D2C、サブスクリプションビジネスの事業計画。収益シミュレーションに必要な指標とは?
ここはD2C(Direct to Consumer)やサブスクリプションの事業を計画しているEC事業者のための相談室。今回のテーマは「事業計画」。菓子製造・卸を手がける企業の木村部長と、化粧品メーカーの石井社長が、ファシリテーターの尺田さんと、アドバイザーの吉村さんからレクチャーを受けているようです。
事業計画に必要なのはKGIとKPIだけじゃない
①ペルソナ
まずはじめに「顧客ペルソナ」。ペルソナについてはいろいろな意見がありますが、ペルソナを設定することは顧客に問いかけ、顧客の悩みと解決策を考えることです。さらに、自社のリソースを活かしてどう顧客とコミュニケーションするのか、マーケティングとCRMをデザインすることです。
②RFP(提案依頼書)
事業プランを設定することは購買モデルを設定することです。購買モデルをもとにシステムやツールの選定のための「RFP」(提案依頼書)を作成します。ECだから新規顧客と出会うコストがかからず、従来流通より利益が高く運用コストがかからない……という話は過去の話。長期的な事業モデルの構築や商品開発、コミュニケーションプランニングは必須です。
特にこれからは、経営側だけではなく各運用担当者が顧客データを確認でき、長期的にコミュニケーションを改善し、顧客に自社の商品・サービスのストーリーに共感してもらうことが重要になってきます。
③在庫とキャッシュフロー
事業計画で在庫とキャッシュフローの関連性を見出していないことが多々あります。実際に商品の供給体制ができていなければお届けするものがありませんし、広告に投じた額にあわせて顧客数が増えなければ在庫は減っていきません。
また、いわゆる「定期回数縛り」に顧客が警戒感を抱くようになった昨今、サブスクリプションビジネスで顧客数を維持するのは、今後ますます大変になっていくでしょう。
KGI売上 = 顧客数 ×(購入価格(または利益)× 購入回数(回転率または頻度))
顧客の数はとても重要なKPIです。一般的に売上を100として、原価率が10%〜20%、フルフィルメントコストが20%~25%、利益率20%~10%をベンチマークとしてシミュレーションします。
CPAとLTVも忘れずに
LTVとCVRは上限があり、それに伴いCPAも決まってくるということが経験でわかってきました。その他には、下記のようなコストも考慮しておくと良いと思います。
- 広告コスト……アフィリエイト広告や運用型広告展開で必要なKPIは、媒体/チャネルでコンタクトできる顧客の数=配信数
- 離脱防止コスト……継続率を下げないための顧客とのコミュニケーションコスト
- バックオフィスのコスト……決済費用=手数料+不良債権額と、トータルでの配送コスト=配送費+返品コスト+在庫コスト
- 事業全体の運用管理コスト……組織体制や導入するシステムによって運用手順やコストが大きく変動するの注意が必要