
【コンバージョンUPのヒント】価格、送料無料、返品、配送、コミュニケーション手段など商品購入につながるECの要素とは?

オンラインショッピングを利用する機会が多い消費者は、効率的でお得な買い物の仕方を日々、自然と学び、どんどん賢くなっています。『Digital Commerce 360』と調査会社のBizrate Insightsが実施したコンバージョン調査(2023年1月にオンライン通販利用者1060人を対象に実施)から得られた結果に基づき、消費者行動に関する知見を解説。小売企業がコンバージョンアップにつなげることができる方法をお伝えします。
- オンライン通販の利用者が注目するのは「最安値の商品であることと、送料無料であること」
- 消費者に優しい「返品規定」は、コンバージョン促進の重要なドライバー
- サイトのUXから注文の受領に至るまで、「スピード」はオンラインショップのコンバージョンに影響を与える
送料無料、適正価格がコンバージョンに好影響
コンバージョンを促進するためには、送料無料、適正価格、プロモーションなどさまざまな「お金に関連した条件」を整える必要があります。オンライン通販利用者の66%は、「適正な価格がコンバージョンを促進する」としています。
その回答は、女性が男性よりも10ポイント多くなっています(女性71%、男性61%)。また、高齢者は「適正価格である」と判断した場合に購入する傾向が高くなっています。
消費者の36%は「送料無料以外のキャンペーン」によってコンバージョンが促進されると答えています。

「コンバージョンを促進する」と回答した消費者人の内訳をみると、やはり女性の方がより高く評価しました(女性39%、男性32%)。

ただ、商品購入注文の決め手となる条件は、依然として「送料無料」がナンバーワンです。女性や年齢層が高い消費者に多く支持されています。

カゴ落ちの原因は「価格に起因する要素」
カゴ落ちの原因としては、価格に起因する要素が消費者の購入計画を変更させる可能性があることがわかりました。調査では、「価格を比較するためにカートに入れた」(19%)、「クーポンコードを受け付けない」(18%)なども、カゴ落ちの理由としてあげられました。
また、「配送料が予想以上に高くなった場合」(35%)、「送料無料にならなかった場合」(29%)、「予想外の追加費用(税金、取り扱い手数料、配送料)が発生した場合」(18%)には、カゴ落ちする傾向が見られました。

オムニチャネルで商品購入を促す要素は「店舗の在庫状況」
また、オムニチャネルに関しては、小売事業者が消費者に割引でインセンティブを与え、チャネルを越えて割引購入をできるようにした場合、消費者の42%が商品を購入すると回答しています。
「店舗での受け取り」(26%)と「車中受け取り」(17%)が、コンバージョンが高くなりやすい要因となっています。また、商品の在庫を買い求めやすいことと利便性がオムニチャネルで購入する理由になっているようです。
コンバージョンの観点からは、在庫の有無に加え、店舗への近さ(43%)や受け取り場所の種類(20%)など、ロケーションが最も重要であることがわかります。
41%は、注文の受け取りが可能になるまでの時間がコンバージョンの原動力になると回答し、小売事業者の迅速な注文処理能力が重要であるとしています。おそらく戦略的に最も重要なのは、30%の消費者が指摘するように、受け取りにおけるポジティブなカスタマーエクスペリエンスでしょう。

カスタマーサービスとの接点、Eメールでのコミュニケーションの質もCVに影響
ちなみに、調査回答者の81%は小売事業者とコミュニケーションを取っていることがわかりました。言い換えれば、消費者の5人に1人は小売事業者のカスタマーサービスとのやり取りを全くしていません。

オンライン通販利用者に、自身のコンバージョンを促進させる要因を聞いたところ、21%が「サイト上でカスタマーサービスに簡単にアクセスできること」をあげています。
また、19%は「テキストやSNSを含む複数の手段でカスタマーサービスに連絡できること」と回答しています。このほか、カスタマーサービスの質はコンバージョンに影響し(24%)、カスタマーサービスの担当者とのやり取り(16%)も重要な要素でした。
Eメールや電話といった従来の選択肢は依然として消費者の役に立っています。コンバージョンを促進する可能性が高いやり方は、「Eメール」(40%)、「人間とのチャット」(37%)、「電話」(26%)が上位にあげられています。「テキスト」(21%)や「SNS」(12%)をあげる人は限定的でした。

