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2021年のプライムデー期間中、すべての小売事業者のEC売上高は前年比で小幅に増加し、大企業やオムニチャネルを提供している企業は、競合他社よりも好調に推移しました。

プライムデーの動向に注目している小売事業者達は、インターネットのトラフィックが増えるこの時期に合わせて、セールを仕掛けています。プライムデーは終了しましたが、毎年の恒例行事となっているこのイベントから学べることがたくさんあるのです。

『Digital Commerce 360』の推計によると、「北米EC事業トップ1000社データベース 2021年版」で第1位にランクインするAmazonのプライムデー期間中の48時間で、世界中の消費者は111億9000万ドルを消費しました。前年同期の103億9000万ドルから7.6%増加していますが、成長率については過去のプライムデーよりも減速しています。

プライムデーの流通総額の推移(2015~2021年、画像は『Digital Commerce 360』の推計を元に作成)
プライムデーの流通総額の推移(2015~2021年、画像は『Digital  Commerce  360』の推計を元に作成)

Amazonの流通額以外にも、プライムデーを通して多くのインサイトを見つけることができます。オンライン消費と購買行動を追跡するECテクノロジー企業数社が発表したプライムデーのデータをまとめました。

プライムデー開催中、他のEC事業者は緩やかな売上の伸びを記録

「Adobe Digital Economy Index」(アドビの分析アプリケーション「Adobe Analytics」によって計測されるECなどのデジタル取引状況を活用したデジタル経済指標)によると、2日間にわたるプライムデーのセール期間中、米国における全体のオンライン消費額は110億ドルを超え、2020年の104億ドルから6.1%増加しました。

「Adobe Analytics」の分析は、4500以上のECサイトへの1兆回以上の訪問データに基づいており、「北米EC事業 トップ1000社データベース 2021年版」の上位100社のうち80社も対象。また、18の商品カテゴリーにおける1億個以上のSKUを分析しています。

プライムデー期間中の全米オンライン売上(2020年の2021年のオンライン売上
プライムデー期間中の全米オンライン売上(2020年の2021年のオンライン売上。画像は「Adobe Digital Economy Index」の2021年6月21日・22日と2020年10月13日・14日を比較したデータから編集部が作成)

Adobeによると、2021年のプライムデーの初日である6月21日の米国オンライン売上高は56億ドルに達し、コロナ禍の影響で延期された2021年のプライムデーがスタートした2020年10月13日に比べて8.7%増加しました。しかし、2日目の6月22日には伸び悩み、売上高は前年比3.6%増の54億ドル強にとどまり、全体の足を引っ張る結果となりました。

2021年のプライムデー期間中における米国ECサイトの成長率
2021年のプライムデー期間中における米国ECサイトの成長率(前年対比の成長率。画像は「Adobe Digital Economy Index」の2021年6月21日・22日と2020年10月13日・14日を比較したデータから編集部が作成)

6月21日と22日は、2021年のEC業界において最大の日となり、それぞれの日で2020年の感謝祭の売上額51億ドルを超えました。また、「Cyber5」と呼ばれ、セールが集中した2020年の11月の5日間の週末を上回る収益をあげたそうです。

Salesforceのデータも、2021年のプライムデーは2020年より穏やであったことを示唆しています。Amazon以外の小売企業は、プライムデーのトラフィックと消費者の注目度の高さを利用してセールを行いましたが、2020年10月中旬のプライムデーと比較して、世界全体および米国内のオンライン売上は1%減と横ばいでした。

Salesforceは「Commerce Cloud」のプラットフォームに登録されている10億人以上のグローバルな消費者を含む顧客データを集約し、調査結果をより広い小売業界に当てはめて分析しています。

プライムデーで勝利を収めたのは大企業とオムニチャネル推進企業

Adobeのデータによると、大企業(年間オンライン売上高が10億ドル以上の企業)は、Amazon主催の48時間セール期間中、割引を求めてネットに集まる消費者を取り込み、6月の平均的な日に比べて29%もECの売り上げを伸ばしました

