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国境を越えて商品を販売する際、顧客データの管理などセキュリティを万全に整え、消費者が望む支払い方法、配送方法、返品方法を提供してください。間違っても、顧客を犯罪者と勘違いしてはいけません。

越境ECは長期的に成長する機会

2020年、越境ECは大きな飛躍を遂げました。世界中の消費者の32%が越境ECサイトで例年よりも多く商品を購入し、51%が将来的に海外の販売者からより多くの買い物をする予定であると答えています。

International Post Corporation(IPC。ヨーロッパ、アジア太平洋地域、北米といった主要国の郵便サービスの協同組合)が2020年に行った調査で明らかになったこれらのデータは、越境ECチャネルが事業者にとって長期的に成長する機会であることを示しています

国境を越えた商品販売を開始するため、あるいは既存の越境ECを拡大するためには、世界中の消費者が期待するカスタマーエクスペリエンス(CX)を提供する必要があります。その戦略を解説します。

越境ECや海外向けEC、海外進出に役立つ、世界30の国・地域のECデータをまとめた『海外ECハンドブック2020』(著:トランスコスモス)
2019年のグローバルB2C-EC市場について(画像は『海外ECハンドブック2020』から)

世界の消費者が期待するCXを提供する方法

販売したい市場の消費者の嗜好を調べる

米国の消費者は、カスタマーエクスペリエンスに対して高い期待を抱いています。2020年のある調査では、96%の消費者が「質の悪いサービスを提供したブランドからは二度と買わない」と答えており、素晴らしいカスタマーエクスペリエンスを求める気持ちの高さを表しています

しかし、消費者が何を期待し、何を許容しないかについては、市場によっていくつかの違いがあります。

顧客基盤を拡大するためには、それぞれの市場を調査し、顧客が求める体験を提供することが不可欠です。また、顧客の期待値が自国に最も近い市場を探すことで、国境を越えたECへの挑戦が容易になり、さらに持続させることができます

たとえば、ClearSale社がSapio Research社に依頼し、米国、メキシコ、カナダ、英国、オーストラリアの消費者を対象とした調査では、米国とメキシコのオンラインショッピングには多くの共通点があることがわかりました。また、米国の消費者は、メキシコの消費者よりも高い割合でECを利用していることがわかったのです。

米国とメキシコの消費者は、詐欺対策が施されているECサイトで買い物をしたいという点で一致しており、信頼できるWebサイトを運営する小売店でより多くの買い物をしたいと考えています。また、チェックアウトが面倒な場合、カートを放棄(カゴ落ち)する可能性が高い国民でもあります。

このような共通点から、メキシコは、米国の小売企業にとって、最初の越境市場として適していると言えます。

ただし、カスタマージャーニーのすべての面で最高の基準を満たしているわけではない米国企業が、それぞれの国の小売事業者と競争するためには、いくつかの点でサービスを向上させる必要があることを認識してください。

たとえば、Sapio社の調査では店舗側が誤って注文を断った場合、「今後その店を使わない」と答えた米国人は33%で、他国と比べて最も低い割合となっています。オーストラリア、カナダ、イギリスでは、38%が「注文を断られたら二度と戻らない」と回答しています。

また、メキシコの消費者は店舗側が誤って注文を断った場合、別のECサイトで買い物する可能性が最も高いことがわかりました。メキシコ人の51%は、「注文を断られた店では二度と買い物をしない」と答えているのです。

また、送料や返品のしやすさなど、国境を越えた消費者の期待に応えることも重要です。市場によって異なりますが、IPCのグローバル調査によると、一般的には越境EC消費者の61%が直近の海外での購入商品を送料無料で受け取っており、84%が越境ECで購入した商品の返品プロセスに満足しています。

興味深いことに、68%が環境への影響を軽減するために、「配送時間が長くなっても構わない」と答えています

市場ごとに信頼できる決済手段を提供

セキュリティ関連のSapio社が手がけた調査では、5つの国すべてで44%の消費者が「チェックアウトが複雑すぎる」「時間がかかりすぎる」という理由でオンラインでの商品購入を断念したと回答しています。

シンプルなチェックアウトプロセスを提供することは、良好なカスタマーエクスペリエンスを提供するポイントの1つです。市場ごとに異なる複雑な支払い方法、通貨換算手数料、輸入関税などは、国境を越えて商品を購入する際の大きなストレスとなります。どのようにしてチェックアウトのプロセスを合理化すればよいのでしょうか?

  • クレジットカード番号を入力しなくても購入できる、デジタルウォレットによる支払い方法を提供する。これにより、消費者の時間を節約し、サイトにカード情報を入力することなく購入することができます
  • BNPL(後払い決済)の提供も検討しましょう。BNPLは、オーストラリアや米国などの市場で人気が高まっており、消費者がクレジットカードのデータを共有する必要がありません。
  • チェックアウトのプロセスでは、通貨換算レートや関税について透明性を確保し、わかりやすく簡潔に説明しましょう。米国では、配送料、税金、その他の費用が、消費者がチェックアウトの途中でカゴ落ちする最も一般的な理由となっています。
越境ECや海外向けEC、海外進出に役立つ、世界30の国・地域のECデータをまとめた『海外ECハンドブック2020』(著:トランスコスモス)
地域別のEC市場規模(画像は『海外ECハンドブック2020』から)

国境を越えた顧客を正しく認証し、誤った拒否を防ぐ

国境を越えて商品を販売する事業者にとって、カスタマーエクスペリエンスが成功するか失敗するかの分かれ目がチェックアウトです。顧客データを保護するための対策を講じていること、支払い、配送、返品のオプションを提供していることを伝えましょう。そして、安心感の提供に加えて、顧客を詐欺師と間違えないようにする必要があります

誤って顧客を拒否してしまうのは、せっかく築いた消費者との関係性を壊してしまう、カスタマーエクスペリエンス最大の失敗です

メキシコの消費者の半分以上は、間違って拒否された場合、2度とそのオンラインショップに戻ってこないこと、他の国でも3分の1以上の消費者は2度とそのお店を利用しないことを覚えておいてください。

カゴ落ちにつながらないよう、短時間で消費者の身元を確認できるようにしましょう。そのために、小売企業は、顧客の位置情報、デバイス、オンラインショッピングの履歴、自社サイトでの行動などをチェックするAI型の不正審査ツールを利用したいです。

たとえば、配送先住所が消費者の居住国以外になっているなど、不正の可能性がある異常をプログラムが発見した場合、注文を自動的に拒否しないことが重要です。

その代わりに、フラグの立った注文を手動でチェックする担当者に送り、より詳細に調べ、注文を承認するか拒否するか決定しましょう。

また、担当者が発見した内容をAIにフィードバックすることで、審査アルゴリズムが、不正行為と通常とは異なる顧客の行為をより適切に見分けることができるようになります。

◇◇◇

このように、スクリーニングとフラグの立った注文のレビューという2段階のプロセスを経ることで、越境購入の体験を損なうことなく、不正行為を防止することが可能です。

越境購入者が期待するカスタマーエクスペリエンスを理解し、その実現に向けて努力することで、顧客基盤の拡大、収益源の多様化、オンラインビジネスの成長を実現することができます。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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