小売事業者が消費者に送るEメールは依然として注目を集めやすく、コンバージョンを促進しています。特に、割引の案内を含むEメールは大変効果が高いようです。

ただ、消費者の22%がコンバージョンのきっかけとして割引を含むEメールをあげているのに対し、割引を伴わない新商品やトレンドの紹介メールは8%の回答にとどまっています。
わかりやすく簡単な“返品規定”が上位にランクイン
返品もコンバージョンに影響を与えます。消費者が求めるのは「返品送料無料」(55%)、「購入した実店舗への返品を含む、わかりやすいく簡単な返品ポリシー」(42%)、「提携する小売店への返品」(36%)です。

ECサイトの“スピード”もコンバージョンを左右する
コンバージョンを促進する可能性が高い要素は、送料無料、価格、商品の品ぞろえ、入手のしやすさ、信頼などですが、スピードに関して言えば「チェックアウトの速さ」(32%)と「サイトの読み込みの速さ」(21%)が大切です。その他、スピードに関連する便利な機能として、21%が「簡単な再注文機能」をあげています。
「スピードの遅さが要因でカゴ落ちした」という趣旨の意見は多くありませんでしたが、以下に触れておきます。少数ではあるものの、サイトの表示がコンバージョンに悪影響を及ぼしたことがあったようです。
- チェックアウトページでエラーが発生した:12%
- チェックアウトに時間がかかりすぎる:10%
- 読み込みが遅すぎる:9%
スマートフォンのユーザーは、デバイスのUXニーズを考慮した、効率的なショッピング体験を求めています。モバイルデバイスでは特に、消費者にとって効率の良さが重要です。
最初のハードルは、28%の消費者に、デスクトップでの買い物しやすさが定着していることです。その他、効率を阻害する要因としては、「比較の難しさ」(26%)、「スクロールの多さ」(25%)、「読み込みの遅さ」(24%)、「手順の多さ」(17%)などがあげられました。


配送スピードに関するニーズが高い結果に
「迅速な配送」もコンバージョンを促進する要素です。オンライン通販利用者の61%が「迅速な配送」が重要だと答えました。
また、「配送日時の保証」も39%がコンバージョン促進の要因としてあげています。カゴ落ちの原因となったのは、「消費者のニーズに合わない配送日」(18%)、「配送日の保証がない」(12%)でした。

サイト内の情報量やツールの活用が満足度につながる
満足度の高いユーザーエクスペリエンスを提供している小売事業者は、ショッピング体験を強化する情報やツールを備えています。
消費者の41% が「コンバージョンに至るには全体的にポジティブな体験が必要」と回答。これに次いで、39%が「商品レビューの質/量」をあげました。
また、「豊富な商品情報と画像」(28%)、「関連性の高い結果を返すサイト検索」(24%)、「商品デモを含むビデオ」(13%)、「インタラクティブ・ツール」(9%)などが上位にランクインしています。

22%が「在庫切れの場合はカゴ落ち」
コンバージョン促進要因の上位は「在庫のある商品」(45%)でした。一方、カゴ落ちは、調査回答者の22%が「商品が在庫切れの場合に起こる」と回答しています。
特にオンライン通販利用者は、商品の納期が期待に沿わない場合に、その納期を待ちたくないと思うことがわかっています。また、店舗での受け取りを希望する場合も、商品の在庫状況が重要な要素となります。47%がこの点を最も重要視していました。




まずは消費者からの信頼感を高めることから
コンバージョンを促進する要因の多くは、"信頼"に起因しています。消費者の46%があげるように、購入はまず、ブランドへの信頼を持つことから始まります。
また、消費者の28%がブランドのロイヤルティプログラムに参加。回答者の12%がブランドの慈善活動を支援しているのは、興味深い副次的な要素かもしれません。
小売事業者との過去の経験(編注:これまでに購入経験があること)も重要になります。信頼に関しては、45%がコンバージョンの促進要因としてあげています。

オンライン通販利用者は、さまざまな経験をしています。彼らは、最良の価格を見つけるスキルを磨き、在庫のある商品を探して、自宅などへの配送や店舗での受け取りを行います。
調査結果によって、充実したカスタマーサービスは、消費者に優しい返品規定と同じくらい、コンバージョン促進には重要であることが証明されています。また、サイトのユーザーエクスペリエンスから注文の受領に至るまで、スピード感の良さはオンライン通販利用者にとって譲れない条件です。
最終的に、利用者の満足と信頼を生むのは、全体的に優れたカスタマーエクスペリエンスを提供することだと言えるでしょう。