小規模な小売事業者(年間オンライン売上が1000万ドル未満の業者)と比較すると、小規模事業者のプライムデー期間中のオンライン売上は夏の平均的な日に比べて21%増となりました。「Adobe  Digital  insights」のディレクターであるテイラー・シュライナー氏は、次のように言います。

プライムデーのハロー効果(編注:目立って優れたもしくは劣った特徴があると、対象全体も目立って優れて見える、もしくは劣って見える、と考えてしまう心理状況)が大きな役割を果たし、企業規模に関係なく、多くの企業が収益を大きく向上させた

また、オムニチャネルサービスへの需要が高まる中、実店舗を持つ小売事業者はプライムデーで優位に立ちました。Adobeによると、オンラインで注文して店舗で受け取る(BOPIS)プログラムを提供している店舗では、6月の平均的な日と比較してコンバージョン率が10%上昇BOPISを提供していない小売店ではコンバージョン率は3%増にとどまりました

企業規模別・プライムデー期間中の売上成長率(6月の1日の売上平均と比較した時の成長率)
企業規模別・プライムデー期間中の売上成長率(6月の1日の売上平均と比較した時の成長率。画像は「Adobe Digital Economy Index」の2021年6月21日・22日と2020年10月13日・14日を比較したデータから編集部が作成)
プライムデー期間中、オムニチャネルの取り組みの有無で変わるコンバージョン率
プライムデー期間中、オムニチャネルの取り組みの有無で変わるコンバージョン率(画像は「Adobe Digital Economy Index」の2021年6月21日・22日と2020年10月13日・14日を比較したデータから編集部が作成)

割引率が下がり、平均注文額が増加

2020年から2021年にかけて、インフレ、在庫問題、物流の課題がEC業界に影響を与えていますが、これらの問題がプライムデーにも影響を与えました。Salesforceの消費者戦略・インサイト担当シニアマネージャーであるカイラ・シュワルツ氏はこう言います。

製造の遅れと原材料の不足により、小売事業者が在庫を確保することが困難になっています。需要を抑えて利益率を上げるために、消費者は価格の上昇と割引率の低下を余儀なくされています

Salesforceによると、平均値下げ幅が15%~18%だった2020年と比較して、Amazon以外の小売事業者の平均値下げ率は13%減少だったことから、2021年は商品の割引率が低くなりました平均注文金額は前年比で7%増加しましたが、注文数は2020年の同じ販売期間に比べて8%減少しました。

一方、1注文あたりの商品数は横ばいの状態。「割引が鈍化しているにもかかわらず、小売事業者は現在の市場環境を生き抜くために、価格を引き上げていることを示唆しています」とシュワルツ氏は付け加えています。

Amazon以外のECサイトにおけるプライムデー期間中の割引率の低下について(画像は「Salesforce」の2021年6月現在のデータから編集部が作成)
Amazon以外のECサイトにおけるプライムデー期間中の割引率の低下について(画像は「Salesforce」の2021年6月現在のデータから編集部が作成)

Amazonでの注文額はわずかに減少

Amazonでの購買パターンを分析しているNumerator社のデータによると、プライムデー期間中の消費額は、過去2年間で少しずつ減少しています。2021年の平均注文額は52.33ドルで、2020年の54.34ドル、2019年の58.77ドルから減少傾向が続いています。

2021年のプライムデー期間中におけるAmazonでの購入について(画像は「Numerator」の2021年6月現在のデータから編集部が作成)
2021年のプライムデー期間中におけるAmazonでの購入について(画像は「Numerator」の2021年6月現在のデータから編集部が作成)

Numerator社によると、2021年のプライムデー期間中、世帯平均で2.8回の注文を行っており、これは2019年の2.9回と同等の水準。約4分の1の世帯がプライムデー期間中に4回以上注文しましたが、内訳は5回以上が16%、4回の注文が8%でした。1回の注文あたりの平均商品数は、過去3回のプライムデーに共通して、1.7個と安定しています。プライムデーでは、消費者の半数以上が30ドル未満、4分の1が50ドル以上の買い物をしました。

