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コロナ禍で小売事業者は返品問題に向き合いましたが、返品率は今後も同じレベルで推移することが予想されます。ほとんどの消費者は、コロナ禍後もほぼ同様に商品を返品するつもりであることが、調査の結果わかりました。

コロナ禍で増えた返品、今後も同程度で推移する

コロナ禍の影響で、返品に関する消費者行動に大きな変化があると予想されました。しかし、Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが1029人のオンライン通販利用者を対象に実施した調査(2021年5月に実施)は、予想を裏切る結果になったのです。

消費者は多くの商品をオンラインで注文していますが、以前より戦略的に買い物をしており、それが返品の抑制につながっているようです。

全米小売業協会(National Retail Federation)によると、2020年のオンラインショッピングの返品は、2019年の2倍以上になりました。米国の小売総売上高のうち、ECが占める割合は5650億ドル(14%)ですが、オンラインで購入された商品のうち約1020億ドルが返品されました

調査対象となったオンライン通販利用者の72%は、購入した商品を返品する割合は5%以下でしたが、eコマース全体を見てみると、明らかに慢性的に返品をする消費者が存在しているのです。

オンラインで購入した商品返品(出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが行った調査)
オンラインで購入した商品の返品(出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが行った調査)

コロナ禍で小売事業者は返品問題に向き合いましたが、返品率は今後も同じレベルで推移することが予想されます。ほとんどの消費者(63%)が、コロナ禍後もほぼ同数の商品を返品すると回答。一方で、17%は返品数が減ると答え、2%は増えると考えています。

コロナ禍後に懸念される店頭での大幅な返品の増加は起こらないでしょう。実店舗への返品を増やすと答えた人(8%)は、返品を減らすと答えた人(7%)と同程度。また、消費者は返品回数を減らす意向を持っており(5%)、返品回数を増やす意向はわずか2%でした。

コロナ禍後の返品行動の変化について(出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが行った調査)
コロナ禍後の返品行動の変化について(出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが行った調査)

返品率を抑制するための8つのヒント

返品率を増やさないための8つのヒントを共有します。

1. 注意深く、返品ルールを見直す

多くの消費者にとって、返品ルールは重要なポイントです。公平でわかりやすいルール整備することで、返品率を低く抑えることができます

オンライン通販利用者の43%が、返品に関してチェックする項目の第4位に返品ルールの内容をあげており、返品までの期間や制限などを気にしています

私自身は限られた小売事業者から購入することが多いのですが、そのなかには顧客中心の返品ルールを用意しているサイトがあり、それが気に入ってよく利用しています。

他の事業者についても、カスタマーサービスを利用し、顧客がルールを曲げようとしたときにどのような対応をするのかを確認します。そうすることで、その企業を真に理解できることが多いですが、百貨店チェーンのNordstromの事例は特に顕著です。

柔軟な姿勢は重要なポイントですが、Nordstromのように車内からの返品を受け付ける小売店は前例がなく、高い利便性を実現しています。また、消費者は商品を注文してもしなくても、オンラインですぐに返品ルールを確認でき、シームレスな買い物が可能です。

ただ、消費者のストレスを軽減する上で、返品ルールにはまだ課題があります。オンライン通販利用者の23%は、返品に関するルールは制限が多すぎると回答しています。重要なのは、ルールを見つけやすく、理解しやすい内容にすることです。回答者の18%が小売店の返品ルールを見つけることができず、ほぼ同数(16%)が返品ルールを理解するのが難しいと考えています。

2. 返品率を低く保つために、画像を活用する

消費者は多くの情報を求めますが、まずイメージが大切です。高価な商品の場合、さまざまな角度から撮った高品質な画像を掲載することで、コンバージョンを促進するだけでなく、消費者に購入商品への理解を深めてもらい、返品を回避することができます。台所用品や家具を販売するWilliams Sonomaでは、消費者ニーズに応えるために、使用場所と商品ディティールの両方の画像を撮影して掲載しています。

3. 消費者にとって価値の高いサイズガイドやサイズ関連ツール

消費者が探しているサイズには、洗練されたサイズガイドを導入すると再注文につがります。『Digital Commerce 360』が2021年に実施したアパレルの調査では、89%がサイズガイドを確認していると回答。サイズガイドは、アパレル、アクセサリー、靴のショッピングに不可欠な要素です。

Amazon傘下のZapposでは、大きなイメージ画像に加え、サイズ、幅、高さなどすべての項目に対して情報を提供。また、どの靴がフィットするかを消費者が確認できるツールを搭載し、アルゴリズムによって最適な靴をレコメンドしています。

