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2014年に誕生し、成長を続けている「Amazon Fashion(アマゾン ファッション)」。「日本のファッション業界全体をサポートすることが必要だと感じた」「ユーザーの行動を見ながら求めているものを見つけ、イノベーションを起こしたい」──。アマゾンファッションを率いるアマゾンジャパンのジェームス・ピータース氏が、アマゾンファッションの今までとこれからを語った。

本記事は「ADVERTISING WEEK ASIA」で5月16日に行われたジェームス・ピータース氏の講演をまとめたものです。

アマゾンファッション バイスプレジデント ジェームズ・ピータース氏。
1992年から日本在住。2015年にアマゾンに参画

アマゾンのビジネスモデルとは

アマゾンは現在、世界で3億人以上のアクティブカスタマー(過去1年間にAmazonで買い物をした顧客)がおり、Prime会員も1億人以上。企業理念は95年に創業してから変わらず顧客中心であること。「アマゾンがユニークなのは、お客さまにとにかく力を入れていること。常にお客さまの立場で考えること、常に求められるものを見つけ出して提供するということ」(ピータース氏)。

世界3億以上のアクティブカスタマーアカウント
1億人以上のPrime会員
売上高は約1780億ドル(2017年)
世界におよそ3億人のアクティブカスタマーと1億人のPrime会員を抱え、2017年の売上高は約178億ドル(約1.96兆円)

「アマゾンはなぜそんなに巨大化したんだ?」「そんなにことを急ぐ必要があるのか?」と言われます。アマゾンが大きくなればなるほど全体的なコストは下がります。そして、お客さまにより良い価格で商品をお届けすることができます。すると、さらにお客さまの体験もより良くなりトラフィックが増えます。これがアマゾンのビジネスモデルのサイクルなのです。(ピータース氏)

アマゾンのビジネスモデル
圧倒的な投資
お客さまが安心して買い物できる価格
Amazon.com の共同創設者ジェフ・ベソスがペーパーナプキンに書いた「正のサイクル」。セレクション(品揃え)から始まり、顧客に「欲しいものが手に入る」という経験を提供する。顧客満足度が上がれば来店数も増える。
Amazonジャパンの全体の売上推移
アマゾンジャパン全体としての3年間の年間平均成長率は20%

「アマゾンファッション」の誕生

アマゾンがファッションに注力し始めたのは2007年。きっかけは検索ランキングの変動だった。

2007年、日本のお客さまがファッション商材の検索をアマゾンで始めました。ランキングが毎日上がっていきます。それを見て「じゃあやろう」ということになり、ファッションに進出しました。お客さまのニーズを充足しなければならないと考えたのです。(ピータース氏)

2007年にお客様がファッション商材の検索を始めました
Amazon Fashionのタイムライン
2007年にアパレル、靴、時計のストアを、2009年にジュエリーのストアをオープンした。「アマゾンファッション」としてスタートしたのは2014年

米国では、アマゾンファッションは最大のオンライン/オフラインファッションセラーですが、米国と同じように日本のアマゾンファッションも日本有数のファッションオンラインストアの1つに成長しました

2017年だけでも1,000以上のブランドを追加できました。国内だけでも何千というブランドがあり、約1千万の洋服、靴、ジュエリーなどが、各カテゴリーで販売されています。他にも準備中のブランドが多数あります。(ピータース氏)

ファッションは、アマゾンの中で最も成長しているカテゴリーの1つに成長
ファッションは、アマゾンの中で最も成長しているカテゴリーの1つに成長
アマゾンで新しいビジネスをするとき考える4つの柱
アマゾンで新しいビジネスをするとき考える4つの柱。「品揃えを増やし、適正価格で提供し、素早くお届けし、カスタマーサービスを高めていく。品揃えはその重要な1つ」(ピータース氏)

海外進出のプラットフォームとしてのアマゾン

アマゾンファッションの“お客さま”とは、服を着ている人、すべてです。日本だけでなく世界中のお客さまがアマゾンジャパンから購入しています。私たちは世界中にお客さまがいます。アマゾンに出店しているみなさんにとっても世界中の人がお客さまになります

これは今までアマゾンがあまり言ってこなかったことですが、アマゾンでは67か国に向けて商品を配送できます。これはすごいことです。資金も人的資源も少ない段階でも、アマゾンを介することで世界中に商品を販売できます

これまでは海外のお客さまに商品を販売したいと思ったら、実際にそれぞれの国に行き、現地で物流を確立するなど大変な作業が必要でした。お金も手間もかかりました。しかしアマゾンなら、やって来たお客さま全員に商品を届けられるのです。とても簡単に海外市場に参入できるのです。(ピータース氏)

67か国のお客さまに商品を配送

Amazon最大の撮影スタジオを品川にオープン

アマゾンジャパンは2018年3月、2年間の準備期間を経て、アマゾン最大の撮影スタジオを品川にオープンした。ニューヨーク、ロンドン、デリーに続く世界で4番目のスタジオで、7,500平方メートルという広大なスペースの中に、11の撮影スタジオと5つの動画用スタジオ、キッチン、ラウンジエリア、スタイリング、メイクアップエリアなど、クリエイティブな作業をサポートするためのスペースがある。

