「D2C」「サブスクリプションサービス」は、一般的な通販・EC、メーカー直販、頒布会と何が違うんですか?
「D2C」や「サブスクリプション」が話題です。「D2C」は「Direct to Consumer」の略でメーカー直販を指します。「サブスクリプション」は定額サービスのこと。これから「D2C」や「サブスクリプション」の事業に新規参入したい場合、何から手を付ければ良いのでしょうか? また、既存事業から切り替える際には、どんなことが必要になるのでしょうか?
ここは、そんな疑問を抱えたEC事業者たちが集まる場所。参加しているのは菓子製造・卸を手がける企業の木村部長と、化粧品メーカーの石井社長。ファシリテーターとアドバイザーが、D2C、サブスクリプションの新規参入に必要なシステムやツールの紹介、運用上のポイント、売上を伸ばすための考え方などをアドバイスします。
相談者
アドバイザー
ファシリテーター
そもそも「D2C」って何なの?
木村部長が検討しているダイレクトに顧客との関係性を持つビジネスモデルは、日本では「D2C 」または「DTC」と呼ばれていますが、このビジネスモデル発祥の地である米国では「デジタル・ネイティブ・バーティカル・ブランド(Digitally Native Vertical Brands/DNVB)」と言われています。この言い方の方がビジネスモデルをつかみやすいと思いますが、ここでは、日本でよく使われている「D2C」で進めます。
D2Cのビジネスモデルの特徴はいろいろありますが、ポイントはサプライチェーンと顧客との接点です。自らが商品・サービスを企画・製造するメーカーとして、主にECを通じて顧客に直接販売すること。その後、ポップアップショップなどを通じて接点を増やしていくことも多いです。自社工場を有していない場合も多々ありますので、広い意味ではODM(製造委託)もカバー範囲となります。
また、顧客との接点と体験(CX)やCRM(顧客関係管理)について、顧客データを最大限活用することがこのモデルの特徴であり強みです。ECサイトやSNSを通じて、自社のコンセプトに共感してくれる顧客に対し、コンタクトポイントを活用します。その理由は、企業から発信するだけでなく顧客と価値を共有することで、自社商品やサービスの改善に最大限活用するためです。このためには、今まで以上にすべてが顧客視点で改善・提供されることが必要です。
サブスクリプション=頒布会?
今回のお2人の商品サービスは共に、食べたり使ったりするときにしかベネフィットを実感できないものですから、より一層、顧客視点が重要になってきます。
サブスクリプションサービスで気を付けたいポイント
ポイント① 商品・サービス
顧客のニーズに応じて商品・サービスの内容を絶えずバージョンアップしていく必要がある。また、一定の範囲で取り換えやアレンジを可能とし、多様な商品・サービスを選択できることが求められる。
ポイント② 費用、課金方法
基本は月額一定金額での課金でも、1つのメニューでは顧客ニーズを満たせないので、松・竹・梅のようなコース設定もLTVの向上には重要。
木村部長の業界で、これに近いビジネスモデルが昔からあるのはご存知ですか?
それではビジネスモデルについて整理できたと思いますので、次回は事業計画と運用体制についてディスカッションを進めていきましょう。