ネット通販のスマホ活用&Webサイトの訪問回数は増加、一方で滞在時間は減少傾向【アドビ調査】

アドビが初となる日本市場のデジタル経済動向分析結果を発表。2021年1~3月における日本の消費動向などを分析、調査した
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アドビは5月25日に発表した日本市場の2021年1~3月における日本の動向デジタル経済動向分析結果によると、日本の消費者は店舗での消費を避ける傾向にある一方で、消費行動はオンライン化が進行、スマートフォンの利用が増えWebサイトの滞在時間が短くなっていることが判明した。

オンライン消費額は15%増

日本の2021年1-3月期におけるオンライン消費額は前年同期比15%増で、50億ドル超(約5400億円)の消費額の増加となった。同期間に記録された米国の39%増、イギリスの66%増と比較すると、緩やかな増加という。

2021年1-3月期におけるオンライン消費額

国内の消費者1000人以上を対象に実施したアドビの調査からは、日本の消費者のうち67%がパンデミックに入る2020年3月以前から定期的もしくは頻繁にオンラインで商品を購入。オンラインで買い物をしたことがなかった残りの回答者のうち80%が、2021年にオンラインで買い物をしたと答えている。

スマホの利用&Webサイトの訪問回数が増加、滞在時間は減少傾向

ECサイトへの訪問は前年同期比で19%増、オンラインでの注文額は同15%増。一方、ECサイトへの訪問から注文への転換率(コンバージョン)は同16%低下したという。

訪問あたりのページ数と滞在時間(分)

アドビによると、過去3年間で日本の消費者がWebサイトに滞在する時間は短くなっており、1回の訪問で閲覧するページ数も減少傾向にある。こうした状況を踏まえ、アドビは次のように対策を提案する。

企業は消費者の求める商品を優先的に表示させたり、購入プロセスを簡素化したりするなど、限られた応対機会のなかで購入に結び付けられるような措置を講じる必要があると言える。

日本の2021年1-3月期における売上高の61%はスマートフォン経由での購入。イギリス、オーストラリア、フランス、米国を含む他国の結果と比べると、日本が最も高いという。

年代別にスマホの利用傾向を分析すると、ミレニアル世代で65%、X世代(Gen X)で48%と、若年層が高い傾向にある。

スマホによるコマース売上高の割合

店舗での消費は控える傾向に

米国、イギリス、日本のうち、日本の消費者は2020年と比較すると店舗への訪問を避ける傾向が強くなっており、実店舗への訪問について「快適でなくなった」と回答した割合は3か国中で最も高い35%を記録した(米国23%、イギリス26%)。

実店舗への訪問について感じること(2020年と比較)

家電製品の価格が高止まり、アパレルの価格は急降下

日本では家電製品の価格が継続的に上昇。自宅で過ごす時間が増えた影響で、家電製品全体の需要が伸びている。

家電製品の価格動向

2度目の緊急事態宣言が発出された2021年1月~3月で再び価格が大幅に下落。外出自粛による需要の減少がアパレルの価格低下につながっている。日本の消費者が過去4週間にオンラインで購入した商品を見てみると、食料品(43%)、健康・美容用品(29%)、衣類(28%)、家電製品(20%)。この4つのカテゴリーがオンライン売上高を牽引しているという。

アパレル製品の価格動向
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また、新型コロナウィルス感染症が収束した後の消費行動について聞いたところ、半数以上(52%)がパンデミック以前の状況に戻ったとしても、オンラインと店舗での消費行動は変わらないと回答している。このことを踏まえ、アドビは次のようにコメントしている。

企業は店舗からオンラインに移行している顧客、またその両方を併用する顧客のニーズを迅速に理解し、最適な顧客体験をリアルタイム提供していくことが求められる。

分析・調査方法

アドビの分析アプリケーション「Adobe Analytics」によって計測されるECなどのデジタル取引状況を活用したデジタル経済指標「Adobe Digital Economy Index(DEI)」を基に分析。DEIの測定に合わせて行った補完調査は、米国、英国、日本の3か国でそれぞれ18歳以上の消費者1000人を対象に2021年2月26日~2021年3月2日、2021年3月24日~2021年3月29日に実施した。

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