東京撮影スタジオ外観
東京撮影スタジオ内部
東京撮影スタジオ内部
「私はこの場所を特別な場所として、普通のオフィスは違う雰囲気にしたいと思いました。そこでお客さまのためにいろんな形で創造性を発揮してもらいたい」(ピータース氏)

ファッション業界への支援

ピータース氏が必要だと感じたのは、日本のファッション業界全体をサポートするということだったという。2016年、アマゾンジャパンは毎年2回行われるファッションショー「東京ファッションウィーク」の冠スポンサーになった。2017年からはオリジナルプログラム「AT TOKYO」もスタートしている。

3年目を終えたばかりですが、我々の期待のはるか上を行くイベントです。これからも続けて行きたいと思っています。(ピータース氏)

AmazonFashion ブランドストア
Amazon Fashion「AT TOKYO」内の「ブランドストア」。販売開始から1分で完売になる人気アイテムもある
AmazonFashion マイアマゾン
デザイナーやスタイリストがお気に入りのアイテム紹介する「MY AMAZON

アマゾンファッションの今後

米国では「echo look」と「Prime wardrobe」が始まっている。「echo look」はワードローブのすべてを撮影し、買うべきものやスタイリングをアドバイスするもの(招待制)。「Prime wardrobe」はAmazonで10着選び、届いたら試着してみて、気に入ったものだけを購入し、気に入らなかったら無料で返品できるというもの。

echo look」「Prime wardrobe」
「echo look」「Prime wardrobe」についてはこちらの記事も参照のこと

毎日我々は2つのことをやっています。1つ目はお客さまが何を求めているのか、お客さまの行動を見ながら求めていることを見つけること。私のチームがかなりの時間をかけてやっています。

2つ目はかなり難しいのですが、イノベーションです。お客さまがまだ知らないものがイノベーションです。アマゾンには2つの偉大なイノベーションがあります。1つはKindle。自分の本を全部入れられます。もう1つはAlexaやAmazon Echoです。Alexaに「照明をつけて」とか「トイレットペーパーを注文して」と頼めるなんて、とても思い付きませんでした。

ビッグデータを機械学習やAIで読み込んで、将来的にはパーソナライズされた購買経験を提供したいと考えています。そのために数千人のエンジニアが世界中にいるのです。(ピータース氏)

日本のファッション業界にアマゾンがもたらしたもの

後半はファッションブランドBEDWIN(ベドウィン)デザイナーの渡辺真史氏と、ファッション業界誌『WWD JAPAN』編集長の向 千鶴(ムコウ チズル)氏を交えたトーセッション。

ジェームズ・ピータース氏(←)とBEDWINの渡辺真史氏(中央)と『WWD JAPAN』の向編集長(右)
BEDWINの渡辺真史氏(中央)と『WWD JAPAN』の向編集長(右)

ファッション業界に身を置いて25年という向氏は、アマゾンが日本のファッションウィークに参入した影響について、次のように語った。

良い物を作ってもなかなか世界に出て行けないというのが日本のファッションウィークの課題だったが、アマゾンが新しいデジタルの世界をたずさえてファッションウィークに来てくれたおかげで、ほぼ初めて日本のファッションが世界に出て行き始めていると感じている。(向氏)

また、日本のファッション業界には、店舗でも雑誌でも「このブランドの隣はこのブランドしかダメ」というような業界のルールがあり、それに縛られると同時に価値を高めてきたところがあると語った。それについてピータース氏は、

今、お客さまは完全に携帯デバイスに移っていて、ファッションだけでも50%以上がモバイルから購入されています。おっしゃっているような隣り合わせのルールはあり得ません。

ファストファッションからハイブランドまでいろいろありますけど、重要なのはそれぞれの人のスタイル。どんな風にファッションで自分を表現したいかは、1人ひとりが決めればいいことです。

アマゾンのような商品の見せ方をするお店があることによって、「これとこれを合わせたい」という選択がしやすくなると思います。将来的にもそういう方向に進むと思います。(ピータース氏)

デザイナーとして渡辺氏は次のように語った。

70年代80年代にブランドがどんどん出てきた頃、1つのブランドでそろえることでファッションの良さを求めてきた人たちがいますが、今の人たちはもっとリベラルでフェア。高かろうが安かろうが、自分が気に入ったら取り入れるというのが今の顧客だと思っているんです。

昔は良い物を作っていればお客さんの方からそれを見付けてもらえる、どうにかなるというところがあったけど。今の時代ではまったく通用しない。デザイナー自らが発信力を持たなければならないし、ビジネスのことを考えてモノを作らなければならないと思っている。(渡辺氏)

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内山美枝子

内山 美枝子

ネットショップ担当者フォーラム編集部

雑誌、書籍、各種PR冊子など、紙媒体の編集・制作を経て、2014年「ネットショップ担当者フォーラム」の立ち上げに参加。図や表を作るのが得意です。難しい話をわかりやすく、面白い話はさらに面白くお伝えしたいと思っています。静岡県浜松市出身の猫好き。

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