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ここはD2C(Direct to Consumer)やサブスクリプションの事業を計画しているEC事業者のための相談室。今回のテーマは「事業計画」。菓子製造・卸を手がける企業の木村部長と、化粧品メーカーの石井社長が、ファシリテーターの尺田さんと、アドバイザーの吉村さんからレクチャーを受けているようです。

尺田 木村部長はこれからECの事業計画を初めて立てるわけですが、石井社長はすでに経験されていますよね。事業を立ち上げたときはどう事業計画を立てたのですか?

石井社長 新規立ち上げの時は、知人からアドバイスをもらってExcelで事業計画を立てました。でも後で気付いたのですが、私が作ったのは売上の数値計画であって、顧客を見た行動計画にはなっていませんでした。その後も次々と現れる課題への対応に謀殺され、本当の意味での事業計画は作成できていないんですよね。

木村部長 なんだか難しそうですね…。詳しく教えてください。

事業計画に必要なのはKGIとKPIだけじゃない

アドバイザー吉村事業計画には必要な「KGI」(重要目標達成指標)や「KPI」(重要目標評価指標)があるので、そこに寄せていくことになります。それ以外に、私は下記の項目も重要と考えます。

①ペルソナ

まずはじめに「顧客ペルソナ」。ペルソナについてはいろいろな意見がありますが、ペルソナを設定することは顧客に問いかけ、顧客の悩みと解決策を考えることです。さらに、自社のリソースを活かしてどう顧客とコミュニケーションするのか、マーケティングとCRMをデザインすることです。


②RFP(提案依頼書)

事業プランを設定することは購買モデルを設定することです。購買モデルをもとにシステムやツールの選定のための「RFP」(提案依頼書)を作成します。ECだから新規顧客と出会うコストがかからず、従来流通より利益が高く運用コストがかからない……という話は過去の話。長期的な事業モデルの構築や商品開発、コミュニケーションプランニングは必須です。

特にこれからは、経営側だけではなく各運用担当者が顧客データを確認でき、長期的にコミュニケーションを改善し、顧客に自社の商品・サービスのストーリーに共感してもらうことが重要になってきます。


③在庫とキャッシュフロー

事業計画で在庫とキャッシュフローの関連性を見出していないことが多々あります。実際に商品の供給体制ができていなければお届けするものがありませんし、広告に投じた額にあわせて顧客数が増えなければ在庫は減っていきません。

また、いわゆる「定期回数縛り」に顧客が警戒感を抱くようになった昨今、サブスクリプションビジネスで顧客数を維持するのは、今後ますます大変になっていくでしょう。

木村部長 「KGI」や「KPI」について、もう少し具体的に教えてもらえませんか?

アドバイザー吉村 はい。では木村部長は管理者としてどのような指標を管理してこられましたか?

木村部長 「トップライン=売上」と「ボトムライン=利益」です。そのために経費を予算化していました。経費の優先事項は効率化、つまりコストダウンで、原材料費では「良いもの、美味しいものを安く製造する」ということが優先事項です。売上は売れた数と、実際の販売単価ですので「売上 = 商品数 × 販売単価」ですね。

アドバイザー吉村 通常の事業計画ではそれがスタンダードですね。今回、御社が展開されるECビジネスでは、下記のような指標が必要になってきます。

KGI売上 = 顧客数 ×(購入価格(または利益)× 購入回数(回転率または頻度))

顧客の数はとても重要なKPIです。一般的に売上を100として、原価率が10%〜20%、フルフィルメントコストが20%~25%、利益率20%~10%をベンチマークとしてシミュレーションします。

CPAとLTVも忘れずに

石井社長 私が事業展開で気にしているのは、「CPA」(顧客獲得単価)と「LTV」(顧客生涯価値)です。2つとも、商品をローンチして顧客の反応が取れ始めた離陸フェーズから、マーケティング拡大時を経て、顧客数が伸び悩み、CVRの頭打ちに連動してCPAが高止まる……といった各事業フェーズで変動します。

LTVとCVRは上限があり、それに伴いCPAも決まってくるということが経験でわかってきました。その他には、下記のようなコストも考慮しておくと良いと思います。

  • 広告コスト……アフィリエイト広告や運用型広告展開で必要なKPIは、媒体/チャネルでコンタクトできる顧客の数=配信数
  • 離脱防止コスト……継続率を下げないための顧客とのコミュニケーションコスト
  • バックオフィスのコスト……決済費用=手数料+不良債権額と、トータルでの配送コスト=配送費+返品コスト+在庫コスト
  • 事業全体の運用管理コスト……組織体制や導入するシステムによって運用手順やコストが大きく変動するの注意が必要

木村部長 ちょっともう、何がなんだか……。

アドバイザー吉村 とりあえず、サブスクビジネスの収益シミュレーションのためのExcelファイルを用意したので、これに記入してみてください。まだ難しい項目もあると思いますが、今後のセッションで詳しく解説していきます。

“サブスクリプションモデル試算表”
「サブスクリプションモデル試算表」(作・未来館 吉村)
サブスクリプションサービスの収益シュミレーションを行うための試算表です(計算式は入っていません。試算表をベースに、自社に適したシュミレーションが行えるようにカスタマイズしてご使用ください)
編集部より:画像をクリックするとzipファイルをダウンロードできます。表についてのお問い合わせは、この連載のファシリテーター・未来館の吉村氏(yoshimura@miraikan.ne.jp)までお願いします。「希望者には無料で勉強会をします」とのことです

 

この連載の登場人物

●相談者

木村部長 菓子の製造、小売店舗への卸販売企業の新規開発部長。年商は約100億円。売上の伸び悩みからD2Cビジネスへの参入を検討中。

石井社長 女性向けスキンケアコスメの単品通販事業者。年商10億円。次の目標は30億円の壁の突破。

●アドバイザー

アドバイザー吉村「やずや式EC通販基幹CRM」「やずや式顧客診断分析システム(CPM/顧客育成ポートフォリオ)」の考え方を伝える伝道師。

●ファシリテーター

尺田 GMOシステムコンサルティングでオムニチャネル対応のEコマースシステムのエバンジェリストとして活躍している。

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尺田 怜

GMOシステムコンサルティング株式会社 マーケティング部

物流関係の事業会社でセールス&製品企画担当として、物品管理システム提案、構築支援を実施。成長マーケットであるEコマース市場でより一層事業者への提案領域を拡げたいとの思いから、GMOシステムコンサルティングへジョイン。現在、ECパッケージ『ecOrigins(イーシーオリジン)』のプロダクトマーケティング・プロモーションを担当。

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