瀧川 正実 2018/11/12 7:00

ネット通販の買い物の祭典「独身の日」(W11、ダブルイレブン)が行われた中国で、中国EC最大手の阿里巴巴集団(アリババグループ)と「JD.com」運営の中国直販EC最大手「京東集団」の取扱高(GMV)は、2社合計で3732億元(日本円で5兆9712億円、1元16円換算)だった。伸び率は前年実績比26.3%増。

アリババ、京東集団ともに2ケタ台の成長率

「独身の日」キャンペーンの取扱高、中国EC最大手の阿里巴巴集団(アリババグループ)と「JD.com」運営の中国直販EC最大手「京東集団」の取扱高(GMV)は、2社合計で3732億元(日本円で5兆9712億円、1元16円換算)
アリババグループと「JD.com」を運営する京東集団の「独身の日」における取扱高推移(画像は公開資料、提供情報を元に編集部が作成)

日本の小売業でいえばセブン&アイ・ホールディングスの2018年2月期連結売上高が6兆378億円。アリババグループ、京東集団の2社合算の取扱高は1日でセブン&アイ・ホールディングスの年間売上に匹敵する規模。

アリババグループの取扱高は、過去最高となる2135億元(日本円で3兆4160億円、1元16円換算)を記録した。伸び率は前年実績比26.9%増。

日本のEC市場で取扱高トップである楽天の2017年度(2017年1~12月期)国内EC流通総額は3兆3912億円。「独身の日」1日で楽天の取扱高を上回る取引が行われた計算になる。

中国で始まったネット通販の買い物の祭典「独身の日」(W11、ダブルイレブン)で、中国のECプラットフォーム最大手の阿里巴巴集団(アリババグループ)の取扱高(GMV)は過去最高となる2135億元(日本円で3兆4160億円、1元16円換算)を記録した
過去最高となる2135億元(日本円で3兆4160億円、1元16円換算)を記録した(画像はアリババ運営の『Alizila』からキャプチャ)

一方、中国直販EC最大手「京東集団」の取扱高は1597億元(日本円で2兆5552億円、1元16円換算)。伸び率は前年実績比25.6%増。

中国で行われたネット通販の買い物の祭典「独身の日」(W11、ダブルイレブン)で、中国直販EC最大手「京東集団」の取扱高は1597億元(日本円で2兆5552億円、1元16円換算)。伸び率は前年実績比25.6%増
京東集団(JD.com)の取扱高は1597億元(日本円で2兆5552億円、1元16円換算)

アリババグループ、京東集団の2社は20%台の高い伸び率を記録し、取扱高を大きく伸ばした。両社が2ケタ台の成長を達成した理由の1つにあげられるのが、実店舗の活用だ。

アリババが進めているのはオンラインとオフラインの融合をめざすO2O戦略「ニューリテール」(新小売)。アリババグループの生鮮スーパー「盒馬鮮生」(ファーマーションシェン)では多数のプロモーションを展開。アリババとのパートナーシップ「Ling Shou Tong」関係にあり、「Tmall」にも出店しているパパママショップ約20万店舗でもオンライン販売プロモーションを行い、実店舗からオンラインへの誘導などにつなげた。

京東集団が推進するのはオンラインとオフラインの融合をめざす小売概念「ボーダーレスリテール」。従来のWebに加え、リアルからの誘導も強化している。

たとえば、事業提携しているインテリア・家具販売などの曲美家居集団とは実店舗とECサイト(JD.comに出店)で連携。実店舗では「独身の日」キャンペーンの告知を大々的に行うなど、リアル店舗との連携も進めた。

中国直販EC最大手の京東集団がインテリア・家具販売などの曲美家居集団と連携し、「曲美京東之家」という協業店舗を展開している
京東集団と曲美家居集団が協業して立ち上げた実店舗「曲美京東之家」では「独身の日」のキャンペーン告知が店内で大々的に行われていた

アリババと京東集団で異なるビジネスモデル&「独身の日」の仕組み

アリババグループが展開するECビジネスはプラットフォーム型と呼ばれる出店形式。一方、京東集団は自社によるネット通販とプラットフォーム型の2形式を展開している。そのため、「独身の日」キャンペーンの展開方法もそれぞれ異なっている。

アリババグループは11月11日を「独身の日」キャンペーンとして展開しているが、京東集団は11月1日から11日までの11日間を対象としている。アリババグループは11日当日に決済された金額、京東集団はキャンペーン期間中である11日間に決済された金額がそれぞれ取扱高となる。

ただ、アリババグループは決済を11月11日に行うものの、それ以前に割り引きなどの特典を付けた予約販売形式で消費者の購買意欲を喚起している。これまで、11月11日の約1週間前から予約注文を開始していたが、2018年は10月20日から中国国内向けECモール「天猫(Tmall)」で約50万商品の事前予約を実施。予約販売の期間を長くし、プロモーション期間の長期化、取扱高の拡大につなげた。

ちなみに、アリババグループのプラットフォームで買い物をする消費者は、前日までに買い物カゴへ商品を入れておいたまま、「独身の日」に決済するという人も多い。こうしたことを受け、11月11日の「独身の日」当日に決済が集中し、スタート当初に取扱高が急拡大する。

商品配送は決済終了後の11月11日以降に行われる。関係者によると「事前予約制度のため、予約していたことを忘れており、注文をキャンセルする人も多い」と言う。

一方の京東集団では1日から「独身の日」キャンペーンをスタート。1000億元(日本円で1兆6000億円、1元16円で換算)の達成はスタートから10日後となる11月10日22時56分だった。

京東集団では決済終了後、すぐに自社物流である「京東物流」を通じて、当日配送、もしくは翌日配送といったスピード配送で商品を購入者に届けている。

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