森野 誠之[執筆] 2023/5/16 8:00

ノーコードツールなどの自動化ツールって、導入したけれど使いこなせないことが多いです。その原因は会社にシステムを合わせてしまうため。ツールが動きやすい環境を先に作っておくとうまくいくようです。

忙しくなってきたら業務フローの整備を

月10万件の受注処理を自動化 ノーコードツールTēPsを使い倒すフォルダさんにその秘訣を聞いた | ECzine
https://eczine.jp/article/detail/12462

ECの売上が拡大すると、バックオフィスの業務も増加します。それを管理するシステムが煩雑化と肥大化を繰り返してコストがかさんでいきます。この問題を、業務を自動化するツールを自ら作成できるノーコードクラウドサービスTēPs(テープス)を活用して解消しているのが、フォルダ株式会社さんです。

ECの業務は規模が小さい時は難なくこなせるのですが、売り上げが上がってくるとそうもいきません。受注処理や発送、問い合わせ対応などが一気に増えてきます。この時に新しい人が入ってきて業務がスムーズに回らなかったり、手作業が多くて非効率な状況になったりしてしまいがちです。

取材をしたTēPsは業務を自動化するツールを自分自身でつくれる、ノーコードクラウドサービスです。こういったツールを導入してもうまくいかないケースがあるのですが、フォルダさんはうまく対応していました。

いちばん大きかったのは、TēPsの思想そのものが当社の考えかたに似ていたという点ですね。先進的といって良いかはわかりませんが、商品数を増やすなど、拠点に合わせて商品を複雑に分散させることを、当社では一切行っていませんでした。あとは、そこにスパッとはまる画期的なシステムさえあれば、すべてを自動化できると考えていました。

うまくいった理由の1つが、そもそもの思想がフォルダさんとTēPsで似ていたということです。同じ思想で動いていれば導入もスムーズになるはずですね。ツールの思想というのが意外と重要なので、機能や価格の前に確認しておいたほうがいいです。ここで違和感がある場合はうまくいかない可能性があります。

シンプルな業務フローのおかげで、社内体制を変更する部分がかなり少なかったことが、導入をスムーズにした大きな要因ではあります。また、社風として業務にシステムを合わせるより、システムに業務を合わせる「Fit to Standard」方式を採用しているため、ツールに合わせて社内体制を変えることに抵抗感がなかったのも良かった点だと思います。

2つ目の理由はこちら。そもそもの業務フローがシンプルなことと、システムに業務を合わせる社風であることです。自社の独自の考えでシステムを作るとどうしても煩雑になりますし、会社にシステムを合わせることになってカスタマイズだらけになってしまいます。ECのシステムはどんどん進化していって、ツールもそれに合わせて進化していきますので、会社に合わせるよりもシステムに合わせたほうがなにかとうまくいく時代になっています。

たくさんワークフローを作ってしまうと、ワークフロー自体がバッティングしてしまうこともあります。最初に業務を整理して、さらに磨き上げるツールとして使うのがおすすめです。

ECは、注文が全然来ないときもそれはそれで苦しいのですが、いちばん苦しいのは注文が増えたときだと思うんですよね。出荷を自社でやっている場合であれば、土日休みも確保しなければいけないので、月曜日の出荷が多くなります。朝8時からパートの方が10人ぐらい出勤して一気に出荷作業をやったり。このように、出荷量が増えてきたタイミングで導入するのが良いと思います。小さいうちはどうにかなりますから。

担当者さんと社長が語るTēPsのような自動化ツール導入のポイントはこちら。ツールが何かをするわけではないので、整理された業務フローを作って効率化してからさらに磨き上げるために使う。忙しくなる前ではなくて、忙しくなる時に導入する。

つまり、忙しくなってから人力や根性で対応するのではなくて、忙しくなりそうになる前に業務フローを整理しておいて、忙しくなってきたらツールを導入するということですね。日ごろの効率化がキモですので勘違いしないようにしましょう。

今週の要チェック記事

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燃料費と人件費が上がるのは仕方ないですよね。まとめて配送、急がないなど、配送方法も変わってきそう。

物流企業のイノベーションがEC事業者、消費者、地球環境にもたらすメリットとは | ネットショップ担当者フォーラム
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ピンチはチャンスで新たな動きも。

【迫る物流「2024年問題」、通販事業者の見解は?】EC・通販事業者の82.3%が「2024年問題」に危機意識あり「配送コスト増加」や「商品到着の遅延」に不安の声 | コマースピック
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配送料だけを見ていても改善しないので、通販事業者側も配達の工夫をお願いしたいですね。

【楽天店舗必見】「楽天SKUプロジェクト」に対応できていますか? 新たな店舗管理のポイントまとめ | ネットショップ担当者フォーラム
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SKUプロジェクト進む楽天市場でのCVR改善 負のスパイラルに陥らない施策実践時の思考術とは | ECzine
https://netshop.impress.co.jp/node/10901

SKUプロジェクト関連を2つ。対応必須なので逃げずに頑張りましょう。

今話題のChatGPT ECビジネス成長に寄与する使い方は?基礎知識からリスクまで網羅的に解説 | ECzine
https://eczine.jp/article/detail/12702

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「ChatGPT」関連も2つ。どんなものかと聞く前に使ってみると使い方がわかるはず。

ショッピング広告を停止したのに、まだ掲載されてる?Google 無料リスティングの掲載確認と停止したいときの設定方法 | アナグラム
https://anagrams.jp/blog/how-to-check-the-placement-of-google-free-listings/

ふとした時に気づくのがこれ。対応方法を知っておきましょう。

アパレルEC 消費者の課題は本当に「サイズ」アパレル業界の真の顧客課題を探そう? | コマースピック
https://www.commercepick.com/archives/34644

「似合わない」だと返品できなさそうなので「サイズが合わない」と言う。ヒアリング重要ですね。

今週の名言

怖くても発信し続けたら、人生が変わった話 | Yoshi
https://note.com/yoshi_bpwire/n/nac6bb72822bc

もし発信することに躊躇している方がいたら、小さくてもよいのでぜひ発信してみてください。その記事1つがあなたの人生を変えてしまうかもしれません。

効果を狙わない方の、力が抜けた発信が反響を呼ぶ時があります。素直な気持ちで発信してみましょう。

このまとめも狙いすぎないほうがいいのかな?(笑)。

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