『楽天市場 最強攻略ガイド ~売れるネットショップの新常識、ECの達人が教えます~』ダイジェスト

「楽天スーパーSALE」で売り上げを最大化するためには“普段から売れている商品ページ”で勝負することがカギ!

『楽天市場 最強攻略ガイド ~売れるネットショップの新常識、ECの達人が教えます~』(竹内謙礼/清水将平 著 技術評論社 刊)ダイジェスト(第8回)

竹内 謙礼[執筆], 清水将平[執筆]

7月9日 8:00

『楽天市場 最強攻略ガイド ~売れるネットショップの新常識、ECの達人が教えます~』の一部を抜粋して紹介する連載8回目は、「『楽天スーパーSALE』で売り上げを最大化する方法」についてのお話です。

「楽天市場」を攻略するポイントをまとめた過去記事は、以下をクリックしてください。

楽天スーパーSALEで売上を最大化する方法

普段から売れている商品ページで勝負する

楽天スーパーSALEは、楽天市場が年4回開催している大型セールである。お買い物マラソンと同じネットショップの買いまわりキャンペーンを実施しており、ポイント付与の倍率が上昇していく仕組みを取り入れている。テレビCMと目玉商品の多さで新規客を取り込み、楽天市場の総流通額を一気に伸ばすことから、ネットショップにとって“天王山”のような販促イベントとして位置づけられている。

楽天スーパーSALEは、毎年3月・6月・9月・12月におこなわれて、開催期間は約1週間。その日程の中の5日と10日が絡む日に楽天カードで買い物をするとポイントの倍率が上昇することから、売上がこの2日間に集中する(初日限定のタイムセールなどを企画した場合は除く)。

一方、楽天スーパーSALEに参加すれば売上が伸びると安易に考えて、赤字を垂れ流すだけで終わってしまうネットショップも少なくない。「たくさん売れる」という感覚は中毒性が強く、「儲かっている」という錯覚を起こしやすいため、無理をして赤字で販売するネットショップも多い。

目の前の売上が立ってくれるので、年末の資金繰りが苦しい会社にとって、現金化できる楽天スーパーSALEはありがたい存在ではある。しかし、赤字を垂れ流す販売方法だと、繰り返せば繰り返すほど、経営が苦しくなる悪循環に陥ってしまう。

そうならないためにも、楽天スーパーSALEで確実に利益を生み出す店舗を構築することが、息の長いネットショップ運営につながっていく。

楽天スーパーSALEの攻略は、「事前準備」がカギを握る。楽天サーチや楽天ランキング経由のお客が、ほっといても買いに来てくれる「売れる商品ページ」を構築し、そこに楽天スーパーSALEのお客が大量に流れ込んできて、商品が通常時よりもたくさん売れるというのが、楽天スーパーSALEの基本的な戦略になる。

つまり、楽天スーパーSALEは「売れる商品ページ」があってこそ販促パワーを最大化できるものであり、「売れる商品ページ」がなければ大量に押し寄せてくる楽天スーパーSALEのお客を取り込むことができずに終わってしまうのである。

楽天スーパーSALEでは、「楽天スーパーSALEサーチ」という値引きをおこなったうえで申請した商品が掲載される特別な検索が用意され、アクセスアップが期待できる。ただし、申請するには販売期間を楽天スーパーSALEの期間に合わせる必要があり、申請してから楽天スーパーSALEが始まるまでは販売期間外になってしまい、販売ができなくなる

そこで、楽天スーパーSALE用に商品ページを新しく登録するネットショップもあるが、この施策を展開してしまうと楽天スーパーSALE終了後に販売停止にしないと規約違反になってしまうので、場合によっては楽天サーチにも楽天ランキングにも商品が掲載されない商品ページになってしまう。楽天スーパーSALE期間中も新しい商品ページになってしまうので、レビュー数も少なくなるうえ、普段販売している商品ページとレビューが分散されてしまい、販促パワーの劣った商品ページで楽天スーパーSALEを戦わなくてはいけなくなってしまう。

楽天スーパーSALEで売上を最大化させるためには、まずは「売れる商品ページ」を作ることが重要であり、既存の「売れる商品ページ」で楽天スーパーSALEのお客を集客しなければいけないのである。

儲からなくても楽天スーパーSALEに参加する意味がある場合とは

楽天スーパーSALEで商品を売っても「儲からない」と判断すれば、無理をして参加する必要はない。安売りをしても利益が出なければ意味がないし、リピート客を増やす施策がなければ、仮に新規客を獲得することができても、長期的に見れば売上を作ることはできない。基礎体力のないネットショップが売上だけを目指すのであれば、むしろ参加しないほうが得策といえる。

ただし、以下の目的で楽天スーパーSALEを活用するのであれば、参加する価値は十分にあるといえる。

  • 動きの悪い在庫を現金化したい
  • 「売れる商品ページ」を作るために販売数を増やしたり、レビュー数を増やしたりしたい

このような具体的な目標があれば、楽天スーパーSALEはネットショップにとって有効な場になる。しかし、売上を伸ばすことだけが目標になっていたり、売れることだけが快感になっていたりするような店舗の場合は、赤字を増やす施策になってしまう可能性があるので、参加は慎重に検討したほうがいいだろう。

楽天スーパーSALEサーチに申請する商品の販売期間は、全日程を指定する必要がない点にも注意してほしい。売上が伸びる5日と10日を絡めれば、短期間で終わらせてもいいし、薄利多売で人件費などのコストが増大するのであれば、早々に楽天スーパーSALEから手を引くのも一考の価値がある。

楽天スーパーSALEにあわせて広告を出すべきか?

楽天スーパーSALE時の広告に関しては、ケースバイケースで考えたほうがいいだろう。たとえば、セール期間中に検索連動型のRPP(詳細は第6章を参照)を展開すると、多くの人が楽天サーチを閲覧してくれるので、売上を増やすことにつながる。しかし、通常時よりも競合店が広告を出稿するため、クリック単価が上昇し、早々に予算を消化して広告が表示されなくなってしまうケースも多い。広告の運用をしっかり管理しなければ、機会損失が起きたり、費用対効果が悪くなったり、大きな損失を生む可能性があるので、注意が必要である。

RPPを使って想定以上に売上を伸ばす店舗もあれば、想定外に広告費がかかる店舗もある。楽天スーパーSALEの動向をみながら、慎重に広告費の予算を調整したほうが得策である。

もし、広告費の予算に余裕があれば、楽天スーパーSALE前に公開される広告を検討することをおすすめする。楽天スーパーSALEには、超目玉枠、目玉枠、最安値枠など無料で参加できる広告も存在するが、エントリーには条件があり、抽選となる。

熱量の高いお客は、事前に楽天スーパーSALEでどのような商品が売り出されるのかチェックし、欲しいものに目星をつけて、「お気に入り」に入れてセールの日まで待機する。そのようなお客を獲得するために、セールの事前広告を展開するのも、売上を伸ばす施策として一考する価値はある。

ただし、そのような旨味のある広告枠は、ECC(店舗を担当するECコンサルタントの略語、第7章も参照)経由でしか購入できない特別なものもあり、日ごろからのECCとのつきあいがものをいうところもある。楽天スーパーSALEで売上を伸ばすためには、マーケティングの施策だけではなく、ECCとのコミュニケーションも大事であることは、理解しておいたほうがいいだろう。

この記事は『楽天市場 最強攻略ガイド ~売れるネットショップの新常識、ECの達人が教えます~』(技術評論社刊)の一部を編集し、公開しているものです。

楽天市場 最強攻略ガイド ~売れるネットショップの新常識、ECの達人が教えます~

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