既存顧客を「リピート顧客」「お得意さま」に変えるCRMを成功させるポイントとは?
ここはD2C(Direct to Consumer)やサブスクリプションの事業に進出しようとしているEC事業者のための相談室。菓子製造・卸を手がける企業の木村部長と、化粧品メーカーの石井社長が、ファシリテーターの尺田さん、アドバイザーの吉村さんからレクチャーを受けています。今回は「獲得した顧客をいかに維持するか」 についてディスカッションするようです。
●顧客管理機能
- 顧客マスター
- 顧客マスター変更履歴
●受注管理機能 受注データ、受注明細データ
- 出荷履歴
- 返品履歴
- 定期・サブスクリプション契約ヘッダ(マスター)、定期・サブスクリプション契約明細
- 請求履歴
- 入金履歴
- 督促履歴
●コミュニケーション管理機能 媒体マスター
- オファー履歴
- コミュニケーション履歴(メール・メッセージ・DM発送・同梱など)履歴データ
- ポイント履歴
- カタログなどの請求履歴
- (2ステップなどでは)サンプル請求履歴
●商品管理機能
- 商品マスター
注意事項としては、どんなカテゴリーと項目で登録、保有しているかによって、連携データから導き出だされるデータに差異が出ることです。
- 顧客購買履歴にまつわるデータ集計・抽出……ECシステム
- コミュニケーションにまつわる集計・抽出、分析……MAツール
- 広告配信も含めた顧客体験フルファネルでのデータ連携、集計・分析、抽出……BIツール
というように、ツールを使い分ける必要があります。また、データ連携のための顧客キーを何にするかは、SNS系のプラットフォームへの出稿やメール以外でのコミュニケーションを展開する場合、システムの仕様面での確認が必要です。連携方法はAPIがベストだと思います。IDをどう保有しているかは、将来的にOMO(Online Merges with Offline)に取り組む際にも重要な基盤になります。
「マイページ」をどう考えるか
また、サイトのWeb接客ツールで各種情報の変更や商品お届けの確認などが対話形式でできると、やりたいことがすごく簡単にできたように感じます。SNSのチャットを利用して、選択肢を表示した状態で指示してくれるのも、負荷が軽く感じます。
そもそも、都度購入するより便利で簡単で、顧客にとって価値のある購買体験だからこそ、定期購入という購入形態を提供しているわけです。事業社側にも運用面でのメリットがあるからお得価格で提供しているのですから。「双方にとってハッピーなのでご利用ください」というのが出発点のはずです。であれば、スキップや解約も、顧客がやりやすいようにするべきです。
マイページで実施できる商品やキャンペーンなどの内容を運用管理側で設定、変更できれば、さまざまな施策のテストができます。マイページはECシステムの中でも重要な機能ですね。
CRMで何をするの?
- マーケティング要素(顧客個人に焦点をあてたペルソナや顧客体験)
- 戦略要素データ活用(事業全体の顧客構成、顧客セグメント)
購買後の顧客セグメントは「新規顧客」「既存顧客」「優良顧客」「離反顧客」で視点を変える必要があります。顧客セグメントごとの特徴をまとめると、
- 新規顧客からは利益は短期的には創出されない
- 顧客は離脱する
- 優良顧客に育成するには時間がかかる
- 顧客増加には限界が訪れる
ということが言えます。CRMで何をするかですが、第一に自社の事業構造を見える化することですね。見える化はこれまでの経緯、現在、そしてこれからを俯瞰し、診断できるようにすることです。まずは売り上げの基盤となる顧客数を見える化し、次に顧客数の増減の原因を探ります。それができたら増減の原因に対してコミュニケーション施策を実施します。ここで言うコミュニケーション施策とはキャンペーン施策ではありません。
顧客との接触タイミングは、顧客の心理的なポジションが異なる下記のタイミングから考えます。
- 購入後、商品お届けまで
- 購入後、商品お届けで、開封、初めてのご利用の際
- 初めてのご利用から、1週間まで
- 次回、購入、お届けの、一定期間
- 購入後、28日もしくは、30日
- 毎月、定期的な日程(初のお届けの日と同じが良い)
- 90日後まで
- 240日(8か月後)まで
- 365日まで
コミュニケーション施策の内容としては、手紙/DM、メール、メッセージなど。適切なチャネル(SNS、Web接客など)を選んで実施します。時間帯についても購入時間帯に合わせてみたり、顧客行動時間(通勤時間帯、昼休憩時、就寝前)に合わせてみたり検討が必要です。
コミュニケーション施策を考える上で大切なのは「顧客が嫌がることをしない」ということです。例えば、採算が悪い顧客を差別したり、顧客の単価を無理やり上げたりといったことです。CRMの基本は顧客の購買体験を維持向上させること。コミュニケーションを考えることであり、心理学的な分野です。いろいろと書籍も出ているので、お読みになると良いでしょう。
フォロー施策の7つのシーン
- 会員登録フォロー
- 購入顧客フォロー
- 休眠・離脱顧客フォロー
- 顧客パーソナルイベントフォロー
- ポイント顧客フォロー
- カゴ落ち顧客フォロー
- 閲覧後離脱フォロー
あとは顧客の解約の理由を登録できて顧客の声として活用できると良いのですが、ASPシステムでは登録するのもデータを抽出するのもとても大変です。