2021年のプライムデー期間中の平均注文金額の割合
2021年のプライムデー期間中の平均注文金額の割合(画像は「Numerator」の2021年6月現在データから編集部がキャプチャ)
プライムデー期間中の世帯注文回数(画像は「Numerator」の2021年6月現在データから編集部がキャプチャ)
プライムデー期間中の世帯注文回数(画像は「Numerator」の2021年6月現在データから編集部がキャプチャ)

Numeratorのデータは、1万2956世帯を対象とした3万806件のプライムデー期間中の注文と、3132人の購入者を対象としたアンケートに基づいています。

市場シェアを拡大したAmazon

デジタルコマースのインテリジェンスプロバイダーであるEdison Trendsのデータによると、プライムデーにおける流通額の成長で、Amazonは他の大手小売企業から市場シェアを奪うことができました

Walmart Inc.(第2位)、Best Buy(第5位)、Target(第6位)、Kohl's(第18位)の4社は、同時期にセールを実施してAmazonに対抗。これらの大手オンライン小売企業5社の中でAmazonは、プライムデー期間中の売上高に占めるシェアを、2020年の84.8%から2021年は87.5%に拡大しました

競合他社からプライムデー期間中のマーケットシェアを奪ったAmazon。プライム期間中の、大手企業オンライン売上のシェア
競合他社からプライムデー期間中のマーケットシェアを奪ったAmazon。プライム期間中の大手企業オンライン売上のシェア。2020年比で、Amazonは2.7ポイント増、Walmart Inc.は0.1ポイント減、Best Buyは2ポイント減、Targetは横ばい、Kohl'sは0.4ポイント減(画像はEdison Trendsの2021年6月時点のデータから編集部が作成)

Edison Trendsによると、調査対象となった競合4社は、いずれもプライムデー期間中の市場シェアをAmazonに奪われました。Best Buyは2020年の5.8%から2%ポイント減の3.8%となり、最大の落ち込みとなりました。Targetは2.8%で、わずか0.1ポイントの減少にとどまり、Walmartは0.2ポイント減の5.4%でした。

Edison Trendsのデータは、米国の消費者が電子メールを通じてアクセスした40万件以上のオンライン通販の電子レシートに基づいています。

Amazonプライムデー2021のその他のインサイト

商品カテゴリー

Salesforceのデータによると、Amazon以外の小売店で2日間の期間中に最も急成長した商品カテゴリーはハンドバッグとカバンで、カテゴリー別の支出額はプライムデー2020年に比べて74%も急増しました。また、家具のECサイトは、消費者の総支出に占める割合が前年比で67%増加しました。Amazon内では、ロボット掃除機「iRobot Roomba 692」などのエレクトロニクス商品、セール期間中に最も人気のあった音声リモコン「Alexa」付きの「Fire TV Stick 4K」などのAmazonデバイス、工具、歯のホワイトニング器具などの美容製品、栄養食品、ベビーケア、バックパック、ラップトップコンピューター、ヘッドフォン、ノート、電卓、クレヨラの画材商品など、学校の新学期に向けた商品が世界的に最も売れたカテゴリーでした。Numeratorによると、Amazonプライムデーで買い物をした人のうち、28.0%が健康・美容関連商品を購入し、27.5%が家電商品を注文したそうです。

チャネル別のパフォーマンス

Adobeによると、プライムデー期間中、Amazonと他の小売事業者がEメールキャンペーンによって得た収益は161%増加し、アフィリエイト経由の支出は163%増加しました。また、検索連動型広告による売上は前年同期比132%増、SNS経由の売上は106%増となりました。

最高のディスカウント

今年のプライムデーは割引率が低かったため、年末商戦ではすべてのカテゴリーで安く商品を手に入れることができる、とAdobeは予測しています。

プライムデーの開催時期

2020年と2021年のプライムデーで買い物をした、Numeratorの調査回答者の38%が、昨年の10月よりも6月の開催が良いと回答しました。また、3分の1以上の36%は強い希望を持たず、残りの26%は10月の開催を支持していました。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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