物流の「2024年問題」まであと1年。4月は再配達削減PR月間に、斉藤国交大臣は「物流業界にとって大きな課題」

2024年4月から、トラックドライバーの「働き方改革」の法律が適用され、現状のままの運び方が難しくなる(物流の「2024年問題」)。残り1年となるのを機に2024年4月を「再配達削減PR月間」とし、再配達削減に向けた取り組みを推進する
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トラックドライバーに対する時間外労働の上限規制が適用される2024年4月まで、残り1年となる。これは「2024年問題」と呼ばれており、ドライバーの離職や売上減、荷主企業は運賃値上げの可能性などが懸念されている。

たとえば、時間外労働時間の上限規制が適用されることで、長距離ドライバーは従来通りの運搬ができなくなる可能性も。1人のドライバーによる長距離の運搬が規制されることにより、運送会社はドライバー不足、賃金減少によるドライバーの離職といった問題に直面することになる。

こうした状況を受け、国土交通省の斉藤鉄夫大臣は3月14日の会見で、「2024年問題が物流に与える影響が懸念されていることから、取引環境の適正化などを通じた担い手の確保、生産性向上が喫緊の課題になっている」と危機感をあらわ。

実効性のある対策の1つとして国土交通省と経済産業省は、2023年4月を「再配達削減PR月間」と位置づけ、宅配事業者、EC事業者、通販事業者と連携し、再配達削減に向けた広報活動を実施する。

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「再配達削減PR月間」の期間中には宅配事業者などと連携し、消費者の再配達減に向けた協力を呼びかける。国土交通省のホームページでは、民間事業者の取り組み一覧を掲載。取り組み内容をわかりやすく提示する。

宅配ボックス、置き配の活用ほか、街中にある宅配ロッカーやコンビニ受け取りの活用などとも連動。「再配達削減PR月間」を通じて、再配達の削減に向けた機運の高まりにつなげる。会見で斉藤大臣は、次のように関係者へ呼びかけた。

2024年問題、これは特に物流業界にとって大きな課題。これをどう解決していくか。我々も荷主団体などにいろいろな効率化に向けてのお願いをしているところだが、その荷物を受け取る消費者、国民の皆さまにもお願いしたい。

宅配便を利用するときのアクション

国土交通省は、貨物自動車運送事業法に基づく働きかけ制度、標準的な運賃の周知浸透に取り組んでいる。多重下請け構造の是正については、業界、全日本トラック協会でも原則2次までに制限するといった自主行動計画を策定するなど、業界においても取り組みが進められている。

今後は運賃や運送について違反事例を示したガイドラインを策定したり、元請け運送事業者をメンバーとする適正取り引きの会議を推するなど、荷主や元請け事業者に対して、適正な運賃収受に向けた理解と協力を呼びかける。

こうした取り組み加え、農林水産省、経済産業省と共同で開催している検討会においても、多重下請け構造に関する実態を調査した上で、適正な運賃収受の実現に向けた必要な措置を検討しており、関係省庁や業界団体と連携の上、トラック運送業における適正な取り引きの推進のために取り組みを進めていく。

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