森野 誠之[執筆] 3/5 8:00

2024年に流行っている「リテールメディア」。メディアとなると広告収入が目的になってきがちですが、そうではなく「One to Oneアプローチ」のための基盤です。ここを間違えるとEC自体の売り上げが下がってしまう可能性もありそうです。

リテールメディアはデータ収集基盤を作ることから

日本式リテールメディアに未来はあるか?逸見氏が小売に必須な現場視点とデータのハイブリッド活用を語る | ECzine
https://eczine.jp/article/detail/14175

逸見氏は「サイネージ訴求が主軸の広告施策と化している点を危惧している」という。

「米国でリテールメディアが広がったのは、購買データを基軸に、アプリなど顧客と強固なつながりを獲得しているチャネルへ『ぶれないレコメンド』をするからです。One to Oneのアプローチはマストと言えるでしょう。しかし、日本のリテールメディアはまだこうした段階に達していないケースがほとんどです。

2023年ごろから話題になってきている「リテールメディア」。オムニチャネルコンサルタントの逸見さんは日本の現状を危惧しているようです。日本では広告の配信面が広がってサイト運営者には広告収入が入るイメージになっていますし、実際にそういった記事もよく見ます。

日本の小売はまだデータ収集環境を整備し、顧客像を捉えようとしている段階であるケースが多いですから、『メディア』という言葉がもつイメージや、各社のポジショントークに踊らされすぎないよう、気をつけなければならないと思います」

こちらの記事(https://webtan.impress.co.jp/e/2023/12/13/46116)にもあるように、日本はアメリカの取り組みレベルが違っていることを知っておかないといけないです。そして、その先にはまだまだステップがあるので、リテールメディアを成長させていかないといけません。提案を受ける際は、どのステップまでを見据えたものかを確認しておきたいですね。

『では、何から始めるべきか』と言われたら、やはりデータ収集環境の整備です。顧客軸で見るためのデータが集められるか。箱だけ用意しても中身が充実しなければ意味がありませんから、店頭やECサイト含めて顧客に対し、十分なメリット訴求と使いやすさの提供ができているか。

リテールメディアはアメリカから始まりました。そして、アメリカはデータが大好きですね。日本人の比ではないくらい細かいことまでデータが好きです。近年では野球のデータ化が話題になっています。その背景を理解しておくとリテールメディアの本質が理解できると思います。「広告」ではなくて「One to Oneのアプローチを行うためのデータ収集基盤」というとらえ方から始めましょう。

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16年間変わらなかったものが値上げ。物価も上がっていますので致し方なし。「楽天市場」成長の資金になってくれれば良いですね。

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「最大70%割引」「最大25.5%のポイント付与」。Yahoo!ショッピング内の「超PayPay祭」は3/1スタート | ネットショップ担当者フォーラム
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LINEヤフー行政指導へ 総務省、情報管理を問題視 | 共同通信
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攻勢に出たと思ったところで行政指導。そろそろ情報管理をしっかりしないと身動きが取れなくなりそう。

「2023年 日本の広告費」解説──新型コロナ5類移行が追い風となり過去最高を更新。コロナ禍で広告費はどう変わった? | ウェブ電通報
https://dentsu-ho.com/articles/8831

ラジオ、テレビ、イベント系が伸びています。リアル回帰はますます進んでいきそうです。

「楽天市場」、2024年の新生活に向けたトレンド予測を発表 「タイパ」関連商品やインフレ対抗消費などに注目が集まる傾向に | コマースピック
https://www.commercepick.com/archives/47626

タイパ商品はどんどん出てきますよね。ARも人気なのが今の流れ。

日本全国への翌日配送をめざすANAの航空便輸送+EC物流とは?「早く」「安く」「ムリなく」輸送を実現する取り組み | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/11980

「関東地区発、中国・四国地方からの岡山以西への翌日配送を可能に」。物流の2024年問題を発端に新しい輸送手段が増えてきそうです。

ECサイトの全商品の分析・最適化を継続的にAIが自動でサポートするECサイト改善支援アプリの提供を開始 | ユニマル
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000016521.html

売れるものがより売れるだけになるのでしょうか? 全体的な底上げができれば良いのですが。

今週の名言

なんでも面白がるクセをつけよう! すべては妄想から生まれている | マーケティングコンサルタント藤村正宏ブログ
https://www.ex-ma.com/archives/17221

面白い方を選んでいれば、つまらないことはなくなっていく。

面白い企画、面白い記事、面白い○○。見つからないということは、日ごろから面白がっていないのかもしれませんよ。

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