バロックジャパンのEC強化策――マーケットプレイス化やプラットフォーム化戦略とは?

自社通販サイトのマーケットプレイス化やプラットフォーム化、ブランド別通販サイトの新設などに乗り出す予定
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「マウジー」や「スライ」などレディース衣料を中心に展開するバロックジャパンリミテッドは、今期(2018年1月期)を初年度とする4カ年経営計画でEC事業に本腰を入れる。今後4年間は近年のEC事業の伸びを上回る年率20%程度の成長を掲げ、17年1月期のEC売上高74億4500万円に対し、21年1月期はほぼ倍となる160億円規模を計画する。

4カ年ではEC事業の核となるエンジン刷新をベースに成長戦略を描いており、自社通販サイトのマーケットプレイス化やプラットフォーム化ブランド別通販サイトやアウトレットサイトの新設EC専用ブランドの強化などに乗り出す。

加えて、ECと実店舗の連携を強化。すでに在庫の一元化を完了したほか、顧客情報の統合も今期中に実施する。在庫の一元化については物理的なロケーションもひとつにし、在庫の移動と引き当てに手間とコストがかからなくなったことで、ECも潤沢に在庫を補充できるようになった。

マーケットプレイス化については、今夏以降をメドに自社通販サイト「シェルターウェブストア」で他社商材の販売を始める。単純に取り扱い商品を増やすのではなく、既存会員と相性が良く、お薦めしたい商品を販売することで、自社ECのブランディングを崩さないようにする。コスメなどを候補に始動し、順次、商材を増やす。

同社の通販部はスタジオを持つため、ビジュアルにもこだわって他社アイテムを提案する。最近では、運営するウェブマガジン「シェルマグ」でハウツー動画を制作しており、動画コンテンツのPVが高いことから、「シェルターウェブストア」で扱う他社商材についてもウェブマガジンと連携するケースが出てきそうだ。

一方、プラットフォーム化については、新ECエンジンを使って外部企業の通販サイトを開設し、「シェルターウェブストア」と同じIDで買い物ができるようにしたり、撮影機能や自社のインフルエンサーを提供することなども検討。これまでに蓄積したノウハウをECの次の成長ステージにも活用する。

他社商材の販売を始める予定の「シェルターウェブストア」

また、「シェルターウェブストア」は自社ブランドを幅広く扱うモール型だが、システム刷新と並行してブランド単位のEC展開も始める。実店舗とECの併用客はブランドについているファンが多いため、各ブランドの世界観を前面に出す売り場で購入してもらうことで満足度を高める。新規客には「シェルターウェブストア」に来店してもらい、複数ブランドの買い回りや他社商材も購入できるようにする。

年内に「マウジー」や「スライ」「ロデオクラウンズ」など主力ブランドそれぞれの通販サイトを開設。海外志向の強いブランドは、ブランド別ECで越境対応も行う

また、プロパー(定価)品を扱う「シェルターウェブストア」とは別に各ブランドのアウトレット品を集めた専用ECも始め、お得に服を購入したいニーズにも応える。

Web専用のブランド強化

EC専用ブランドの取り組みも強化する。3月には同社が企画した商品を伊藤忠商事が生産し、スタートトゥデイの「ゾゾタウン」で販売するEC専用ブランド「アズールエンカント」を始動し、バロックジャパンにとってはリスクを抑えながらテストマーケティングにもつなげている。

同社では社内の人材発掘を目的に、15年に開催した「スター発掘コンテスト」のグランプリ受賞者が「リムアーク」というファッションブランドをEC専用で立ち上げ、規模感は小さいもののマーケティングで数量を読んで完売させる事業モデルが成功し、今期から店頭販売を始める。

同社によると、「EC専用ブランドであれば5億円程度の売り上げでも費用回収できるため、若いデザイナーを登用してタイムリーに新しいブランドを展開できる」(山﨑浩史専務)とし、販売手法も予約が一定数に達した場合のみ生産するといったリスクの少ない事業モデルも可能という。

また、同社顧客の平均年齢は20代後半で、10代はほとんどいないが、手ごろな価格で提供するEC専用ブランドを開発できれば若年層との接点が増えることから、デザイナーの育成面だけでなく、次世代顧客を囲い込む手法としてもEC専用ブランドに期待しているようだ。

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