4. 可能な限り、送料を無料にする

返品料金に関して、小売事業者は熟考を余儀なくされます。オンライン通販利用者が何を求めているかは明確で、まずは返品の送料無料です。調査によると、オンライン通販利用者の74%が、注文時に返品の送料無料を確認しています。実際、『Digital Commerce 360』発行の「北米EC事業 トップ1000社データベーストップ1000」によると、28%の小売業者が送料無料で返品できるようにしており、その影響力の大きさを表しています。

オンライン注文の返品について考慮する点(出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが行った調査)
オンライン注文の返品について考慮する点(出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが行った調査)

5. 利便性が高いかどうか確認する

利便性という言葉は不思議なもので、個人によっては捉え方が異なります。

『Digital Commerce 360』の「北米EC事業 トップ1000社データベーストップ1000」にランクインしている小売企業の46%が提供するオンライン上の返品処理は、消費者が返品する際の時間節約へと確実につなげています。Amazonでは、実質的に数分で返品が完了します。

他の小売事業者にとってもAmazonが基準となり、基準を満たさないと将来的に不利になる可能性があります。返品処理にかかる時間も考慮すべきですが、Amazonの返品完了時間を重視しているオンライン通販利用者は17%に留まっています。一方、返送ラベルや明確な情報提供など、消費者の時間を節約するための小売事業者の努力は、常に高く評価されています。

Amazon以外では、実店舗での返品を希望する消費者もいますオンラインでの返品では返金までに待ち時間が発生することがありますが、すぐに返金を確認したいというニーズがあるのです。コロナ禍で店舗での返品という選択肢がなくなったとき、私はオンラインで注文する際により慎重になりましたが、それが現在の購入方法に影響しているのかもしれません。

返品に関する利便性について消費者が気にしているのは、以下のようなポイントでした。

インターネットで購入した商品を返品する際の不満点(出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが行った調査)
インターネットで購入した商品を返品する際の不満点(出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが行った調査)

6. 返品コストが適切かどうか確認する

オンライン通販利用者の46%が返品にかかる費用を確認していることから、返品コストも考慮する必要があります。小さくて軽い商品はほとんどの場合、コストも安く抑えられますが、大きくて重い商品は、消費者が負担する費用がかさむ可能性があるため、消費者も慎重になります。

消費者は、商品を返品する際の手数料や返品のタイミングに最も不満を感じているようです。

  • 返品のための送料負担:63%
  • 返品手数料の支払い:53%
  • 返品のための高い手数料:44%
  • 返金に1週間以上かかる:28%

7. 返品の際には、カスタマーサービスのケアが重要

適切なトレーニングを受けたカスタマーサービスサポートを、返品ルールとともに準備しなければいけません。回答者の29%がカスタマーサービスの担当者となかなか連絡が取れず、21%が返品状況の連絡がなくてがっかりしたと回答しています。

8. 進化する返品方法に対応する

利便性を求める消費者のために、発送、受け取り、返品における複数のタッチポイントを精査する必要があります。定着したオムニチャネルは、店舗型の小売事業者にも導入されるべきでしょう。返品の観点から見ると、調査回答者の25%が実店舗で返品しているのです。

グロサリー・ストアチェーンのWhole Foodsが発行する最新のメルマガには、食料品の買い物の際、Amazonで購入した商品をWhole Foodsで返品できるという利便性が語られていました。

過去6か月間のオンラインショッピングで以下の配送や返品を行ったかどうか(出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが行った調査)
過去6か月間のオンラインショッピングで以下の配送や返品を行ったかどうか(出典:『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが行った調査)

小売チェーンKohl'sのような店舗は、Amazon Returns(Amazon購入商品の返品受付サービス)を提供することが、店舗へのトラフィックの促進と、顧客の利便性の向上につながると考えていました。

店舗でこのサービスを推奨することが、ポジティブな結果に結びついていることが調査結果からわかります。ロッカー受け取りや返品回収サービスも、消費者がそれぞれの状況に応じた利便性を求める中で、普及していくものと思われます。

Kohl's内に店舗を構えたAmazon
Kohl's内に店舗を構えたAmazon(画像の出典はKohl'sのHPから
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返品はこれからもずっと続きます。その数をいかに減らすかが重要です。消費者がオンラインで購入する際に検討する要素を認識することで、小売事業者は、彼らが重視するルールや利便性を返品プロセスの一部として導入することができます。返品は顧客サービスの1つと考えられていますが、上手に取り組めば、優れたリテンション戦略にもなるのです。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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