025年に全国120社以上に増加。さらに、中小企業が本業の空き時間を活用してAmazonの商品を配達する「Amazon Hubデリバリー」も、全国40都道府県へと展開を広げた。
物流拠点見学ツアーも好評
物流拠点の一般公開にも取り組んでいる。「千葉みなとFC」では、一般向け見学ツアー「Amazon Tours」を2025年に日本で初実施。開始から2か月で1000人が参加し、ロボティクスを活用したオペレーションや効率的な在庫管理、従業員が働きやすい環境作りなどを紹介している。
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