欧米の消費者はメタバースに肯定的、日本では教育現場や高齢化社会への対応に期待【消費者調査+レポートまとめ】

メタバースという言葉はすっかり定着し、国内でも大手事業者を中心に参入が進んだ。世界の消費者はメタバースをどのように見ているのだろうか。調査結果とレポートから解説する
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2030年には市場規模が世界で約79兆円に達すると予測されているメタバース。コロナ禍を機にさまざまな企業がメタバース領域に参入し、多くの人に認知が広がっている。

英国の市場調査会社「Mintel(ミンテル)」が発刊したレポート「デジタルトレンド―メタバース―日本―2023年」でMintelリサーチアナリストの柴田恭明氏は、メタバース普及の背景、海外の概況、Mintelの独自調査に基づく消費者意識などについて考察している。

グローバルではメタバースに対して肯定的なイメージを持っている人が多く、日本でもさまざまなシーンで活用の拡大が期待できそうだという。

調査結果から見るメタバースの消費者イメージ+活用事例

メタバースにポジティブなイメージを持つ消費者が多数

Mintelがこれまでに実施したメタバースに対するグローバルな消費者調査の結果について、柴田氏は「メタバースに対する不信感がある程度根強いと想定していたが、意外にも人々はそこまでメタバースにネガティブな印象を持っていないことが判明した」と言う。

調査によると、米国の消費者の44%、英国の消費者の34%、ドイツの消費者の46%が「メタバースは未来的なイメージ」または「メタバーは社会を変革する」とポジティブな回答をしている。

米国、英国、ドイツの消費者がメタバースに持つイメージ

クリスチャンディオールの事例

フランス本社のクリスチャンディオールは、フランス・シャンゼリゼ通りの店舗を再現したバーチャルショップを運営。バーチャルの店舗内を歩き回ることができ、商品画像をクリックすればECサイトで同じ商品を購入できるようにした。

店舗の内装や商品の陳列も実店舗に近い作りを再現し、従来のECサイトよりも店舗に近い購入体験を提供しているという。

クリスチャンディオールのメタバース店舗

メタバースの活用可能性

今後メタバースが日本で活用され得る領域として、柴田氏は教育現場をあげた。なかでも、不登校の対策になる可能性があると指摘。すでにオンライン不登校支援プログラムを運用している地域もあるという。

このほか、高齢化社会への対応策としてもメタバースの利用拡大に期待が持てるという。仮想空間のサイクリングや、アバターを通じた家族や友人との交流などがあげられる。

「メタバースに対するグローバルな消費者調査」の調査概要

  • 調査対象
    米国:メタバースを聞いたことがあると回答した18歳以上のインターネットユーザー1288人
    英国:メタバースを聞いたことがあると回答した16歳以上のインターネットユーザー1351人
    ドイツ:メタバースを聞いたことがあると回答した16歳以上のインターネットユーザー1123人
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